Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

All Whites 来日中止… 対戦実現を信じて....

2011-03-21 | Aussie & Kiwi
3月11日の大地震、そして津波から10日が過ぎた。まだまだ東京都周辺は計画停電、ガソリン不足、一部の食品不足に悩まされている。それにまだ起きる余震…いつになったら地震前に生活に戻れるのだろう…。
しかしテレビに映し出される東北地方の被災者の方々を見ると自分達がどれだけ恵まれているか…住む家もある。失った私物は皆無。この程度で被災した何て恥ずかしくて言えない…

恥ずかしいと言えば…..
20年以上前、私は自衛隊と関わりをもっていた。その時ある部隊の幹部と何度か話した。その幹部が云ったことが印象的だった。

私達が暇な時が平和なんだよ….

そして私は思った。何だ… 国民の税金で…普段は何してるんや、俺も勉強し直して防衛大を出て一生楽して暮らせないかなぁ..
駐屯地の草刈りに、掃除、たまにソフトボールなんかやっていたなぁ…..
まだ自衛隊が海外派兵されることなんか誰も考えつかなかった時代だった。

しかし1995年、阪神淡路大震災で必死に救助活動をしていた自衛隊員をテレビで見た。中には家族が被災している隊員もいたらしい。しかし任務を遂行する彼らを見て昔抱いた事を思い出した。そして自分を恥じた。俺は何て恥ずべき男なんだ….
今回も被災地でそして福島の原子力発電所で救助活動や放水活動をする自衛隊員を見てまた昔の自分を恥じた。
そしてあの時の幹部の言葉も思い出した。

私達が暇な時が平和なんだよ….

日本列島にはやく平和が来てほしい。それが平和と気づく今…

All Whites withdraw from Japan match
3月17日 New Zealand Football 協会 ( N.Z.F. ) は今般の地震、津波による被災状況並びにその後の被害状況に就いて日本サッカー協会 JFA 並びに在日ニュージーランド大使館からの報告を受け3月29日の日本代表との親善試合そして福岡で開催される U-17 の Sanix Cup に選手達並びに役員達の健康と安全を保証出来ないと言う理由でそれぞれのチームの派遣を見送る決定したと発表した。
JFAは All Whites の試合会場を東京国立競技場から震災からの二次被害の可能性のより低い大阪長居競技場に変更する事を示唆したのだが…..
“試合を2週間後にひかえたこの決定は厳しいものだったがメディアが発する原子力発電所を取り巻く日本の不確かな状況を鑑み、判断を誤らぬようにとの用心から日本行きを断念する事にした。その瞬間はニュージーランドで感情的なものがひた走ったがこの状況でサッカーの試合を行う事は得策なことでは無いと感じた。この決定を尊重してくれた日本サッカー協会の理解には深く感謝する。 我々のハートは復興を前にした全ての人達そして日本人と共にある。 ニュージーランド協会は可能な限り日本と試合を組めるように努力する。“
ニュージーランド協会の Frank van Hattum 会長はこうコメントを残した。All Whites は3月22日武漢で中国代表と親善試合を行う。



Soccer: All Whites, Japan set for charity match
3月16日日本サッカー協会 ( JFA ) は3月25日のモンテネグロ戦を中止とし29日に行われるニュージーランド戦の試合会場を東京から大阪に移し、この試合をチャリティーマッチとすることを提案して来た。

“我々は3月29日、長居競技場でチャリティーマッチを行う。” JFA 小倉会長は共同通信社に語った。
もし All Whites が日本行きをキャンセルすれば対戦相手は日本代表と国内チームとすると発表したと共同通信社は報道した。

“日本の人達に大きな連帯感を持っているところを見せたかったがまずは選手達やスタッフに安全保証の確認をする必要がある。我々は今JFA としかるべき日本政府機関とこういった安全の保証がなされるかを確認する作業をおこなっている。”
NZF の Frank van Hattum 会長のコメントだ。

小倉会長は震災にあった二カ国同士が試合をする事は適切な事であると語った。
“まだまだ必要な詳細はあるが日本と同様大きな被災を負ったニュージーランドとは是非試合を行いたい。ザッケローニ監督と日本代表選手達は被害に遭った人達の為に何か手助けになりたい、と語っていた。” この様に話していたとの事だった。

地震、津波そして原子力発電所の事故…状況は厳しくなるばかり、折角入手した楽しみにしていた試合のチケットだけど今はそれを云っている場合ではなかったのだろう…..


