カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

中央銀行 2022年のマクロ経済と銀行セクター開発及び2023年の展望

2023年01月18日 | 経済
 1月6日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、「2022年のマクロ経済と銀行セクター開発及び2023年の展望」を発表しました。
 2022年の世界経済は、中国のゼロコロナ政策やロシアのウクライナ侵略等の問題に直面しました。インフレが進行し世界全体では物価上昇率は8.8%に達しました。そのため、米国を始めとして中央銀行は金融引き締めを行い、ドル高や金利上昇を招いています。こうした中で、カンボジアは、ワクチン接種の進展を基盤としてwithコロナ政策が成功し、国内経済の回復が進みました。更に、主要輸出先国の需要回復もあって、カンボジアの2022年の経済成長率は5.1%にまで回復しました。製造業の成長率が9.8%と経済全体を牽引しました。輸出も対前年比19.8%増加と大幅に回復しました。外国直接投資も4%増と経済を下支えしました。輸出と外国直接投資の伸びにより、外貨準備も輸出の7か月分という安定的なレベルを維持しています。この外貨準備を背景に、為替も安定し、リエルの対ドルレートは、対前年比0.1%安の4102リエル/ドルと安定的でした。世界的なインフレの影響はあったものの、為替の安定もあって、2022年の物価上昇率は5.3%にとどまりました。物価上昇率は2021年の2.9%から、2022年6月には7.8%にまで高まりましたが、2022年後半は国際石油価格の落ち着き等もあり、カンボジアの物価も落ち着いてきています。
 カンボジアの銀行セクターは、NBCの金融緩和政策・新型コロナ対応策等もあって、2022年も大きな変動なく発展しました。民間向け貸付は21%増、預金も11.3%増と順調でした。2022年には、NBCは新型コロナ対策からの出口政策を進め、新型コロナで返済困難となった借入人向けの貸付条件緩和を2022年6月末に終了しました。条件緩和貸付の貸付全体に占めるシェアは、2021年の10.5%から2022年は6%にまで低下しています。また、NBCは銀行セクターのデジタル化を振興し、電子口座数は1790万口座にまで増加しています。
 2023年の世界経済は引き続き、ロシアのウクライナ侵略や欧米の金融引き締め等により、不確実性が高い状況です。国際通貨基金では、2023年の世界経済の成長率予測をこれまでの3.2%から2.7%に引き下げています。こうした中で、カンボジア経済は引き続き成長を続け、成長率は6%に達すると予測されています。縫製業は6.9%、縫製以外の製造業は14.3%成長すると見ています。また、新型コロナの影響を最も厳しく受けていた観光業の成長率も、中国の観光客増加が期待され、18.5%に達するとしています。他方、農業の成長率は1.1%に留まる見込みです。中国からの投資が弱含んでいる建設業、不動産業はそれぞれ1.7%、1.2%の成長に留まるものと見られます。2023年の物価上昇率は落ち着きを見せ、2.5%となると予測しています。為替については、米国の金融引き締めに伴うドル高が続くと見られ、高度にドル化された経済であるカンボジアは、輸出面で他国との競争条件が悪化する懸念があります。金融セクターについては、米国等の国際市場での金利上昇がカンボジアにも波及する可能性があります。なお、輸出の伸びに加えて、外国直接投資も安定的な流入が見込まれ、外貨準備は輸入の7か月分という高いレベルを維持するものと見られます。
(写真は、発展が続くプノンペン中心部)

カンボジア国立銀行のフェイスブック(クメール語・英語)
https://www.facebook.com/nationalbankofcambodiaofficial/posts/pfbid0RB1i9zMxgecdo22Dtu8xhNbgkrDjrjZ7fu6h7quzo1MgzVMYFAK7yiiQNU373DEml


