カンボジア電力庁(Electricity Authority of Cambodia: EAC)は、2022年年次報告書「カンボジア電力開発の概要」を発表しています。
2022年末の設備容量は、2021年末の3010MWから15.1%増の3465MWに増加しました。年間電力供給量(近隣国からの輸入電力含む)は、2021年の1万3098GWhから、2022年は18.0%増加して1万5456GWhに達しました。2020年~2021年は新型コロナの影響で伸び率が落ち着きましたが、2022年には再び需要が急増しています。15年前の2008年と比較すると、2023年の設備容量は約10倍に、発電量は約8倍に急増しています。2023年の電力供給量の予測は、前年比11.7%増の1万7257GWhに達する見込みです。
2022年の電力供給の内訳は、国内での発電量が66.7%、ベトナム、タイ、ラオスからの輸入電力が33.3%となっています。国内の内訳は、水力53.9%、石炭火力35.5%、石油火力3.4%、太陽光発電6.7%、バイオマス0.5%となっています。輸入電力の比率が一時は60%にも達していましたが、国内での発電所整備が進み、輸入電力の比率は2018年には14.5%まで大幅に低下しました。しかし、2019年の乾季に電力需給がひっ迫し計画停電に追い込まれたこともあり、2019年以降の輸入電力比率はほぼ倍増しました。
送電線も整備が進み、115KV・230KV・500KVの基幹送電線は総延長3954km(2021年3443km)に達しています。建設中・計画中(2027年まで)の送電線は、1451kmとなっており、地方電化の促進と電力供給の安定化・効率化が期待されます。
全国送電網と接続している村落数は、1万3923村で、全体の98.3%となっています。世帯ベースでは、371万世帯中328万世帯が電化されており、電化率は88.4%(2021年86.4%)となっています。
2019年の計画停電に懲りて、カンボジアでは発電所建設が進められ、送電網の整備も進められています。2020年~2021年は、新型コロナの影響で需要の伸びが抑制されて、電力需給は一息つくことができましたが、2022年には再び需要が急増しています。発電所の完成までには数年を要することもあり、引き続き発電所・送電線等の拡充努力を地道に続けていくことが必要と見られます。また、カンボジア政府も脱炭素を目指して石炭火力発電所の新規開発は行わない方針を決定しており、太陽光発電等の持続可能型エネルギーの活用を図る必要があるものと見られます。
(写真は、シアヌークビル郊外のスタンハウで2022年に稼働した中国系の700MWの石炭火力発電所)
カンボジア電力庁のサイト(英文です)
https://eac.gov.kh/site/index?lang=en
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2022年末の設備容量は、2021年末の3010MWから15.1%増の3465MWに増加しました。年間電力供給量(近隣国からの輸入電力含む)は、2021年の1万3098GWhから、2022年は18.0%増加して1万5456GWhに達しました。2020年~2021年は新型コロナの影響で伸び率が落ち着きましたが、2022年には再び需要が急増しています。15年前の2008年と比較すると、2023年の設備容量は約10倍に、発電量は約8倍に急増しています。2023年の電力供給量の予測は、前年比11.7%増の1万7257GWhに達する見込みです。
2022年の電力供給の内訳は、国内での発電量が66.7%、ベトナム、タイ、ラオスからの輸入電力が33.3%となっています。国内の内訳は、水力53.9%、石炭火力35.5%、石油火力3.4%、太陽光発電6.7%、バイオマス0.5%となっています。輸入電力の比率が一時は60%にも達していましたが、国内での発電所整備が進み、輸入電力の比率は2018年には14.5%まで大幅に低下しました。しかし、2019年の乾季に電力需給がひっ迫し計画停電に追い込まれたこともあり、2019年以降の輸入電力比率はほぼ倍増しました。
送電線も整備が進み、115KV・230KV・500KVの基幹送電線は総延長3954km(2021年3443km)に達しています。建設中・計画中(2027年まで)の送電線は、1451kmとなっており、地方電化の促進と電力供給の安定化・効率化が期待されます。
全国送電網と接続している村落数は、1万3923村で、全体の98.3%となっています。世帯ベースでは、371万世帯中328万世帯が電化されており、電化率は88.4%(2021年86.4%)となっています。
2019年の計画停電に懲りて、カンボジアでは発電所建設が進められ、送電網の整備も進められています。2020年~2021年は、新型コロナの影響で需要の伸びが抑制されて、電力需給は一息つくことができましたが、2022年には再び需要が急増しています。発電所の完成までには数年を要することもあり、引き続き発電所・送電線等の拡充努力を地道に続けていくことが必要と見られます。また、カンボジア政府も脱炭素を目指して石炭火力発電所の新規開発は行わない方針を決定しており、太陽光発電等の持続可能型エネルギーの活用を図る必要があるものと見られます。
(写真は、シアヌークビル郊外のスタンハウで2022年に稼働した中国系の700MWの石炭火力発電所)
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