Mr.コンティのRising JAPAN

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浦和ドリームマッチを目指して vs Sepahan

2007-12-25 | Weblog
12月1日は我が親子にとっては “ Black Saturday “ であった。
12:00 Kick Off の J2 最終節で愛する京都サンガは草津相手にロスタイムで同点ゴールを喫し最終戦を白星で飾れずJ1昇格は入れ替え戦までお預けとなり、14:30 Kick Off の J1 最終節で浦和 REDS はJ2降格と最下位が決定している横浜FCにキングカズの“魂のクロス”に沈み手中にしかけいていた2年連続のJリーグタイトルを逸してしまった。この日失ったものは息子の応援する浦和の方が大きかった。
京都の方は対象チームの札幌が勝てばその時点で入れ替え戦に回る事となっており、結局札幌は逆転で水戸を降したのでその時点で京都の自動昇格は消滅していた。そして翌週のサンフレッチェ広島との入れ替え戦を制して見事にJ1復帰を果たしてくれた。
一方の浦和 REDS は11月14日さいたまスタジアム2002 でイランのSepahan を降しACL王者に戴冠して以降は11月28日に行われた天皇杯4回戦では愛媛FCに 0-2 で敗れるなど4試合では勝星は無くJリーグに関して言えば10月20日、第29節の千葉戦で 4-2 で勝って以来3分2敗。得点も11月11日の川崎戦でワシントンが決めたゴールのみだった。思い出したのは2002年の第二ステージ。第9節さいたまスタジアムでの名古屋戦、福田、トゥットのゴールで逆転勝を納め首位に躍り出て以降6連敗、しかもゴールもわずかに1得点のみで結局5位に沈んでしまった。 Jリーグ連覇を逃した悔しさを FIFA Club World Cup で“補填”出来るかは REDS サポーターでない私は解らないが、サッカーを30年以上観て来た私にとって公式戦で日本とアジアを代表する浦和 REDS が欧州王者の AC Milan とどういう試合をするのかは絶対に観てみたいものであり、こう言う機会を逸するといつまた巡って来るかわからない空前のチャンスでもあった。だが AC Milan と公式戦を行いたいのは浦和REDS だけではなく世界中に散在しており、この日対戦したイランの Sepahan も同じ思いである事はよく解る。それだけでなく ACL で浦和REDS に敗れたその“リベンジ”を果たす絶好の機会でもあり、12月10日の浦和戦に勝つ事が出来ればACL 決勝戦での敗戦を埋めて有り余る価値がある。
3日前の Waitakere United 戦を 3-1 と快勝した Sepahan の先発フォーメーションは11月14日のさいたまスタジアムでの 4-4-1-1 と異なりその前週のホームでの 4-2-3-1 と同じ布陣。そしてメンバーも替えて来た。Waitakere 戦も 4-2-3-1 のフォーメーションであったがトップはカリミでは無く Waitakere 戦では2列目の右であったイラク代表のエマド・モハメド。この日の浦和戦ではその位置にはガーナ代表のベロが起用された。モハメドはアテネ五輪のベスト4のメンバー今年のアジアカップでは最後にメンバーから外れた。怪我でもしていたのかな? しかし2000年のアジアカップではイラク代表入りを果たし、2000年 AFC U-19 では決勝の日本戦では延長Vゴールを含む2ゴールを決めて優勝の立役者となった。その時ゴールを決めた日本チームの選手が我が愛する京都サンガの田原豊であった。その後はAC Milan にスカウトされ契約締結直前まで行ったらしいが当時の独裁者サダム=フセインの長男ウダイの一声で Milan 行きを断念せざるを得なかったとの噂がある。そういえば何年か前に AFC の Web Site でイラクの選手が AC Milan と契約締結直前という記事を見つけたことがあった。だから彼も AC Milan と戦いたい選手の一人との事らしい。
GKはACL の浦和戦で起用されたアバス・モハマディではなく198cmのモハマド・サハリ。モハマディも 190cm だけどこれはワシントンの高さ対策か? 長身選手を揃えるWaitakere 戦もスタメンはサハリだった。4バックのDFラインは右サイドバックがACL決勝戦ではホーム、アウェーともにサエイド・バヤトだったがこの試合では Waitakere 戦と同じハジ・ジャファリ。CBのモーゼン・ベンガーとアジアカップイラン代表ハジ・アヒリィは共に191cmの長身DF。この二人はSepahan のCBを4年間務めているとの事。左サイドバックはグルジア共和国のジャバ・ムジリ。ジャファリ以外はACL決勝戦と同じDFライン。ボランチにはハジサフィとバハドラニ。17歳のハジサフィはACLの浦和戦でも同じポジションで起用された。ただ11月14日のさいたまスタジアムでの試合ではDFの前には4人の“中盤”ラインが並んでいた。バハドラニは浦和戦初出場だ。1トップのエマド・モハマドの後ろには右サイドにベロ、真中にイラク人のアルハイル、左サイドにACLでは5得点のサレヒが配置される。アルハイル以外はACLの浦和戦では登場しなかった。1トップのモハメドは11月7日のホームではWaitakere戦同様右サイドを、11月14日のアウェー戦ではこの日と同じ1トップのポジションを担った。 Sepahan は来日してからインフルエンザに襲われたらしいが昨年のワールドカップメンバーでもあったナビドキア(出場機会は無かったが) がベンチスタートなのはその影響か?だが足の故障が完治しないカリミまでベンチスタートとはクロアチア人のブナジッチ監督も頭が痛いか?イランサッカー界はクロアチアスタイルを師と仰いでいるのか昨年のワールドカップでも監督はクロアチア人のブランコビッチ氏で、その前任のブラセビッチ氏もクロアチア人だった。
  