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2022年 カンボジアからの輸出 順調に回復

2023年01月17日 | 経済
 カンボジア経済財政省の関税消費税総局の発表によりますと、2022年(1月~12月)のカンボジアからの輸出は、対前年比16.4%増の224億8294万ドル(約2兆9680億円)に達したとのことです。輸入は、4.3%増の299億4160万ドル(約3兆8520億円)でした。
 輸出先を国別にみると、1位は米国で対前年比19.7%増の89億6873万ドル(約1兆1840億円)で、全体の39.9%を占めています。2位はベトナムで9.2%増の21億6862万ドル(シェア9.6%)、3位中国17.9%減12億4063万ドル(シェア5.5%)、4位日本7.3%増11億7303万ドル(シェア5.2%)、5位カナダ17.4%増11億2059万ドル(シェア5.0%)となっています。輸入は、第1位は中国で対前年比7.9%増の104億4553万ドル(シェア34.9%)、2位ベトナム26.2%増39億6714万ドル(シェア13.2%)、3位タイ10.7%増38億3250万ドル(シェア12.8%)、4位シンガポール36.6%減32億3037万ドル(シェア10.8%)、5位台湾5.8%増10億3688万ドル(シェア3.5%)となっています。
 品目別輸出では、縫製品が第1位で対前年比12.7%増の90億3535万ドル(シェア40.2%)、2位電気部品84.8%増19億9820万ドル(シェア8.9%)、3位旅行用品17.6%増18億6052万ドル(シェア8.3%)、4位履物24.8%増17億3711万ドル(シェア7.7%)等となっています。品目別輸入は、1位石油製品52.6%増36億6769万ドル(シェア12.2%)、2位縫製原料2.1%減28億9125万ドル(シェア9.7%)、3位車輛20.7%増23億7450万ドル(シェア7.9%)、4位機械6.4%増14億6872万ドル(シェア4.9%)等です。品目別輸出で、日系企業等が製造・輸出している電気部品が大きく伸びたことが注目されます。また、品目別輸入では、ロシアのウクライナ侵略の影響による石油製品の値上がりで、石油製品の輸入金額が大幅に増加しています。
 カンボジアの輸出産業は、新型コロナの影響から予想よりも早く回復してきました。しかし、主要輸出先の米国・欧州の景気減速等の影響で、今年は逆風を受けることが懸念されています。また、国別では、米国向けが大きく伸びている一方、中国向け輸出は大幅減少となりました。中国からカンボジアへの輸入は増加を続けており、2022年1月に発効した中国との自由貿易協定の効果は、現状ではカンボジア側には大きくなかったものと見られ、中国だけが得をしている形です。
(写真は、日本が支援して整備が進められてきたシアヌークビル港)

関税消費税総局の統計のサイト(英文です)
https://stats.customs.gov.kh/en


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2023年01月16日 | 一般
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 メールマガジン「週刊カンボジア経済ニュース」
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日本・カンボジア外交関係樹立70周年 開始式典

2023年01月16日 | 経済
 1月9日、日本とカンボジアは、1953年の外交関係樹立から70周年を迎えました。同日、プノンペンの駐カンボジア日本大使公邸での外交関係樹立70周年記念式典において、岸田文雄内閣総理大臣とフン・セン首相の祝辞、林芳正外務大臣とプラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣の祝辞が交換されました。
 また、東京でも、1月10日に日本アセアンセンターで日カンボジア外交関係樹立70周年開始式典が開催されました。この式典には、髙木啓外務大臣政務官、トゥイ・リー駐日カンボジア大使他多数が参加しました。式典では、カンボジアの伝統舞踊や日本の琴の演奏が披露されたとのことです。
 また、70周年にあたっての親善大使は、日本側は南野陽子さん、カンボジア側はローラ・マムさんであることが公式に発表されました。南野陽子さんからは、プノンペンの式典にビデオメッセージが届けられました。1989年に日本テレビの「24時間テレビ-愛は地球を救う」でカンボジアを訪問してからのカンボジアとの関わりや想いを語られていました。近い将来、親善大使としてカンボジアを再訪されることが期待されます。
 カンボジア日本人会では、「この記念すべき年に、様々な行事を通じて両国間の友好促進に寄与して参ります。」としています。また、70周年を記念するイベントや事業が数多く実施される予定です。
(写真は、昨年11月の首脳会談の際に発表された70周年のロゴマーク)

日本大使館のサイト
https://www.kh.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00960.html


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新しい和食 Kanazawa Japanese Restaurant