Three new caps in All Whites squad
3月18日、Ricki Herbert All Whites 監督は中国遠征に向かう最終18選手を発表した。
そこにはMelbourne Victory のMarco Rojas, Major League Soccer でプレーするJake Gleeson そしてJ-League アルビレックス新潟でプレーするフルバックのMichael Fitzgerald ら代表デビューを迎えた3選手が含まれていた。



そしてこの遠征には前に試合で退場となった West Ham United のDF Winston Reid そして故障中のWellington Phoenix のDF Ben Sigmund は選出されなかった。そして怪我で離脱している Mark Paston も対象から外れた。
ワールドカップ前はレギュラーGKだった Glen Moss はこれからアピールのチャンスか….
その一方で南アフリカワールドカップメンバーに直前で漏れた Brisbane Roar の Kosta Barbarouses も遠征メンバーに選ばれた。今シーズン A-League で11ゴールを上げたのが評価されたらしい。
また先の A-League Grand Final に Central Coast Mariners のメンバーとして出場した MF Michael McGlinchey も選出された。 
このメンバーは2012年に組まれているワールドカップ予選6試合に向けてのチーム作りの礎となると言われている。

Goalkeepers
Glen Moss (Gold Coast United, Aus - 16/0) Jake Gleeson (Portland Timbers, Usa - 0/0)

Defenders
Tony Lochhead (Wellington Phoenix - 33/0) Ivan Vicelich (Auckland City, Nzl - 71/7) Ryan Nelsen (Blackburn Rovers, Eng - 45/9) Andrew Boyens (Chivas, Usa - 16/0) Tommy Smith (Ipswich Town, Eng - 7/0) Michael Fitzgerald (Albirex Niigata, Jpn - 0/0)
Midfielders
Michael McGlinchey (Central Coast Mariners, Aus - 7/0) Jeremy Brockie (Newcastle Jets, Aus - 21/0) David Mulligan (Auckland City, Nzl - 25/3) Aaron Clapham (Canterbury United, Nzl - 2/0) Marco Rojas (Melbourne Victory, Aus - 0/0)
Forwards
Shane Smeltz (Gold Coast United, Aus - 34/18) Rory Fallon (Plymouth Argyle, Eng - 11/3) Chris Killen (Shenzhen Ruby, Chn - 36/18) Chris Wood (Brighton And Hove Albion, Eng - 14/1) Kosta Barbarouses (Brisbane Roar, Aus - 1/0)



そしてこのメンバー発表後 Shane Smeltz の Perth Glory 移籍が発表された。

Ryan Nelsen をはじめ南アフリカワールドカップメンバーが13人含まれたこのメンバー。是非とも観てみたかった。
それだけに今回の決定は残念でたまらないがこう云う状況なら仕方ない。 
しかしながら All Whites もこの試合中止は大打撃だ。中国戦の後の代表戦は全く白紙らしい。そしてニュージーランドのワールドカップ予選は2012年6月からでこれも実は8カ月延期された。また Christchurch 地震のチャリティーマッチもなかなか決まらない。ニュージーランドサッカー界が最も懸念するのがワールドカップで得た機運を霧散させない事。
日本戦の“実現”はニュージーランド側も望んでいる事はよく理解できる。そして彼らもホームゲームは必要だ。9月、10月はラグビーのワールドカップでホームゲームは出来ないが…..

