Mr.コンティのRising JAPAN

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Newcastle にて Olyroo vs 北朝鮮 前半

2007-09-11 | 五輪 U-20, U-17

来年の北京五輪に向けてアジア各地で予選が繰り広げられている。
9月8日にアウェーでサウジアラビアと引き分けた日本は、12日にホームでカタールを迎える。前半の正念場だろう。
1996年3月、28年振りにアジアの壁を突破してアトランタ五輪の出場を決めて以来シドニー、アテネと連続五輪出場を果たしているがその予選の組み合わせは少し恵まれていた様な気がした。それもアトランタ五輪出場以降日本のランクが上がりシード権を獲得し続けた恩恵かもしれない。それとも日本の政治力がついたのだろうか? この北京五輪予選サウジアラビア、カタールと同組になりこれまでの様に Easy な相手ばかりではなくなった。他組を見てみると韓国の所属するB組はバーレーン、シリア、ウズベキスタンが同居する。韓国にとっては対戦相手が比較的西側に集中しておりアウェーゲームの遠征が少し厳しいかも知れないが力からすると韓国は前回の様にイランや中国を相手にするよりかは容易かも知れない。早々と連勝をし次の12日、ホームでのシリア戦に勝てばかなり楽になる。
そしてA組、AFC 新加盟のオーストラリア、イラク、レバノンそして北朝鮮がいる。この組が最も激戦と言えるかもしれない。
候補の一つであるオーストラリアはアテネ(ベスト8)シドニー(1次リーグ)アトランタ(1次リーグ)バルセロナ(4位)ソウル(ベスト8)と5大会連続出場中だがそれは特にこれまでオセアニア枠でほぼ“自動的に”五輪出場を続けられてきたおかげと言えなくない。今回からはアジアの壁を乗り越えねばならない。
そして9月8日は Newcastle に朝鮮民主主義人民共和国を迎えた。北朝鮮は1976年モントリオール五輪に出場しベスト8に進出しているが、この時の五輪は多くのアフリカ諸国がボイコット、ガーナ、ナイジェリアと言った国が辞退し北朝鮮はソ連に0-3 で敗れたもののカナダを3-1 で破りベスト8に進出。そして準々決勝では前回金メダルでモントリオール五輪銀メダルのポーランドに 0-5 で敗れている。それ以来の五輪出場を狙うが、そもそもエントリーをする事が何大会ぶりなのだろう?

この五輪予選は Newcastle Jests のホーム Energy Australian Stadium で行われたが五輪予選にしては少し淋しい競技場であった。北朝鮮の選手達にとってはむしろ大規模な金日成競技場と比較していたのではないか?この日はどうしても試合前の練習が見たくて試合開始40分程前に競技場に入った。ピッチでは両チームの選手がアップを兼ねて練習をしている。ここはピッチと観客席が大変近く選手達の様子がよく解る。すると北朝鮮のコーチであろう何人かがこちらをじっと見ているのに気がついた。少ない観客の中でアジア人系の顔をしているのは皆目ゼロに近かった為であろう。思い切って彼らに“イルボンサラムニダ !! “ と叫んだ。発音が悪いせいか何度か聞き直す素振りを彼らがしたが最終的には頷いたので分かったと思う?? 選手達はピッチ上で体を動かし続けているがコーチや役員達はロッカールームに戻ったりしており、その度に私と目が合う。だが彼らは愛想よく笑うので私も思わず親指を立てたりVサインを出したりする。とても政治的に敵対する国同士の人間のやり取りとは思えないが彼らは拉致問題なんか知らないんだろうなぁ….



すると観客から東洋系の女性が役員の一人と話している。役員が離れてから彼女の所に走り寄り英語で”北朝鮮から来たのですか?それともここで北朝鮮チームのコーディネートをしているのですか?“と尋ねると彼女は韓国からオーストラリアに移住してきて地元のオージーと結婚し、この試合はただ家族と観戦に来ただけだと教えてくれた。すぐに亭主と子供達がやって来た。
それにしても観客が少ないなぁ。ワールドカップでベスト16に進出したとは言え地元の人々は五輪代表にはそれほど興味がないのだろうか?それとも Sydney でもMelbourne でもないNewcastle と言う街のせいなのか?それでも何人かのサポーター達はピッチ上の選手達に声援を送っている。やがて両国の選手達がロッカールームに戻る為に入退場口の方にやって来る。何人かの北朝鮮のコーチ達がこちらを見て笑っている。そしてさっきの在留の韓国人女性も何か韓国語で声援を送っていた。何か温かいものでも飲もうと競技場の外(といってもすぐに外にでれるのだけど)に行くと両国の国旗と Fair Play Please の旗を持って入場する子供達が待機している。全員が白いTシャツ1枚で寒そうだ。そしてみんな女の子だ。彼女達の夢は Matildas のユニフォームか?カメラを向けるとみな愛想よくポーズを取る。国立競技場では考えられない。 The Smaller is the better とはこのことか?