      

一方の浦和REDS は闘莉王がCBに戻って来て坪井(右)ネネ(左)とDFラインを組み、闘莉王の替わりにCB等のポジションを担っていた阿部がボランチに入り鈴木啓太と組む。ACLではボランチの位置にいた長谷部が怪我で離脱中のポンテに替わってトップ下に。そして阿倍がACL決勝では2試合とも入った右サイドには磯貝が。左サイドには怪我でベンチスタートの平川に替って相馬が起用され、2トップはワシントンと永井。田中達也が怪我でベンチからも外れたのは痛いが、小野伸二そして山田がベンチに控えている。ACL決勝戦とはメンバーが変わっているのに戸惑ったのは浦和のオジェク監督でなく Sepahan のブナジッチ監督の方であろう。浦和は Sepahan がこの日とほぼ同じメンバーで3日前に Waitakere と戦ったのを観る事が出来たと言うアドヴァンテージもある。

Sepahan のキックオフで始まった試合は開始から浦和が試合を支配する。その起点となったのはCBの闘莉王と磯貝、相馬の左右の両サイド。開始7分には長谷部のスルーを受けたワシントンがアギリと競りながらしぶとくCKを得て、そのCKにはネネ、闘莉王がペナルティーエリアに入って来る。その間は啓太と阿部が守備に入る。啓太と阿倍のバランスも良い。啓太が11分に右サイドからクロスを上げると中で競る闘莉王とベンガーを越えて逆サイドのワシントンがジャフリの直前でヘッドで狙うが惜しくもポストの右。15分には永井のCKから闘莉王が折り返しネネがヘッドを撃つがGKサバリの正面。そこからSepahan がカウンター攻撃に転ずるが細貝、啓太そして阿部がカバーに入る。またこの日の REDS の選手は21分にはサレヒからアルハイルに出したパスを啓太がインターセプトで奪いそのままミドルを放つなど一歩の出だしが早く、Sepahan は前にボールが運べない。22分には永井がバハトラニと競り合いながらヘッドで落とした所をワシントンがアギリーら Sepahan 3人のDFをかわしてシュートに持ち込み、22分には阿部がアギリーからアルハイルへのパスをカットしそのままワシントンへ送るとスライディングをして来たベンガー、そしてハバトラニをかわしてドリブルシュート。その弾道は惜しくも右上コーナーポストの僅か上に外れて行った。浦和のボランチの阿部、啓太、サイドの相馬、磯貝そしてトップ下の長谷部の5人で構成された前線とDFの間の5人の攻守の切り替えとバランスが良く、またDFラインも押し上げが早くフィールド選手の10人がコンパクトな間で前後に動くので常に数的優位の場面が作れる。この良い時間帯に先制点が欲しいと思っていたら27分に Sepahan が浦和ゴールに迫る。CBのアギリーが入れたロブをベロが闘莉王と競りながらも落としアルハイルへ繋ぎ、右サイドに上ったエマド・モハマドに浮玉のミドルパスを出すとモハマドは足を一杯に伸ばしてゴールラインの直前でこのボールをコントロール。そしてゴール前に走り込んだ中のベロに低いライナー気味のクロスを送るとそこに坪井とネネが雪崩込む様にマークに入ったのでボールはベロには当たらずそのまま逆サイドに抜けて行った。REDSサポーター達が最もひやりとした瞬間では無いか???この攻撃を機にゴール前であわやのシーンが続く。30分には阿倍からボールを受けたワシントンがDF3人を引き付け左サイドの相馬に送る。相馬は絶妙のクロスを入れ永井が落とした所を走り込んだ長谷部が全くのフリーで放ったショットはクロスバーを大きく越えてしまった。そのゴール裏のREDSサポ達の落胆の声が響く。31分今度は Sepahan が浦和ゴールに迫る。中央からアルハイル、サレヒと繋がれ後方から上がって来た左サイドのムジリにスルーが送られるがここはオフサイド。リプレイを見るとムジリが入り込んでくる直前にネネがポジションを上げてムジリをオフサイドトラップに掛けたものであった。
この息詰まるゴール前の攻防戦の後に浦和が待望の先制点を挙げる。32分、阿部、長谷部と繋ぎ左サイドの相馬に渡り相馬はゴール前に早いグラウンダーのクロスを送るとCBベンガーとアギリーの間に割って走り込んだ永井が合わせて Sepahan ゴールネットを揺らし、11月14日ACL決勝戦での Sepahan 戦以来5試合ぶり411分間の空白を埋める得点が決まった。