被災されている方々はスポーツ観戦どころでは無い。 状況が改善されまたスポーツ観戦が出来る日まで待とう。
そして Frank van Hattum 会長の言葉、両国が対戦できる日が実現する日を待とう……

See you in Japan , Next year …ACL !! 2010-11 A-League Grand Final

2011-03-21 | Aussie & Kiwi
延長戦が始まるとそれまでの劣勢が嘘だったように Mariners が、というよりも交替出場の Ibinilseiが攻め込む。91分48秒、 Ibinilsei が放ったドリブルシュートそしてその後のCKから 190cm CB Zwaanswijk が放ったヘッドを連続して Roar GK Theoklitcs がファインセーブで防ぐ。 しかし96分 Mariners の左からのCK が Roar CB Matthew Smith に当たって角度が変わり逆サイドの Ibinilsei に渡りそこから放たれたシュートは Roar のゴール前の選手にあたり Kwansnik の前に落ち、それを Roar ゴールに押し込み散々攻め込まれた Mariners に先制ゴールが生まれた。 



狂喜する Mariners の選手達、そしてサポーター達。 まだ試合は25分程残っているのでこの時点ではまだまだ Roar がすぐに挽回すると思われた。 98分14秒、 McKay がゴール前に迫るがシュートを撃つ前に Ryan が身を呈してキャッチ。Kwansnik のシュートが Theoklitos のファインセーブを引き出した直後の100分14秒には Murdocca からボールを受けた McKay がミドルを放つがクロスバーを越える。101分14秒。 Roar ベンチは最後の交替選手 U-20, U-17 経験者の Rocky Visconte を左 SB Stefano Shane に替って投入し攻撃陣を増やすが、その直後左サイドを突破した Ibinilsei が前線に走り込む Kwasnik にスルーパスを出す。延長戦から観戦位置を中央のやや高めに替えていた私はこれはオフサイド…と思ったがラインズマンのフラッグが上がらない。そのまま Kwasnik が放ったシュートは GK Theoklitos に当たりこぼれたところを詰めていた Oliver Bozanic が蹴り込みリードを拡げた。 ちょっとオフサイド臭かった気がするゴールだったなぁ… 目の前の Mariners サポーター達がビールの一杯に入ったプラスティックコップを放り投げて狂喜する。だがまだ延長後半が丸々残っている。1982年スペインワールドカップの準決勝戦、西ドイツ対フランスを思い出した…

延長後半に入るとビハインドを追う Roar の選手達、特に McKay, Henrique が球離れが悪くなってきた気がした。それでも110分19秒には右サイド Henrique がドリブルシュートを放ち GK Ryan がナイスセーブで弾いたこぼれ球を Broich が詰めるがシュートは外れる。 Mariners サポーター達から大歓声が上がる。 114分55秒、 Zwaanswijk が Broich へを倒し FK が与えられる。 McKay が直接狙うがクロスバーを越える。またも Mariners サポーター達が歓声を上げる。 
そして117分、 Solorzano が右サイドを突破し中に入れるとゴール前正面の Broich の足元に。しかし足元に入りすぎてシュートを撃てない。そこに Mariners DF陣が殺到する。早く撃てよ…と思うと右に走り込んだ Henrique に送りそのまま放ったショットは遂にGK Ryan を破りこの試合初めて Roar がゴールを挙げた。 
大歓声がスタジアムから沸き上がる。そして Suncorp が生き返った気がした。 オレンジ色の選手がボールを持つ度に大歓声が後押しし、黄色の選手がそれを阻むと数の上では劣勢の Mariners サポーター達が歓声を上げる。 Roar がゴールを挙げてからずっと耳をつんざくような大歓声が響きっぱなしだった。 
そして120分、 Visconte が Mariners ゴール前に迫りCKのチャンスを得る。これが最後のチャンスだろう、と誰もが思う。ほぼ全選手がPA内に犇めく。McKay がセットして上げたCKはまるでテレビドラマを見ている様にかつて 2003年FIFA U-20 に出場した 193cm のCB Erik Paartalu がヘッドで捉えて Mariners ゴールネットを揺さぶった。 聞いた事の無い様な大歓声が起こる。 CK を上げた McKay がピッチ上を駆け回る。



あぁこれがこのチームの今シーズンの強さか….しばし呆然とピッチで起こった事を眺めていた。そして横を見ると Mariners サポーター達はもっと呆然としており、彼らに対して ”それ見た事か“とばかりに地元サポーター達が歓声を飛ばしていた…… そして知らぬ間にタイムアップのホイッスルが鳴っていた….

