五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

熊本の小さな馬肉屋さん

2010年11月15日 | 第2章 五感と体感
フランスに40年以上住んでいる友人から頼まれた物は「馬油」。
しかも、熊本の○○馬肉店が作っているものが欲しいと言ってきました。

週末、そのお店に何度も電話をかけたのですが、留守電になっていて確認のしようがありません。恐る恐るFAXをしてみました。
すると、日曜の朝に、馬肉屋さんから電話がかかってきたのです。

熊本弁のおじさんの声を聞いた途端、友人が親しみを持って指定してくる理由が解りました。

「一人でお店をやっていて、朝から馬肉を仕入れ、店は3畳の広さしかなく、そこで肉をさばき、ばあちゃんに電話番任せると電話をこわしちゃいそうだし、儲け関係なく馬油を店先に500円で置くようになったら、そのうちインターネットで全国に知れ渡るようになっちゃって、でも人を雇うお金もないし、店先に缶を置いて500円入れてもらってるんだよ、、、」とおっしゃいます。
しかも、「14年前から馬油をそんなふうにして売ってるんだけど、一度も物とお金が合わなかったことがないんだよ」と。

温もりある熊本弁のおじさんのお喋りに、欲のない優しさと勤勉が見えてきました。そして、「生きて半畳、死んで一畳」を思い出し、「仕事、3畳かな、と」納得したのです。

「侘び・寂び」は、贅沢な茶室を考案する崇高な精神だけから来るものではなく、田舎の小さなお店で粛々と今日も働いているおじさんから「身の丈の哲学」として聞こえてきました。

「馬の油に手を突っ込んでると、手がべとべとで電話にも出れないんだよ。留守電に入れといてくれたら必ず後から電話かけるから…」

物に埋まった生活の中、更に何かが欲しいと願う自分の生活に、何か不満めいたものを感じていた私は、馬肉屋のおじさんのシンプルライフに心を打たれました。

本の整理に時間がかかっている私自身の「要る」「要らない」のスケールはまだまだ甘いかもしれません。

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