2023年01月15日 | 生活環境
 プノンペン北東部リバーサイドに開店した新しい和食「Kanazawa Japanese Restaurant」です。日本の方のお店とのことです。場所は、トンレサップ川に面していて好立地です。内装は、コンクリート打ちっぱなしの内装でモダンな雰囲気です。訪問した時は未完成でしたが、2階のテラス席からは、リバーサイドの夜景が楽しめると思います。メニューは、お刺身や寿司、丼もの等が色々と揃っています。リースナブル価格のおつまみが多いのも嬉しいです。バーカウンターにはアルコール類も多数ありました。生ビールが1.5ドルと言うのも嬉しい価格です。今回は、枝豆(2.5ドル)、お刺身(写真上:8ドル)、牛タタキ(5.5ドル)等をお願いしてみました。ビールや酎ハイのおつまみにぴったりでした。お客さんは、様々な方が来ていました。お勧めです。お試しください。

Kanazawa Japanese Restaurant
https://web.facebook.com/kanazawajapan

リースナブルな牛タタキ。



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いい感じの居酒屋さん 千鳥

2023年01月14日 | 生活環境
 プノンペン南部、123通りの居酒屋さんの千鳥です。最近、イメージチェンジでいい感じの居酒屋さんになっています。オープンな感じの店内には、黄色い短冊メニューや写真付きのメニューが貼ってあり、赤い提灯も相まって居酒屋さんの雰囲気に溢れています。焼き鳥等は、外の屋台で焼いてくれるのもいい感じです。メニューは、メインの焼き鳥に加えて、おつまみ類や食事が揃っています。売り出し中のたこ焼きもあります。今回は、ひじきや揚げ出し豆腐、砂肝のネギまみれ等のおつまみを頂きましたが、美味しかったです。たこ焼きは、揚げてあるタイプでした。焼き鳥も1.3ドルからとリーズナブル価格で、多くの種類が楽しめます。また、何と言っても、生ビール飲み放題で2ドルというのが嬉しいです。2杯目からは自分でサーバーから注げるのも嬉しいです。お客さんは、日本の方が多いようですが、外国の方もたくさん来ていました。テークアウトも人気のようです。お勧めです。お試しください。

Chidori Japanese Izakaya Yakitori
https://web.facebook.com/CHIDORICAMBODIA/

たこ焼き(3.8ドル)。ひじき(2.9ドル)揚げ出し豆腐(3.8ドル)もおつまみに最適。


美味しかった砂肝のネギまみれ(4.4ドル)。後ろのキャベツもニンニクが効いてて良いおつまみに。



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韓国支援でプノンペンにメコン架橋建設へ

2023年01月13日 | 経済
 12月8日、カンボジア政府は、プノンペンでトンレサップ川とメコン河を渡るカンボジア韓国友好橋を建設するため、韓国の対外経済協力基金と借款契約を調印しました。金額は2億4590万9000ドル(約325億円)となっています。計画では、プノンペン北部のナイトマーケット付近からトンレサップ川を渡り、チョロイチョンバー半島を横断して、更にメコン河を渡って対岸のカンダール州に至る2本の橋梁を建設するとしています。
 韓国政府は、カンボジアに援助攻勢をかけており、2022年から2026年までの5年間に総額15億ドル(1980憶円)の借款を対外経済協力基金から供与するとして、12月8日にカンボジア外務省と枠組協定を調印しています。また、同日、上記のカンボジア韓国友好橋案件に加えて、シアヌークビル電力網強化事業(7000万ドル:約92億円)の借款契約も調印しています。
 韓国政府は、東南アジアへの進出を狙って、カンボジアとベトナムを重点援助対象国としています。ベトナムでは、韓国のサムソンが大々的に事業を展開する等、結果を出してきています。カンボジアでは、今のところ、韓国系不動産事業等が実施されていますが、韓国系企業の工場進出も期待されるところです。韓国も前政権は中国寄りと見られていましたが、現政権は、米国との同盟関係や日本との関係を重視する方向に転換しつつあり、カンボジアへの支援もこうした同盟関係を支えるものとなることが期待されます。
(写真は、完成予想図。クメールタイムズ紙より)

カンボジア外務省の発表(英文です)
https://www.mfaic.gov.kh/posts/2022-12-08-Press-Release-Samdech-Akka-Moha-Sena-Padei-Techo-HUN-Sen--Prime-Minister-of-the-Kingdom-of-Cambodia--will-preside--11-02-24