PK戦の前に Arnold, Postecoglou 両監督が握手と抱擁を交わし健闘を誓っていた……PK戦になっても GK Ryan がこの日は良かったので私はまだまだ Mariners にチャンスはあると思っていた。試合後この試合の Man of the Match にあたる Joe Marston Award は Mathew Ryan に贈られた。
しかし立ちはだかったのは Brisbane Roar の GK Michael Theoklitos だった。3人目 McBreen, 4人目 Bojic のPKを連続してストップし、最後 Roar 4人目の Henrique がPKを沈め連続不敗記録を28試合に更新しチーム初の Grand Final のタイトルを勝ち取った。 試合内容からすれば Roar の方が勝者にふさわしかったかもしれない。 



表彰式が終わって再び Mariners サポーター達を訪れた。涙にくれるサポーター達もいた。みな丁寧に握手をしてくれ口々に地震で大変だろうけど have a nice flight …てなことを云われた。そしてそこに“心ある” Roar サポーター達も訪れて来てお互いに健闘をたたえ合っていた…..

久々に観た劇的な試合の余韻に浸りながら、記念写真を撮りながら両サポーター達に云った。

See you in Japan , next year …Asian Champions League !!




Full time
Brisbane Roar 2 (HENRIQUE 117’, Erik PAARTALU 120’)
Central Coast Mariners 2 (Adam KWASNIK 96’, Oliver BOZANIC 102’)
Penalties
Brisbane Roar 4 (Ivan FRANJIC, Erik PAARTALU, Matt McKAY, HENRIQUE)
Central Coast Mariners 2 (John HUTCHINSON, Alex WILKINSON)
Grand Final
Sunday, 13 March 2011
Suncorp Stadium, Brisbane
Referee: Matthew Breeze
Crowd: 50,168
Brisbane Roar line-up: 1. Michael THEOKLITOS (gk), 2. Matt SMITH, 4. Shane STEFANUTTO, 5. Ivan FRANJIC, 6. Erik PAARTALU, 7. Kosta BARBAROUSES (10. HENRIQUE 71’), 9. Jean Carlos SOLORZANO, 15. Matt McKAY (c), 17. Mitch NICHOLS (8. Massimo MURDOCCA 82’), 22. Thomas BROICH, 23. Milan SUSAK (14. Rocky VISCONTE 101’)
Substitutes not used:12. Matt MUNDY, 20. Andrew REDMAYNE (gk)
Yellow cards: Nil
Red cards:Nil
Central Coast Mariners: 3. Joshua ROSE, 4. Pedj BOJIC, 6. Patrick ZWAANSWIJK, 8. Rostyn GRIFFITHS (24. Bernie IBINI-ISEI 89’), 11. Oliver BOZANIC, 14. Michael McGLINCHEY, 18. Alex WILKINSON (c), 19. Matt SIMON (2. Daniel McBREEN 72’), 20. Mathew RYAN (gk), 22. Mustafa AMINI (7. John HUTCHINSON 60’), 23. Adam KWASNIK
Substitutes not used: 7. John HUTCHINSON, 17. Chris DOIG, 30. Paul HENDERSON (gk)
Yellow cards: Nil
Red cards: Nil

Dramatic !! サッカーはどこにでもある 2010-11 A-League Grand Final

2011-03-21 | Aussie & Kiwi
3月11日。商用で豪州滞在中の私は東北関東大震災の報を聞いた。家族の安全が確認されたのは翌日早朝午前2時だった。地震、津波の最も被害のあった地区ではなかったが安全の確認が取れるまで心配は募るばかりであった。
安全が確認された翌日、楽しみにしていた Grand Final の観戦に出かけた。こんな時にスポーツ観戦なんて罰が当たりそうな気がしたけど…
試合はまさに劇的だった。内容も結末も。たかがオーストラリアの国内リーグと云う輩もいるかもしれない。この試合を気に掛ける日本のスポーツジャーナリストは皆無だろう。元々殆どのジャーナリストは欧州シーンを“追い掛ける”だけのジャーナリズムに欠ける人間ばかりなのは云うまでも無いけど….. UEFA Champions League だろうが EURO だろうがアジアの片隅のリーグ戦だろうが…
サッカーは世界中にあるのだ。 私のこの試合を通じての収穫はこの当たり前のことを再確認出来た事だった……..

