Mr.コンティのRising JAPAN

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Grand Final から来シーズンに Central Coast 2-0 Western Sydney

2013-05-18 | Aussie & Kiwi
発煙筒の煙が少し止み、 Peter Green 主審のホイッスルが鳴り小野から Kresinger へキックオフのボールが渡った。
そして大歓声が上がる。その歓声の6割以上は Wanderers サポーターから湧き上がるものだ。その歓声に乗って Wanderers イレブンが Mariners ゴールに迫る。 43秒には小野から右サイドを上がったボランチの Aaron Mooy に送られ更に右サイドライン沿いを上がった Appaich Kubi に送られクロスが入る。
これは Mariners DF が何とかクリアーしCKに。小野がCKをセットすると更に大歓声が上がった。

立ち上がりは累積警告によって出場停止のエチオピア人 MF Youssef Hersi に替わってスタメン起用された Kwabene Appiah Kubi が顕著に右サイドを上がっていた。 Appiah Kubi は数日前にNew Zealand 代表 All Whites 入りを打診されたらしい。気分は悪くはないだろう。 最前線は Dino Kresinger と小野が上がってきて2トップ気味になることが多いので小野のマーク役にこの試合抜擢された Oliver Boznic が
Appliah Kubi のマークに入れないので同じ All Whites の Michael McGlinchy が左SBの Josh Rose と共に Appiah Kubi をケアーせねばならなかったので Mariners は左サイドが完全に押し込まれる形であった。



しかしこの勢いは5分と持たなかった。4分17秒にカウンター攻撃を展開し、右SB Redj Bojic がクロスを入れ Bernie Ibibi-Isei が Shanon Cole を交わしてシュートを放つがクロスバーを越える。 6分27秒 Rose を右SB Jerome Polenz が倒し Mariners がFKを得る。 McGlinchy が入れたFKにCB Trent Sainsbury がヘッドで合わせるが惜しくも外れる。8分45秒には後方からのロングパスを Sterjovski がうまくバウンドを合わせてマークに入った Nikolai Topr Stanley を外してフリーでシュートを放つが惜しくもポストの右に外れていく。 
Wanderers は小野がトップに入ったことから彼からの絶妙のパスの受け手がなくなっていた。 そして開始早々から勢いのあった Appaiah Kubi が5分も経たないうちに Rose に抑えられるようになってしまった。 早くも Hersi の不在が堪えて来ていた。更に出場停止のMontgomery に替わってスタメンに抜擢されたボランチの Boznic が懸命に小野をマークするのでなかなかいい体勢でボールを貰えない。そして受け手がいないので後ろに下げざるを得ないシーンが目につく。
劣勢続きを見せられ続ける Wanderers サポーター達はまたもゴール裏で発煙筒を炊き始めた。 電光掲示板には発煙行為は違法なのですぐに止める様に注意をするが勿論こんなことで誰も止めはしない。 欧州のスタジアムなら屈強な警察官か軍人が飛んできてすぐにつまみ出されるのだけど…


だがこういう中断にも Mariners は主導権を離さない。 立ち上がりは押し込まれていた左サイドが逆に攻撃の起点になることが顕著になり McGlinchy がよくクロスを上げていた。 26分に小野のFKからCKを得て再び小野が入れたCKに CB Beachamp が飛び込むが届かず逆サイドに流れたところを右サイドを走りこんだ Kresinger が滑りこむが僅かに届かない。 このシーンが前半、というよりもこの試合最も Wanderers サポーターが沸いたシーンであったと思う。
Mariners は Wanderers のもう一人の攻撃の担い手 Mark Bridge には Hutchinson がしっかりとマークに着きボールが思う様に回らない。そしてこぼれ球はことごとく Mariners が拾い続けていた。 
38分には 中央のMcBreen が左の McGlinchy に送るが Wanderers DF がクリアーするがこぼれ球を小野と競りながら小野のマーク役だった Boznic がそのままノートラップで放ったショットは僅かにポストの左に外れる。 40分29秒には McGlinchy からのクロスに McBreen が飛び込むが惜しくも合わない。


 
劣勢続きの Wanderers を見てこのまま何とか前半を終わってくれればと思った44分 Mariners はCKを得る。 McGlinchy が入れたCKに後方から走りこんだ 190cm の CB Patrick Zwaansnwijk のヘッドがさく裂し Wanderers ゴールネットに突き刺さった。 かつて大分でもプレーした38歳の大ベテランが後方から走りこんだのだが誰もマークを付いていなかった。 1か月前のヨルダン戦の失点を見ているみたいであった。 Zwaanswijk のACLでの柏戦に続く高さを生かしたゴールであった。
目の前のゴールに Mariners サポーター達の大歓声が沸きあがった。 彼らを見てさすがべテラン Zwaarswijk と思った。





