カンボジア経済

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AMRO カンボジアとの年次協議結果2022を発表 世界経済の逆風の中で

2023年01月10日 | 経済
 12月21日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、2022年7月20日~8月3日にカンボジアで実施した年次協議の結果を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN10か国と日本、中国、韓国による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 カンボジアのGDP成長率については、2021年3.0%から2022年5.0%へと回復すると予測しています。また、2023年には5.4%まで回復するとしていますが、2022年後半以降の欧米の経済スローダウンの逆風の影響を受けることを懸念しています。物価上昇率は、2022年には5.3%まで上昇しますが、2023年には3.0%に落ち着くと見ています。対外収支については、経常収支の赤字は2021年に対GDP比で24.1%まで拡大したものの、2022年21.4%、2023年16.1%と改善の方向にあるとしています。外貨準備は、2022年末で195.3億ドル(輸入の7.2か月分)と非常に安定的なレベルにあり問題ないと分析しています。財政収支は、新型コロナ対策等で赤字が拡大したものの、対GDP比で2021年8.5%から、2022年5.4%、2023年4.8%と落ち着いてくるものと見ています。金融セクターでは、中央銀行の金融緩和策と新型コロナで困難な状況にある借入人に対する貸付条件変更が奏功したとしています。
 リスクとしては、ロシアのウクライナ侵略、欧米の金融引き締め等による世界経済のスローダウンの逆風を受けることをあげています。また、カンボジアはドル化経済であるため、他国通貨に対するドル高による輸出競争力の減退も懸念しています。また、中国のコロナ対策の失敗により、外国直接投資や観光への影響が続くことも懸念材料としています。特に、カンボジアは経常収支の赤字が大きいことから、外国直接投資の減少やドル化に伴う金融政策の限定等もリスクと見ています。
 今後の課題としては、新型コロナ対策としての貧困層への現金支援等の段階的絞り込みが必要としています。また、引き続き銀行監督の強化が重要と指摘しました。更に、ビジネス環境の改善による成長モメンタムの維持、競争力強化が重要と提言しています。具体的には生産性向上を目指した人材育背の拡充やインフラ改善が必要としています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施していくことが期待されます。
(写真は、発展を続けるプノンペン中心部)

AMROの新聞発表(英文です)
https://www.amro-asia.org/cambodia-navigating-external-headwinds-through-targeted-support-and-rebuilding-fiscal-buffers/


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