3月13日午前。10年来の取引先の方に連絡を入れた。何とか仕事を昼までに片付けたいから….先方も忙しいらしくなかなか良い時間が見つからない、ひょっとして…なんとなく訊ねてみたら…”今日は家族でサッカーを観に行くのですよ….”これを聞いて安心した。実は私も…. Grand Final でしょ…. 。顧客の驚いた声が帰って来た。どうして知っているんですか??
このお客様は日本人で奥さまはオージー女性。息子さんが2人おられ上の御子さんは地元チームでサッカーをしているとの事は知っていた。地元 Brisbane Roar のレギュラーシーズン1位そして Grand Final 進出にこの試合の家族観戦を前から楽しみにしておらたれそうだ。 だったら話は早い。試合が終わって飯でも食いながらゆっくり話しましょう。 試合開始までにそちらの用事も済ませて下さい…….

今年初め、大変な洪水に見舞われ多くの人が被害にあった Brisbane 。良く知る地域が水没していたシーンをテレビで何度も視た。 Grand Final の舞台である Suncorp Stadium もそうだった。 そしてまさにここでオーストラリア国内サッカーでの最高峰の試合が行われた。 
心配だったのはこの日の天気。数日前からこの地域の予報は“ Shower ” 昼過ぎではまだ晴天だったけど…。いつもはホテルから競技場まで歩いて行くのだけどこの日はシャトルバスが街の最大の列車、バスターミナルのある Roma Street 前から出ていた。さすがは Grand Final 。この日はブルーの日本代表の NAKAMURA のレプリカを着ていいたので車中では日本人とわかる私に色々地震の様子を訊ねて来る地元の方々が…日本を発つ前はこちらの知人達が洪水に巻き込まれなかったかとどう訊ねたらいいか…と思案していたのだが反対の気を遣わせる立場になってしまった。

Stadium に到着すると多くの人達が入口に。予約していたチケットを pick up するがキックオフ30分前のこの時点でもまだ当日券は有った様だった。しかしこの試合のプログラムは既に売り切れいていた。あぁもっと早く来ればよかったなぁ…..
着席する前にアウェーの Central Coast Mariners のサポーターシートに向かった。2年前、等々力で行われたフロンターレとの ACL の試合で写真を一緒に写した人達を探す為だった…. リーダーらしき人に写真を見せると周りに10人くらいの人達が集まって来て写真に写っている人達を呼んでくれた。そして写真を手渡すとみな大変驚いた様子だがもちろん大喜び。たちまち何十人の Mariners サポーター達に囲まれ何十枚も写真を撮られた。そして握手の嵐だった。ここでも地震の事を皆に訊ねられた。
みな Mariners の勝利を当然信じて疑っていない。新聞に Arnold 監督の“27試合は実現したが28試合目は難しい。”と云ったコメントを伝えると、“勿論そうだ !! “ と親指を立てるサポーター達が多かった.。みな私が Mariners を応援しにここに来たとも思っているらしかった…..でも本当に来て良かった….と思い、自分の席を探した。