      

このコンビネーションは見事であったがペナルティーエリア内に侵入したワシントンが一旦下がりCBのベンガー、アギリーの位置を僅かだが一旦下げさせた動きも上手かった。三度浦和に先制を許した Sepahan は前半途中からベロを上げてエマド・モハマドと2トップを組ませてアルハイルを右サイドに回し浦和の両サイドが上がった裏にロングボールを入れる様になったが阿倍と啓太の戻りが速いので決定機を多く作る事は出来ないまま無得点のまま前半を終えた。

後半に入って Sepahan ベンチはついにカリミをベロに替えて投入してワントップに。そしてエマドモハドは右サイドに回り右サイドバックをジャフリに替えてACL決勝では2試合ともこのポジションのスタメンを任されたバヤトが入った。もう一人サブにいるナビドキアの投入はあるのだろうか?47分に Sepahan はバハトラニからアルハイド、ハジサフィに繋ぎ右サイドに来たカリミに。カリミはバヤトにはたきそのバヤトから入れられたクロスは一度は闘莉王にクリアーされるがそのこぼれ球をそのままハジサフィーがダイレクトで右に送るとそこにはエマド・モハマドが。モハマドが坪井のタックルが入る前に放ったショットはポストの内側を叩いた。後半開始から Sepahan はツータッチそしてダイレクトのパス回しが増え、左右に大きく動く前線のカリミにボールを集めてそこを起点にする様になる。54分のハリサフィーのミドルシュートも左に回ったカリミからのボールを受けてのものであった。
Sepahan に主導権を握られそうな54分。左サイドの相馬から啓太を経由し阿部に渡り、逆サイドに走り込んだワシントンにミドルパスが通る。ワシントンはハジサフィをかわし、角度の無い所から放ったシュートはチェックに入ったアギリー、ベンガーをあざ笑うかの様に Sepahan ゴールに突き刺さり貴重な2点目が入った。

   

大柄なワシントンはその体格を生かしたポストプレーや空中戦が得意だがこのゴールやACL準決勝戦の城南一和戦でのゴールの様に器用にゴール前でボールを操る事も出来る。その見事な個人技からの追加点であった。 Sepahan は中2日。一方の浦和はJリーグ最終節以来9日振りの実戦。その違いも影響しているかもしれない。だが 残り時間は30分以上ある。しかも2点差が一番危険な点差とも言われている。58分には右サイド、バヤトが入れたクロスを一旦は都築が弾き出すがサレヒが拾ってハジサフィーに坪井、長谷部がマークに入る前に放ったミドルはポストの左に外れる。64分にはハバドラニのFKに191cmの長身CBベンガーが飛び込むが闘莉王、ネネそしてワシントンも自軍ゴール前に戻る。カリミのキープそしてサイドチェンジ、更に Sepahan 選手達の柔らかいトラップが目立ちだす。そして後半から入った右サイドからMFのエマド・モハマド、サイドバックのバヤトがよく上がってきて相馬の上がりを抑える。
しかし71分にはこの試合を決定づける3点目を“貰う”事に。ワシントンからボールを受けた相馬が上げたクロスをムジリに競り勝った永井のヘッドのクリアーを試みたアギリーのヘッドがそのまま自軍ゴールに飛び込んでしまった。
       
         

呆然とするアギリー。歓喜に沸く REDS サポーター達。いよいよ AC Milan との決戦が現実味を帯びて来た。このプレーで肩を少し痛めた永井は小野伸二と替ってベンチに下がった。小野の怪我の具合はどうなのだろう?AC Milan 戦では是非出場して欲しい選手だが。 78分にアルハイルに替って3人目の交替選手ロビニアンが投入される。ロビニアンはACL決勝の 1st Leg ではバヤトに変わって交替出場で、2nd Leg ではスタメンで2列目の右サイドで起用された選手だ。ロビニアンが右サイドに入りエマド・モハマドは再び右サイドからトップに戻りカリミと2トップを組むことに。
80分にハジサフィーからの縦パス1本がカリミに通りカリミは意地のドリブルシュートを決めて一矢を報いた。

                    
90分に長谷部に替わった岡野が入る。多くのイランサッカー関係者は岡野が1997年ジョホール・バルでのワールドカップ予選で決勝のゴールデンゴールを決めた事を未だ記憶しているらしい。あれから10年が経ったが当時浦和 REDS が AC Milan と公式戦を行う事を誰が想像しただろう…….. ロスタイム3分も過ぎタイムアップのホイッスルが鳴り響く。多くのサッカーファンが楽しみにしていた AC Milan との公式戦が実現した瞬間だ。Jリーグタイトルを逃し、この Sepahan 戦も苦戦は免れないと危惧する人も多かっただろうが、Jリーグ終盤の不振が嘘の様な快勝であった。三日後の13日がいよいよ楽しみになって来た……….

            


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