書名 「おれ にんげんたち」
著者 岡本武司 出版社 ナカニシヤ出版 出版年 2004
先日読んだ「渡りの足跡」の中でこの本のことがでており、気になりすぐに購入した。やはり読んでよかった。黒澤明が不遇時代にソ連が金を出し、ソ連でロケした「デルス・ウザラー」の原作となったアニセニエフの本に魅せられたジャーナリストが新聞社退社後、極東にわたり、まさにジャーナリストらしく丹念に取材し、さらにはロシア語も学び、デルスが実在したのかどうか、さらにはアルセニエフが描いたデルスと実在のデルスの間にあるものはと迫っていく。その情熱にまず圧倒される。デルスに魅せられ、アルセニエフに魅せられた著者が追いかけていくなか、ふたりの人間が非常に魅力的に蘇ってくる。圧巻は最終章。アルセニエフが革命後たどる悲惨な道のり、さらにそれに巻き込まれ彼の死後もスターリン制の犠牲になる二番目の妻や子供の道のりをたどり、一番目の別れた妻の子どもが、デルスと過ごした二ヶ月ばかりのことを回想した記録で締めるのだが、この回想記が限りなく美しい。デルスもアルセニエフもこの息子の回想録の中で、さらに美しく蘇る。悲惨なアルセニエフ一家の悲劇を知ったあとだけに、なにか救われたような気持ちになる。
長谷川濬は最晩年訳しつづけていたのがアルセニエフだった。何故か、ずっと気になっていたのだが、この本を読んで少しヒントを得たような気がする。著者と濬さんを会わせたかったなあ。
この著は実は未完成のものだったのをかつての新聞社仲間がまとめて本に仕上げたもの。本になって良かったとつくづく思う。いい本である。
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=deracinetuush-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=4888488975" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
著者 岡本武司 出版社 ナカニシヤ出版 出版年 2004
先日読んだ「渡りの足跡」の中でこの本のことがでており、気になりすぐに購入した。やはり読んでよかった。黒澤明が不遇時代にソ連が金を出し、ソ連でロケした「デルス・ウザラー」の原作となったアニセニエフの本に魅せられたジャーナリストが新聞社退社後、極東にわたり、まさにジャーナリストらしく丹念に取材し、さらにはロシア語も学び、デルスが実在したのかどうか、さらにはアルセニエフが描いたデルスと実在のデルスの間にあるものはと迫っていく。その情熱にまず圧倒される。デルスに魅せられ、アルセニエフに魅せられた著者が追いかけていくなか、ふたりの人間が非常に魅力的に蘇ってくる。圧巻は最終章。アルセニエフが革命後たどる悲惨な道のり、さらにそれに巻き込まれ彼の死後もスターリン制の犠牲になる二番目の妻や子供の道のりをたどり、一番目の別れた妻の子どもが、デルスと過ごした二ヶ月ばかりのことを回想した記録で締めるのだが、この回想記が限りなく美しい。デルスもアルセニエフもこの息子の回想録の中で、さらに美しく蘇る。悲惨なアルセニエフ一家の悲劇を知ったあとだけに、なにか救われたような気持ちになる。
長谷川濬は最晩年訳しつづけていたのがアルセニエフだった。何故か、ずっと気になっていたのだが、この本を読んで少しヒントを得たような気がする。著者と濬さんを会わせたかったなあ。
この著は実は未完成のものだったのをかつての新聞社仲間がまとめて本に仕上げたもの。本になって良かったとつくづく思う。いい本である。
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