Category 1 の自分の席は最前列から2列目の選手達の迫力がまさに伝わるピッチレベルの特等席。でもフォーメーションを確認するにはちょっと低すぎる場所だったなぁ…周りは殆ど地元 Brisbane Roar のサポーター達。そして数人来年の A-League 参戦を断られた North Queensland Fury のサポーターも数人….彼らみたいな人達の為にもクラブ経営に関わる人は責任があるんだ…と思わざるを得ない…..
やがて両チームのスタメンが発表される。 先に発表されるのはアウェーのMariners 。注目の FW はMatt Simon がワントップに起用され2列目左に Adam Kwansik が起用され、右に Michael McGlinchey。 Daniel McBreen はベンチスタート。そして怪我で離脱したアルゼンチン人 Patricio Perez に替って Gold Coast 戦に続いて Mustafa Amini がトップ下に入った。2月26日のBrisbane 戦で退場になった Pedj Bojic もこの試合は右SBのポジションに戻ってきた。 Graham Arnold 監督が映し出されるとひときわ大きな歓声が上がった。



一方のホーム Brisbane Roar は前の Major Semi Final 、Mariners 戦とまったく同じスタメンだった。 MF Matt McKay と Postecoglou監督が映し出されると大歓声が沸き上がった。





そして更なる大歓声に包まれて両チームの選手達が入場しピッチ上に整列すると場内アナウンスがあり2日前の日本での大地震と津波の被害に遭われた方々の為に黙とうが捧げられた。 思わぬ Silence Ceremony に日本人の私は涙が出そうになった。
帰国後スペインや欧州のサッカーシーンでこういうシーンがあった事が報道されたがここオーストラリアでも同じ様なセレモニーが催された。 そして周囲の方々からも声を掛けられた…….被災しなかったとは言え本当に有難かった。



地元 Roar のキックオフで始まった Grand Final は開始40秒 Bojic のロングシュートで始まった今シーズン27試合連続無敗試合を続ける Roar が攻め続ける展開。オレンジ色のユニフォームの選手達が相手ゴールに迫る度に大歓声が彼らを後押しした。
その中心だったのは Asian Cup でも存在感を示した Matt McKay 。Asian Cup では2列目左サイドだったが、この試合ではキックオフ直後の位置は2列目のトップ下だったが左右に動いて効果的なパスを前線に配給していた。12分にはかつて Borussia Mönchengladbach, 1FC Köln でもプレーしたドイツ人MF Thomas Broich が McKay からのパスを受け Bojic, Wilkinson をかわして切れ込み McKay に戻し Rostyn Griffith をかわしてシュートを放つがかつて大分トリニータでプレーした CB Zwaanswijk が必死のクリアー。19分には McKay から Broich を経由して前線に上がったボランチの Kosta Barbarouse に渡りシュートに持ち込むが18歳のGK Mathew Ryan の正面に。21分、今度は右サイドから Mckay が上げたクロスに 193cm で2003年 FIFA U-17 にオーストラリア代表で出場したCB Erik Paartalu が飛び込むが僅かに合わなかった。 Brisbane はボランチの Barbarouses, Mitch Nichols ( 地元QLD州 Southport 出身、2009年FIFA U-20 出場 ) の2人の押し上げが早くクリアーボールを拾ってすぐに攻撃に結び付けるので Mariners はなかなか前線にボールが繋がらない。 188cm長身ワントップ Simon ( 北京五輪メンバー ) がポジションを下げボールを受けにくるがそこから先にはボールが出ない。


 
しかし25分頃から Adam Kwansik がトップに上がり Simon と2トップを組み、ボランチの Oliver Bozanic が左サイドを抉る様になると Mariners の攻撃が目立つようになった。29分にはGKの位置を見て Kwansik がロングシュートを放ち弾道はクロスバーを僅かに越えるが Mariners サポーター達の威勢が大いに上がった。 そしてその後に Kwasik がワントップに入り Simon が2列目左に入った。34分に Simon がドリブルで左サイドを突破し DF ラインの裏に走り込んだ Kwansik にスルーパスを送る。ちょっとオフサイド気味だったけどわずかに Kwansik に合わずゴールラインを割ってしまった。オフサイドの判定を下さなかったラインズマンに Roar サポーター達から大ブーイングが沸き上がった。 36分にはCKのチャンスを得てMcGlinchey が上げたCKを Kwansik が折り返し Simon がシュートを放つが惜しくも外れて行った。
しかしこれが Mariners 前半最後のチャンスだった。以降は Roar が主導権を奪い返し 37分には CK から Ivan Franjic が放ったシュートはクロスバーを叩きそのリバウンドを拾って Barnarouses がシュートを放つが相手 DF に当たってゴールには至らなかった。41分にはまたも McKay からナイスパスが Broich に渡ったが GK 正面を突き、1分あったロスタイムにもゴールは生まれず両者スコアーレスのまま前半が終わった。 レギュラーシーズン1,2位の対戦にしてはちょっと一方的だなぁ…という前半。そしてさすが McKay と云う前半だった。そして前半終了間際から降り出した雨がハーフタイムに入ると雨脚が一気に強くなってしまっていた…



