Mr.コンティのRising JAPAN

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6月22日 ハンブルグ にて 対決 ネドヴェドvsアズーリ

2006-08-07 | FIFA World Cup
両国の選手達が入場してくると場内はイタリア、チェコ両国のサポーターを中心に大歓声で我らが代表選手を迎える。そして国歌斉唱。チェコ国歌がワールドカップの舞台で流れるのは今大会が初めてだ。イタリアはアメリカ戦では先発した右サイドバックのザッカルドが外れ左のザンブロッタが右に回り、左にはグロッソが入った。FWはルカ=トニーを下げてジラルディーニョのワントップ。中盤構成を一人増やしアメリカ戦退場で出場停止のデロッシに替わりカモラネージ、ガットゥーゾが起用されて中盤構成を5人に(他はトッティ、ペロッタ、ピルロ)増やした。一方、前節ガーナ戦で完敗したチェコ。初戦のアメリカ戦では完勝したものの長身のヤン=コラーが負傷してこの試合も起用出来ず。ワントップはガーナ戦ではそのコラーの代役と成り得なかったロクベンツではなくアストンビラのFWバロシュ。そしてボランチをガラセクに替えてボラク。ガーナ戦退場で出場停止のウィファルシの代役はロセフナルを起用してのスタートだ。バロシュの怪我からの回復具合が気になる。同行したNさんにこの組の星勘定をノートに書いて説明する。“同じ時刻にニュルンベルグでアメリカ対ガーナ戦が行われていますが、今全ての国に決勝トーナメントのチャンスがあります。イタリア、チェコ破れたほうが1次リーグ落ちの可能性もあれば残る可能性もあります。しかし勝点1少ないチェコは引分けてもアメリカ対ガーナ戦の結果次第で落ちる可能性もあるので絶対に負けられない試合です。しかしイタリアも破れると1次リーグ落ちと言う事もあります。” ついでに夜に行われる日本のいるF組の星勘定もノートに書いて説明した。こちらはかなり厳しい….
試合は開始から勝たねばならないチェコの猛攻で始まった。目の前はイタリアゴール。その前でチェコの選手ががんがん攻めてくる。座席が前から2列目なのでそのワールドクラスの攻防の迫力に圧倒される。MFのロシツキがほぼFWの位置に張り出してバロシュとの2トップの形に。そして33歳のネドヴェドが縦横に左右に動いてチャンスを作る。ものすごい勢いと運動量だ。4分には左CKからロシツキが、8分にはネドヴェドのロングフィードからバロシュがショットを放つがGKブッフォンがブロック。11分ネドヴェドが自らミドルを放つがまたもやブッフォンがセーブ。15分にはポドルスキーからネドヴェドに渡りそのままミドル、ブフォンが弾いたところをロシツキが詰めるがゴールを割らない。チェコはネドヴェドのみならず、ロシツキのボールキープが良く、1996年欧州選手権準優勝時の立役者ベテラン、ポボルスキーも動きが良い。特に右に位置するポボルスキーがグロッソ、カンナバーロと目の前で相対するのを見ると“さすがワールドカップ”と言う実感が湧く。そしてブッフォンもネドヴェドも同じユーベントス所属。これはシュート練習で頻繁に相対しているブッフォンが有利か?立ち上がり劣勢のイタリアに更に深刻な問題が。16分、DFの要、ネスタが負傷で退場してしまう。4年前のワールドカップで韓国に敗れたイタリアだったが、その敗因は審判の疑惑の判定よりもネスタが怪我で使えなかったからと私は見ている。(あとはビエリがチャンスを外しまくった。)その悪夢が甦る。だが瓢箪から駒とはこのことか?替わって入ったインテル=ミランの長身DFマテラッツィが大仕事をする。26分、右CKを得たイタリアはトッティがボールをセットするが時間を稼いでいるようでピッチを背にしてなかなか蹴らない。その間、長身のマテラッツィがゆっくりとペナルティーエリアに上がってくる。そしてトッティがいれたCKをドンピシャのタイミングで高い打点であわせてあっさりと先制ゴールを上げた。翌日のガゼッタデルスポルティボ紙によると身長193cmのマテラッツィのこの打点は270cmの高さにあり、イタリアの公共バスの高さくらいあるらしい。競ったボラクは181cm 全くなす術なしだった。試合の流れは完全にチェコであったがそれを変える大きな先制点だった。そして今から考えればこの交替がイタリアにとって大きな転機となったのだった。この失点後、チェコは焦りが生じたか、それともイタリアが中を固め出したか最後のパスが通らなくなる。逆に38分にはトッティからジラルディーノにパスが渡りペナルティーエリア内でジラルディーノを倒してしまうが主審のノーホイッスルに助けられる。前半ロスタイムにはボラクが2枚目のイエローを貰って退場に。そして起こったチェコサポーターの1人がビールのたっぷりはいったコップをそのままフィールドに投げ入れた。すぐに場内警備員がやってきてそのチェコ人は連れ出された。あとはどうなったのかな?そして前半が終わった。時間はまだあるのだが、果たして後半チェコは追いつけるのだろうか……
ハーフタイム中にNさんにチェコの事を説明する。戦前のチェコスロヴァキアは世界でも屈指の列強であった。戦後も1954年大会から3大会連続で出場し、1962年チリ大会で準優勝を収めるなど優秀な成績を収めてきた。1976年欧州選手権では決勝戦で西ドイツを破って初のビッグタイトルを手にするが、1970年代に入るとワールドカップでの成績はイタリア大会のベスト8が最高でワールドカップの出場自体が1970年大会、1982年、1990年大会のみと失速気味だ。1992年後の連邦分裂後はチェコが1996年の欧州選手権で準優勝を収め、欧州選手権では以降3大会連続出場し好成績を収めているがワールドカップでは出場がなく今大会ようやく欧州予選を突破できた。これは欧州選手権で活躍した若手が西欧のビッグクラブにスカウトされては代表と所属クラブとの過密なスケジュールにコンディションを維持できないと言う悪循環が続いているためだ。今回はネドヴェドが代表復帰を果たし、ポボルスキーらベテランと若手をブリュックナー監督が上手く纏め上げた結果が本大会出場に結びついた。 私達の後ろには青のイタリア代表レプリカを着た3人組がいる。その1人が私の持っているサッカー雑誌のメンバー表の切り抜きとノートを指差して“ you はジャーナリストか?イタリアは勝つと思うか?”と訊いてきた。“残念ながらジャーナリストじゃないけど、マテラッティ、トッティは調子いいねぇ”と言うと“俺と彼はミラニスタだ”と右隣の仲間を指した。するとその彼が私の切抜きを指して“これは何だい?”と声を掛けてきた。日本のサッカー雑誌の切抜きでここに参加国の前選手の所属先や身長体重、ポジションが記してあると指をさして説明すると “オーワンダフル” と言った。日本人選手で知っていたのは中田だけだった。その中田も引退してしまい、この次に日本人選手がセリエAで活躍するのはいつだろう? 続く


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