そして1分間のロスタイムも過ぎ前半終了のホイッスルが鳴った。 1-0 というスコアーは試合内容を的確に表していると思った。



後半、両チームともメンバー交代なく始まった。小野が2列目に下がり Bridge が前線に上がり Kresinger と2トップ気味になった。これで小野からのパスの受け手が増えて Wanderers がチャンスを掴むだろうと期待した。
しかしピッチ上では Mariners のボール支配率は変わらなかった。そして59分頃からまた Kresinger のワントップに戻した。
それでも相手ゴール前に迫るのは Mariners イレブンばかりだった。63分には後方からのロングパスをまたも Sterjovski が受け今度は Beachamp と競りながらシュートに持ち込むがこれはクロスバーを越えた。
この二人、元 Socceroos 同志の競り合いだった。
66分 Wanderers ベンチは Kresinger を下げてコソボ人FW Labinot Haliti を投入した。前線をどうするのだろうと思うと
その直後に Wanderers のミスからボールを奪われゴール前にボールを送られ最後はPA内で McBreen と競り合った Jerome Polenz の手に跳ね上がったボールが当たりPKを取られてしまう。 ちょっとこの判定はかわいそうだと思ったけど故意でないにしろ明らかにボールは Polenz の手に当たっていたのでPKもやむなしといったところか。
Wanderers サポーターの目の前の出来事にスタンドからは発煙筒が投げ込まれるがこのPKを McBreen が決めて Mariners のリードが広がった。 残り23分で2点差、無理ではないがこの展開をみると厳しいか…と思った。





71分 Wanderers ベンチは Appaich Kubi を下げてTarek Elrich を入れて Mooy を2列目に上げてきた。すると1分後今度は Mariners ベンチが動く。ベテランFW Sterojvski を下げて Mitchell Duke を入れるが2トップは変わらない。 Duke こ今シーズン6ゴール決めている FW だ。 Wanderers は 76分に Polenz を下げて Rocky Visconty を入れて2列目左においてBridge と Elrich の2トップにする。 小野をトップ下において Mooy を2列目右に置いた。そしてボランチを Poljak 1枚にした。
だがラストパスどころかその前のパスも繋がらずロングパス、ミドルパスも簡単に Mariners 中盤にカットされる。 DFラインと中盤がコンパクトに保たれているので常に数的優位を保つ。80分には Bojnik が Mooy を倒して FKを得る。 小野がボールをセットすると Wanderers サポーター達から何とかしてくれと大歓声が上がるがゴールには結びつかない。 その後、逆に Wanderers ゴール前でこれまで激しく体をぶつけ合っていた McBreen と Beachamp が遂に爆発する。 ここは主審から注意だけであったけど、劣勢続きの展開に Wanderers サポーター達はグランドに背を向けてみな肩を組んで何かチャントを叫びながら飛び上がり続ける。



83分、Wanderers がPAのすぐ外の正面やや左の好位置でFKを得る。思わず“小野、お前が蹴れ、小野、もう一度蹴れ。”と叫ぶ。サポーター達もそれを望むが蹴ったのは Mooy 。
その弾道は大きくゴールを外れた。



Mariners ベンチは87分ベテランボランチ Huchinson を下げて21歳の Nick Fitzgerald を投入する。 Mariners サポーターから Hutchinson に大歓声が送られる。 Fitzgerald はシーズン途中から Brisbane Roar から移籍してきた選手だけど 2009-10 のシーズンは Mariners に入団し翌シーズンから Brisbane に移籍した選手。これで3大会連続で Grand Final に出場した珍記録を樹立したことに。 
88分に Bridge が左サイドからナイスクロスが入るが Elrichがオフサイドポジションだった。 ロスタイムが3分と表示される。
90分にHaliti がPA内で倒さるがホイッスルは鳴らない。2年前 Mariners はロスタイムに失点をして手中にしていたタイトルを失ってしまった。だけど今年はロスタイムに入っても更に攻勢を続ける。91分には Fitzgerald がフリーでヘッドを放つがここな Covic がキャッチ。 そしてタイムアップのホイッスルが鳴り Mariners が4度目の挑戦で Grand Final で勝利を収めることとなった。





試合後、表彰式が行われる。敗れた Mainers の選手一人一人にメダルが授与されるがもっとも歓声が上がったのは小野の名前が読み上げられた時であった。 来シーズン、小野はもう一度オーストラリアで挑戦することになっているが、ACLで凱旋来日する日が今から楽しみだ。 Popovic 監督は試合後、今はこの敗戦に大変失望しているが翌日は自分たちが成し遂げたことと選手たちを誇りに思えるだろうと語った。 小野もこれで終わりではないと話したらしい。
だけどシーズン終了後、 Kresinger をはじめ Elrich, Gibbs, Visconte 達4選手と契約を更新出来なかった事となった。



そして遂に自分たちが最後に表彰される側に立った Mariners は Hutchinson 首相に優勝トロフィーが渡されるとサポーター達から大歓声が上がった。そして Wanderers サポーター達はまたピッチを背にして肩を組んでいた…



そして Graham Arnold 監督の歓喜というよりも安堵の表情が印象的だった。2006年ワールドカップが終わって Hidding 監督からバトンを受けたが翌年の Asian Cup ではベスト8止まりで、北京五輪でも1次リーグを突破できなかった。チームの経営問題もありながらビッグタイトルを勝ち取った事でこれまでの不運も少しは返せたのではないか。



この試合の翌日に韓国に出発しアウェーで水原三星を破りACLで1次リーグを突破も果たした。 その後広州恒大に敗れたけど、まだアウェー戦が残っている。
試合後、すっかり日が暮れてしまっていた。 2009年は2月に開催され2011年は3月に開催されたんだっけ。
また来年 A-League はどんなドラマを見せてくれるのだろう。 日本の“ジャーナリスト”達には無関係の世界だけどその方がじっくり楽しめる気がする。 この聖域を侵されない幸せを感じながら来シーズンを待つこととしよう。 



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