大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第177回

2015年02月17日 14時55分40秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第170回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第177回



「そのうち琴音さんにも伝わるようになりますよ。 分かるようになると言った方が宜しいでしょうかな。 人間のするような会話とまではいきませんが、そうやって意思疎通を図ることができるんです」 

「私に? ・・・そんなことが出来るようになるんですか?」

「訓練が必要ですがな。 動物を愛していれば出来ますよ。 私が琴音さんにお願いしたのは琴音さんからとても動物を愛している気持ちが見えたからなんですよ」

「動物のお話なんて全然していなかったのに・・・。 改めて正道さんって凄いんですね」

「褒めてもらえて光栄ですな。 琴音さんなら人より早く習得できますよ」

「わぁ、ワクワクします」 不安よりもワクワクの方が先に立ったようだ。

「最初がこの仔でよかったですな。 本当にこの仔は大人しいですからな」

「最初に噛まれたりするとトラウマになりそうですね」

「ははは、そういう方も多くいらっしゃいますからな」

「正道さんがさっき仰ったサンス・・・えっと、梵語なんですけど その文字・・・梵字はどんな形だったんでしょうか?」

「サンスクリット文字とも言います」

「そうでした。 サンスクリットでした」

「それにしても梵語という言葉を一度で覚えられたのには驚きますなぁ。 それに梵字とすぐに出てきたのは?」

「空海の本をよく読んでいたので そこで梵字という言葉をよく見かけていました」

「そうでしたか」

「いったいどんな文字だったんでしょうか?」

「ああ、それは私にも書けませんなぁ。 ですがシンボル文字として墓や位牌に書かれていることが多いですかな」

「お墓やお位牌ですか?」

「全てに書かれているわけではありませんが・・・他にどこで見かけますかなぁ・・・ちょっと見当がつきませんが・・・梵字がどうかしましたか?」

「さっき正道さんとお話していて思い出していたんです」

「はい」

「さっき言っていましたあの見えていた変な文字・・・あれはなんだったんだろうって 全然調べなかったなって・・・何度かメモろうと頑張ったんですけど上手くいかなくて・・・それで覚えてもいなかったので もしかしたらその梵字なのかなって・・・見たら思い出すかもしれないかと思ったんですけど お位牌やお墓にかかれるような文字ではなかったと思いますからきっと違いますね」

「そうですか。 ですが追求する必要があったらその時にきっと調べていますよ。 その必要がなかったのでしょうから考え過ぎなくても宜しいんじゃないですか? それに必要があればこれから何かがありますよ」

「そうでしたね。 さっきそう仰っていただきましたね」 手はずっと仔犬の頭を撫でている 。

「あら寝ちゃったのね」

「琴音さん、ちょっと遊んでみましょうか」

「はい?」

「オーラという言葉を聞いたことはありますか?」

「はい」

「誰にでも見えるのは白く・・・輝いたりして見えるんですが・・・」

「え!?」

「どうかしましたか?」

「あ、すみません。 白って、それってもしかして人の周りに見えるんですか?」

「はいそうです」

「違うかもしれませんが悠森製作所に入って、あっ、今の会社に入社してすぐ人の周りにそれが見えたんです」 それだけじゃあないだろ? 山にも木にも見えているだろう?

「あら? そうですか。 じゃあ、色もご覧になったんですか?」

「色は見えませんでした」

「そうですか。 人に限らず動物にも木にも花にも全てに見えますよ。 今、琴音さんはいい色を出していますよ」

「何色ですか?」

「ご自分で見てごらんなさい。 掌を前に出して掌の向こうを見るようにして、掌はボォッと見る感じで凝視をしない・・・」 言われるままに掌を目の前に出し、掌の向こうを見た。

「どうです? 何か見えませんか?」

「特に何も・・・」

「指先からがよく見えると思いますよ」 そういわれて視線を指先の向こうに移した。

「あ・・・なんでしょうか・・・緑?」 そう言いながら今度は掌を上にして床と水平にしたと思ったら

「あ・・・エメラルドグリーンです。 すごい、掌の上でエメラルドグリーンの炎が揺らめいているように見えます」 そう言ったかと思うと

「キャー!」 思わず掌の炎を払い落とすように手を払った。 その振動で仔犬が目を覚ました。

「あ、ゴメンねゴメンね」 さっきまでエメラルドグリーンの炎があった手で仔犬の頭を撫でるとまた仔犬は寝に入った。

「どうしました?」

「エメラルドグリーンの炎のような物が急に1メートルくらい上にあがったように見えて・・・」

「はははは・・・そうですか。 初めて見てそこまで見られましたか」

「つい、手が焼けるかと思いました」

「はははは、とても綺麗なグリーンだったでしょう?」

「はい」

「グリーンは調和を表します。 他にもまだありますが、例えば癒しの色」

「癒しの色ですか?」

「はい。 ヒーラーとしてはとてもいい色です」

「何だか恥ずかしいです」

「仔犬をそうやって触る前までは、そのグリーンに青がかかっていたんです。 ブルーグリーンとでも言えばいいんでしょうかな?」

「え? オーラってそんな短時間で変わる物なんですか?」

「その人のその時を正直に表してくれます。 今は仔犬との調和が取れて、ただひたすら仔犬の頭を撫でている琴音さんの優しさが癒しとなってグリーン一色になったんです。 だからといって青が悪いわけではありませんよ。 青は冷静、思慮深さ。 私の話を真摯に聞いてくださっていたから青がかかっていたんですな」

「オーラの色でそんなことまで分かるんですね」

「今はお遊びですからな。 これからはもっと深く勉強していかなくてはなりませんよ」

「わぁ・・・覚えることが多そうですね・・・私本当に大丈夫でしょうか?」

「頭で覚える必要はありません。 経験で覚えていきましょう」

「・・・はい」

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