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クラチェでメコン架橋着工 中国支援

2023年01月12日 | 経済
 1月2日、北東部クラチェ州の州都クラチェで、クラチェ・メコン河大橋および連絡道路建設プロジェクトの起工式が行われました。式典には、フン・セン首相、スン・チャントル公共事業運輸大臣、中国大使等が参加しました。
 この事業は、クラチェ近郊でメコン河を渡る延長1761メートルの橋梁と接続道路(約31.7キロメートル)を建設するものです。建設費(1億1400万ドル)は中国輸出入銀行が融資し、中国建設大手の上海建工集団が建設を請け負うとしています。2026年の完成を目指すとしています。
 「親中国」と呼ばれることもあるカンボジアは、中国から多くの支援を引き出すことに成功しており、既にメコン河を渡る3本の橋梁への支援を取り付けています。今回の事業は4本目となります。米中対立が深刻化する中で、小国のカンボジアは綱渡り外交を続けており、これまでは「良いとこ取り」に成功して来たものと見られます。しかし、最近は、リアム海軍基地問題等で米国からの圧力も増してきています。また、中国系の犯罪組織がシアヌークビル等で跋扈する状況もあります。ともに強硬外交の両大国間でバランスを取った外交を続けていくことが重要となっているものと見られます。
(写真は、完成予想図。AKPより)



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アジア開発銀行 カンボジアのエネルギー転換を支援へ

2023年01月11日 | 経済
 12月15日、アジア開発銀行は、カンボジアのエネルギー転換を支援するために合計7300万ドル(約96億4000万円)を供与すると発表しました。内訳は、政策支援融資5000万ドルとプロジェクト投資2300万ドルとなっています。この事業では、カンボジアが化石燃料から再生可能エネルギーに転換し、省エネを振興することを支援します。データに基づく規制と計画を導入し、電力システムの柔軟性と耐久性を高めるとしています。また、省エネや蓄電といった最新技術への官民の投資を促進することも目標としています。更に、カンボジアのクリーンエネルギー目標の設定に寄与するとしています。2027年までに、再生可能発電の比率を2021年の4672ギガワット時から25%以上増加させることを目指すとしています。
 プロジェクト投資については、カンボジア初の電力網接続型蓄電システムの開発等の新技術を振興する計画です。蓄電システムの導入によって、さらに多くの再生可能発電の電力網接続を促進し、電力網の安定性を向上させるとしています。また、カンポットとケップでは、包括的・効率的な街灯システムを導入し、経費節約効果や観光・治安等への効果を示したいとしています。
 アジア開発銀行は、これまでもカンボジアにおける太陽光発電等を支援してきています。カンボジア政府も新規の石炭火力発電は認可しない方針を示しており、再生可能発電の振興、電力システムの効率化、省エネの推進といった課題に地道に取り組んでいくことが期待されます。
(写真は、アジア開発銀行の発表より)

アジア開発銀行の発表(英文です)
https://www.adb.org/news/adb-supporting-cambodia-energy-transition-program


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AMRO カンボジアとの年次協議結果2022を発表 世界経済の逆風の中で

2023年01月10日 | 経済
 12月21日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、2022年7月20日~8月3日にカンボジアで実施した年次協議の結果を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN10か国と日本、中国、韓国による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 カンボジアのGDP成長率については、2021年3.0%から2022年5.0%へと回復すると予測しています。また、2023年には5.4%まで回復するとしていますが、2022年後半以降の欧米の経済スローダウンの逆風の影響を受けることを懸念しています。物価上昇率は、2022年には5.3%まで上昇しますが、2023年には3.0%に落ち着くと見ています。対外収支については、経常収支の赤字は2021年に対GDP比で24.1%まで拡大したものの、2022年21.4%、2023年16.1%と改善の方向にあるとしています。外貨準備は、2022年末で195.3億ドル(輸入の7.2か月分)と非常に安定的なレベルにあり問題ないと分析しています。財政収支は、新型コロナ対策等で赤字が拡大したものの、対GDP比で2021年8.5%から、2022年5.4%、2023年4.8%と落ち着いてくるものと見ています。金融セクターでは、中央銀行の金融緩和策と新型コロナで困難な状況にある借入人に対する貸付条件変更が奏功したとしています。
 リスクとしては、ロシアのウクライナ侵略、欧米の金融引き締め等による世界経済のスローダウンの逆風を受けることをあげています。また、カンボジアはドル化経済であるため、他国通貨に対するドル高による輸出競争力の減退も懸念しています。また、中国のコロナ対策の失敗により、外国直接投資や観光への影響が続くことも懸念材料としています。特に、カンボジアは経常収支の赤字が大きいことから、外国直接投資の減少やドル化に伴う金融政策の限定等もリスクと見ています。
 今後の課題としては、新型コロナ対策としての貧困層への現金支援等の段階的絞り込みが必要としています。また、引き続き銀行監督の強化が重要と指摘しました。更に、ビジネス環境の改善による成長モメンタムの維持、競争力強化が重要と提言しています。具体的には生産性向上を目指した人材育背の拡充やインフラ改善が必要としています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施していくことが期待されます。
(写真は、発展を続けるプノンペン中心部)