そして両国選手達が入場口の所に整列する。先頭は審判団。この日は日本人で構成されている。テカヤマヒロヨシ主審に線審はナギトシユキさんにテヅカヒロシさん。“お疲れ様です!! “ と声をかけると3人とも驚いたように”あぁどうも!! “と答えてくれた。”日本から来ているのは私だけですから。ジャッジ頑張ってください !! “と言うと。“ハイ。有難う御座います。”と話が出来た。本当に日本での五輪予選では考えられないなぁ…….



国歌演奏はまず北朝鮮からだ。昔趣味でよく聴いていた朝鮮中央放送の開始時にかかる聞き覚えのあるメロディーが流れる。しかしスタンドでは誰も一緒に歌える人はいない。演奏が終わった時にさっきの韓国人女性に向かって“金日成同志 ! 万歳 !! “ と言うと彼女も”金正日! 万歳 ! “ と笑いながら言った。二人でオーストラリア国歌が始まるまで “将軍! 万歳!”とか“労働党!万歳”とか言っておどけていたけど韓国ではこんなこと言えないだろうなぁ…..



オーストラリア国歌の大合唱?が終わりキックオフを迎える。両チームとも4バックの布陣。北朝鮮 GK Ri Myong Guk は昨年のアジア大会での日本戦は控えのGK. DFラインは右から Pak Chol Jin , Ri Jun Il, Ri Kwang Chon, Joh Kwang Ik 。Pak Chol Jin は日本U-22 も参加した8月の瀋陽での4カ国対抗の日本戦にも出場。 Ri Jun Il はアジア大会のメンバーだったけど控えだった。
一方のオーストラリア。 Sydney FC の右サイドバックMark Milligan が出場停止明けでスタメンに。他には Adelaide United のKristian Sarkies、地元 Newcastle Jets の Mark Bridgs, そして Perth Glory の Billy Celeski のレバノン戦に出ていない4人の選手が起用された。浦和レッズと ACL を戦った Ruben Zadkovich, Nikolai Topor-Stanley もいる。 Topor-Stanley はACL後には Perth Glory に移ったけど。DFラインは右から Zadkovich, Adrian Leijer, Milligan そして Celek。Leijier は Premierships の Fullham に所属する。
ピッチ上はややスリッピーだけどどちらに味方するのだろう?北朝鮮の攻撃陣は Choe Chol Man のワントップに2列目右が An Chol Hyok. 左が Pak Nam Chol 。 22歳の Choe Chol Man , 20歳のAn Chol Hyok は瀋陽の4カ国対抗に出場しアジア大会では控えの選手だった。 Pak Nam Chol はアジア大会でもレギュラーで、瀋陽4カ国大会も出場しているチームのエース的存在。開始3分にはカウンターから An Chol Hyok が左サイドを突破し Pak Nam Chol に繋いでオーストラリアゴールに迫った。すると今度はオーストラリアが Mark Bridge がドリブルで上がり逆サイドの デンマーク Brondby でプレーするWilliam David へ。William の折り返しは北朝鮮DF Pak Chol Jin がヘッドでコーナーに逃れた。その Sarkies が上げたCK、GK Ri Myong Gok が弾いたところを William がフリーで撃つがゴール枠を捉えられない。というよりもその浮玉が上手く足下に収まらなかった。
そして以降、Olyroo 達の攻撃が続く。16分には Mark Bridge にスルーが通り落とした所を Sarkies が撃つがGK正面。その直後も Bridge がインターセプトからミドルを放つ。22分には William からスルーパスが右サイドを上がった Zadkovich に渡りシュートを放つがGK Ri Myong Guk がセーブ。その直後にもスルーパスが Sarkies に渡りチャンスを迎えるが最後は Ri Jong Il がコーナーへ逃れた。28分にはACL で浦和のワシントンをマークした巨漢、 Nikolai Topr Stanley が攻撃参加し起点になりCKを得る。そのCKをGK Ri Myong Chol がパンチで弾くがそれを William にダイレクトで撃たれて危ないシーンが。