後半に入っても雨脚は弱まらない。 席に戻ると雨ざらしになるのでゴール裏の雨のしのげる所からしばし観戦する事に。そうするとよくフォーメーションが解った。 前半優勢だった Roar が更に攻め込んでくる。48分 McKay から Barbarouses に渡りかつてコスタリカ U-17, U-20 だったトップの Jean Carlos Solorzano に送られ放たれたショットは GK 正面に。56分にはFranjic のシュートがポストの右に外れ、57分には McKay が撃ったシュートはまたも GK Ryan の正面に。 58分には波状攻撃から連続して Barbarouses がシュートを放つがここも連続して Ryan がファインセーブでストップ。 試合開始から15分間はまさに Roar の攻撃一辺倒。それを GK Ryan が必死に守っているという立ち上がりだった。 



劣勢のMariners ベンチは60分 MF Amini に替えてマルタ代表歴のある A-League 発足時からMariners 一筋選手 John Hutchinson が投入される。 これで3度の Grand Final を経験した事になった。
これで Mariners が少しだが押し返す事が出来る様になった。そして70分近くになると雨脚も弱まり自分の席に戻る事にした。
攻勢にでながらゴールが奪えない Roar は71分 ボランチの Baribarous に替えて Major Semi Final の 2nd Leg で Mariners 相手に同点ゴールを決めた Henrique を投入し Solorzano のワントップのまま、2列目を左から Broich, Nichols , Henrique と並べ McKay はその後ろに入り、Franjic はボランチの位置に下がった。
するとその直後に Mariners ベンチは Simon を下げ FW Daniel McBreen を入れた。シーズン中はこの2人で2トップをよく組んでいたのだけど…
それ以降も Roar が攻めるシーンが続く。目の前を Henrique がドリブルで上がるが、ここで邪魔なのが T.V. Crew 。 Roar の攻撃をフォローする為にタッチライン沿いをカメラマンとアシスタントが2人で目の前を左右に動く為にここぞと言うシーンが遮られる。周りの観客も随分彼らに文句を言っているが一向に聞く気配が無い、と云うよりも聞こえないのではなかったか….ちょっと日本じゃ考えられない。プレーの邪魔にもなると思うんだけどなぁ…..



80分13秒。この試合の観客動員数が50,168人と発表された。そして大歓声が上がる。おそらく A-League 記録ではないかな…



82分 Roar ベンチは2人目の交替選手 Massimo Murdocca が投入された。2003年FIFA U-20にも出場した選手で A-League 創設時から Roar 一筋の選手だ。 ポジションはどうやらDefensive Half というよりワンボランチか…
88分24秒。今度は Mariners が最後の交替選手 Bernie Ibinilsei を Rostyn Griffiths に替えて投入し Kwasnik と2トップを組み McBreen を2列目に下げる。この交替が後に色々なドラマを引き起こすきっかけとなった事はこの時には解らなかった。
90分を過ぎロスタイム4分とアナウンスされるとスタジアムから歓声が沸き、 Roar が最後の力を振り絞る様に総攻撃を掛ける。
92分 McKay からボールを受けた Solorzano がシュートを放つが Ryan がナイスセーブで防ぎその直後も Broichi が放ったシュートは Ryan がストップ。 そして95分を過ぎてMatthew Breeze 主審のホイッスルが鳴り試合は前大会に続いて延長戦に突入する事となった… 延長戦に続く....