AMROの新聞発表(英文です)
https://www.amro-asia.org/cambodia-navigating-external-headwinds-through-targeted-support-and-rebuilding-fiscal-buffers/


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2023年01月09日 | 一般
 ブログ「カンボジア経済」は、毎日更新して、カンボジア経済情報をデイリーにお伝えしています。これらの情報をまとめて週刊でメルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」を発行しています。毎週月曜日に発行しています。「無料」です。
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外務省海外在留邦人数調査統計2022年10月現在 カンボジアは大幅減少

2023年01月09日 | 経済
 12月20日、外務省は、「海外在留邦人数調査統計2022年10月現在」の結果を発表しています(これまで発表まで数カ月を要していましたが、昨年から改善されて発表が早まっています)。この統計は、在外公館が2022年10月1日現在で、それぞれの管轄区域内に在留する邦人数を推計したものです。2022年10月1日現在の推計で、わが国の領土外に在留する邦人(日本人)の総数は、130万8515人で、前年より 3万6385人(約2.7%)の減少となり、引き続き新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けた結果となったと分析しています。国別では、米国に在留邦人全体の約32.0%(41万8842人)、中国約7.8%(10万2066人)がそれぞれ在留していて、両国で在留邦人の約39.8%を占めています。3位以降は、オーストラリア約7.3%(9万4942人)、タイ約6.0%(7万8431人)、カナダ約5.7%(7万4362人)、英国約5.0%(6万5023人)、ブラジル約3.6%(4万7472人)、ドイツ約3.2%(4万2266人)、韓国約3.2%(4万1717人)、フランス約2.8%(3万6104人)の順となっています。
 2022年のカンボジアの在留邦人は、29位3363人となりました。全年は、27位の4502人でしたので、25.3%の大幅減少となりました。各国で在留邦人数が減少する中で、上位50カ国中、カンボジアは、ロシア、パラグアイに次いで3番目の大幅減少となりました。これまでの推移を見てみると、2012年1479 人(前年比23.2%増)、2013年1793人(21.2%増)、2014年2270人(26.6%増)、2015年2492人(9.8%増)、2016年3049人(22.4%増)、2017年3518人(15.4%増)、2018年3934人(11.8%増)、2019年4216人(7.2%増)、2020年5057人(19.9%増)と毎年大幅増加が続いてきていましたが、2021年は27位の4502人と減少に転じていました。それでも2009年には889人しかいませんでしたので、2022年までの13年間で4倍近くになっています。
(写真は、2022年10月の日本人会のど自慢大会)

外務省のサイト
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html


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久しぶりのアンコールワット

2023年01月08日 | 経済
 12月に久しぶりにアンコールワットを訪問しました。朝日を見た直後だったので、涼しい時間帯でした(午前中は逆光になるので、午後の方が良いと言われています)。アンコールワットは、1992年に世界遺産に登録されました。やはり現場に行ってみると、その大きさも、壁画や彫刻等もすばらしいもので、大変に感動しました。今回は、一番高い第3回廊まで登ることができました。高所恐怖症の私には恐ろしい「恐怖の階段」を登りきると、素晴らしい景色と石造りの大建築を実感することができます。観光客は、西洋系を中心に戻ってきているようですが、それほど混雑ということもなく、ゆっくり見ることができました。なお、現在、カンボジア在住外国人向けに無料パスが発行されています。この機会にぜひアンコールワットと遺跡群をご覧になってください。

ブログ「カンボジア経済」10月2日「在住外国人向け アンコール遺跡入場料を免除」
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/a2c2e1b09b008a9a83c6dd2be808871c

