デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

津波のあとの時間割

2013-03-29 16:19:53 | 観覧雑記帳
作品名 「津波のあとの時間割-石巻・門脇小・1年の記録」
監督 青池憲司
観覧日 2013年3月5日
会場 ポレポレ東中野

津波震災の記憶をきちん後世に伝えていかなくては、という思いから元石巻教育長の阿部和夫さんが中心となり、製作委員会をつくり、青池憲司を監督として迎えつくったのがこの映画である。阿部さんは石巻若宮丸漂流民の会の会員でもある。阿部さん曰く、「七人の侍と同じ、専門家の方を雇って、映画をつくってもらった」とのこと。
黒こげになり、焼きただれた門脇小の建物は、今回の震災津波の象徴的なものとなっている。ここに通う子どもたちは、高台にある門脇中学校に移り、勉強を開始した。このドキュメンタリーは、6月から門脇小にカメラを据え、子どもたちの姿、そしてこの地域で生きている人びとの生活、復興をめぐって、特にどこに移住するのかそうした問題をめぐっての行政側と住民側のやりとりなどもはさみながら、淡々と描いていく。
子どもたちの明るい表情、そして笑顔が印象深い。どれだけ恐ろしい思いをしたか、どれだけ恐かったのか、それを胸にぐっと秘めて、明るく振舞う姿に胸を打たれた。彼らは忘れているわけではない、でも笑顔でにこやかに生きようとしている。きっと無理をしているはずなのだが、それをいきがらずに自然体で行こうとしているのだ。
3年生が半年かけて、どうやって復興させていくのか、それを真剣に話し合い、調べながら、プランをつくり、それを発表するというプロセスが一本の大きな柱となっている。人工島をつくるとか、高い堤防をつくり、その地下に貯蔵庫をつくるとかという発想がつぎつぎに出されるのは、あの津波がほんとうに怖くて、それを逃れるためにはどうしたらいいかということを真剣に考えた結果ではないか・・・
市と住民との復興プランについてやりとりもこの映画ではとりあげられているが、海岸線に公園をつくるということだけしか、いまのところアイディアがないようだ。子どもたちのプランを絵空事だというだけでなく、しっかり聞くべきであろう。そこには根幹となる大事な話しが含まれているようでならない。




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