世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

1ドルの重み

2010年11月16日 | 国際
     キーホルダーを売るカンボジアの女の子_0001.wmv
      


アンコールワットの遺跡を訪ねると、


あちらこちらでこうした子供たちが寄ってくる。




中でもこの女の子はなぜか印象的だった。


ボクに、目で訴えかけてきている。





しかし、


いつものクセが出た。





外国へ行くと、

特に発展途上国では、妙にセコくなる自分がいる。



急に大阪のオバちゃんになったかのように


値切り倒す。




だいたい相手が最初にいい出した値段の半額を目安とする。



外国人観光客には、倍額で吹っかけてくる場合が多いからだ。


                      









この時も、6個綴りのキーホルダーが


最初7ドルから始まって


あっという間に、4ドルまで下がった。





そして、件(くだん)の女の子が寄ってきた。


裸足(はだし)だった。




最初、買う気は全くなかったが、



不思議にこの子からなら買ってもいい、

イヤ、買ってあげなければならない、


という気になった。




ただ、

「3ドルだったら買うよ」 と


いつもの値切り癖で、

シビアな値段がボクの口から突いて出た。





女の子は、一瞬悲しそうな表情を浮かべたが、


3ドルで同意した。




そして、ボクが3ドルを渡すと、


彼女はか細い声で、

「4ダラー」


とつぶやいた。




「No!」


ボクは冷たく突き放して、


キーホルダーを受け取った。




そして、


してやったりと、

最初のいい値の半額以下に値切った自分を誇らしげに思いながら


待っていたトゥクトゥクに乗り込んだ。

                    




                    







そのあと、

急激な後悔の念が湧きあがってきた。



アー、ボクはなんてことをしたんだろう、と。






10歳だといったあの女の子は、

このキーホルダーを一体いくらで仕入れたんだろうか。




2ドルだろうか、3ドルだろうか。



3ドルだったら、彼女は原価でボクに売ったことになる。




最後に彼女が、4ダラーといったのは、

1ドルが彼女にとってのわずかな利益だったのかもしれない。



後で親に怒られはしないだろうか。




彼女の顔を思い出すと、

ボクは申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。



なんとケチくさいことをしたんだろう。





この国は、


1ドルあればレストランで食事をすることだってできる。




ボクはゲーム感覚だったかもしれないが、


彼女にとっては、死活問題だったのだろう。




トゥクトゥクが切る風を受けながら

目頭が熱くなった。




ごめんね、


今度行って、


もしもまた会うことができたら、


お詫びをしたい。




イヤ、

彼女に会うために、

ボクはも一度ここへ戻らねばならないだろう。