第3回廊から見た朝日に輝く尖塔


第3回廊からの景色


第3回廊に登る「恐怖の階段」。足がすくみます。


朝日に輝くアプサラ(女神)。



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プノンペン南部のイオン3 オープン初日に訪問

2023年01月07日 | 生活環境
 12月15日、プノンペン南部、フン・セン通り沿いにイオンのカンボジア3号店となるショッピングモール「イオンモール・ミエンチェイ」が一部先行オープンしました。グランドオープンは、2023年春の予定としています。イオンとしては、カンボジアで一番大きなモールとなるものと見られます。
 オープン初日に訪問してみました。先行オープンということで、オープン初日は、ショップ・レストランともに半分くらいが営業しているという感じでした。スーパーマーケットは、完全に営業していました。モールの造りは、吹き抜けを多用して立体感を出しています。また、大型のビデオスクリーンが目立っていました。また、子供向けの施設が多いのも若い国と感じさせます。
 モールの周囲は、昔ながらの湿地帯となっていて、これから埋め立てて住宅等の不動産開発がなされるものと思います。ただ、多くのお客さんが車やバイクで訪問する郊外型のお店ということかと思います。
 2014年にイオンが初めてカンボジアにできた時は、「イオン前・イオン後」と言われるほどの衝撃的な感じでしたが、3店目となると、プノンペンにイオンがあるのは当たり前になっていると感じます。今後の発展が期待されます。

イオンモール・ミエンチェイのフェイスブック
https://web.facebook.com/AMMCaeonmallmeanchey/

吹き抜けを多用した立体的な造りと大型ビデオスクリーンが目を惹きます。


ファミリー向けの施設もたくさんあります。



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IMF IV条協議報告書2022 世界経済のスローダウンが逆風に

2023年01月06日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。2022年9月7日から20日に行ったカンボジアとの協議結果詳細について、12月18日にIMFから発表がありました。
 カンボジア経済は、2021年後半からの輸出の回復に支えられて回復途上にありますが、世界的インフレと世界経済の成長鈍化という新たな課題に直面しているとしています。中国のゼロコロナ政策、欧米の金融引き締めによる消費者需要の鈍化、原油価格上昇等の影響によるインフレの進行等の逆風にさらされていると分析しています。2022年下半期は、縫製品等の発注が縮小傾向にあると指摘しています。それでも、2022年のGDP成長率は5.0%、2023年は5.4%と予測しています。物価上昇率は、2022年は5.8%にまで上昇しますが、2023年には3.5%に落ち着くと見ています。国内では、新型コロナ対策の現金支援等によって、財政赤字が拡大しましたが、2021年の赤字(対GDP比)は7%にとどまり、2022年は4%に縮小する見込みです。国際収支は、経常収支の赤字(対GDP比)が2021年47.5%まで拡大したものの、2022年30.0%、2023年14.1%と落ち着いてくるものと予測しています。外国直接投資等が堅調で、2022年末の外貨準備は207.47億ドルと輸入の8.0カ月分、2023年末でも223.04億ドル(同8.1か月分)という十分なレベルにあります。対外債務の状況についても「低リスク(青信号)」としています。リスクとしては、民間債務の拡大、先進国の経済状況、インフレをあげています。
 IMFの理事会では、このレポートに基づき、カンボジア政府の新型コロナ対策と経済の回復を評価しました。また、様々なリスクはあるものの、成長見通しが概ね良好であることに合意しています。理事会は、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行に対して、銀行監督の強化と金融政策の平常化を提言しています。新型コロナ対策としての貧困層向け現金支援等は、対象を絞り込みつつ継続することが妥当と指摘しています。長期的には、ショックに強い経済を目指して、財政の余裕を確保する必要があると指摘し、最近の初の国債発行を歓迎しました。今後の課題としては、包括的成長を支えるための構造改革、特に生産性向上を目指した政策が重要となると指摘しました。
 非常に詳細な英文のレポートですが、統計数字等については最も信頼が置けます。下記のIMFのサイトをご覧ください。
(写真は発展するプノンペン市内)

IMFの発表(英文です)
https://www.imf.org/en/News/Articles/2022/12/16/pr22439-imf-executive-board-concludes-2022-article-iv-consultation-with-cambodia?cid=em-COM-123-45868


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