北朝鮮は左右に動く Pak Nam Chol のボールキープが頼りで右サイドバックの Pak Chol Kin が相対する Sarkies のマークに腐心させられるので攻撃参加が出来ず、左サイドからしか相手コートに入れない。しかしそこには Zadkovich そして Leija がいるので左サイドバックの Joh Kwang Ik が上がって来て An Chol Hyok が絡んで来ても最終ラインが突破出来ない。 Olyroo はTopor-Stanley の上がって来る回数が増えるにつれてチャンスも多くなる。32分には England の QPR に所属する Nicholas Ward から Bridge, 地元 Jets に所属する Stuart Musialik そして最後は Topor-Stanley に渡り豪快なミドルシュートがさく裂した。そして37分、前半最大のチャンスが Olyroo に訪れる。 Bridge からのロビングを Celeski が頭で右に落すと William に当たって再びCeleski に渡る。Celeski からゴールラインはほんの数十センチ。しかしここは GK Ri Myong Guk が必至のブロックでCKに逃れる。そのCKも Ri Myong Guk が身を投げ出してキャッチした。不安定な立ち上がりだった Ri Myong Guk は次第に安定感を取り戻してきた。
この一方的な展開の中で38分北朝鮮がチャンスを迎える。右サイドによりドリブル突破を試みるPak Nam Chol が倒され良い位置でFKを得た。 Olyroo は5枚の壁を作る。Choe Chol Man と Pak Nam Chol がセットされたボールに寄るが Choe Chol Man の蹴ったFKはクロスバーを大きく越えてしまった。結局これが北朝鮮前半唯一のチャンスとなり、以降 Olyroo の猛攻が続く。42分にはCKを Ri Myong Guk が弾いたこぼれ球を Celesli が撃つがGK正面。44分にはカウンターから Celeski が再びドリブルでPAに侵入するが Ri Kwang Chon, Joh Kwang Ik の二人がかりでストップ。ロスタイムにはいった46分にもカウンターからまたも Cleeski がドルブルシュート。そおのこぼれ球を Bridge が撃つがゴールネットは揺らせなかった。そして前半がスコアレスのまま終了した。ロッカールームに戻る選手達に声援が送られる。北朝鮮の選手にはさっきの韓国人女性がなにやら声をかけている。“頑張って”とでも言っているのだろうか?やはり南北は分断されていても同じ民族なんだなぁ…… アーノルド監督にも声が飛ぶがあまり良い内容ではなさそうだ….  後半どちらが先に点を取るのだろう…..続く



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おひさしぶりです (まゆ)
2007-09-13 10:38:32
TBありがとうございました!!
あいかわらずのインターナショナルぶりですね!!
カッコイイです!!
審判団やコーチ陣と交流が取れるなんて、
すごくいい経験ですよね(笑)
ていうかコンティさんハングルも喋れるんですか!?
ウ~~ン毎回思うけど見習わないと・・・(笑)
日本は、ホントに大丈夫なのかって思ってしまうほど
コワイ試合でした(汗)
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五輪予選 (Mr.コンティ)
2007-09-13 14:46:15
まゆ様

こちらこそいつもありがとうございます。
他国の状況よりもちろん日本の戦いぶりが一番気になります。まゆさんのブログを通じてその様子が手に取るようにわかるので助かっております。

このオーストラリア対北朝鮮が行われた競技場は大変小規模で観客も少なかったですが、そのおかげで審判団やコーチ達と”交流”ができたりいい経験でした。

私は残念ながらハングルは話せません。これができればこういう機会に北朝鮮の人と直接話したり、また韓国のサッカー事情なんかも知ることができるのにといつも思うのですが.....
でも外国語学習はきっかけが大切です。受験の為に勉強するのでなく、目的をもって、韓国のサッカーが知りたいからハングル語を、セリエAをもっと知りたいからイタリア語をと考えて始めれば覚えるのも早いです。
えらそうなこと言ってすんません。次の10月17日のカタール戦で勝利すればかなり予選突破は見えてくるのではないでしょうか...
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