Mr.コンティのRising JAPAN

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Hyundai A-League Grand Final への道 その1

2011-03-09 | Aussie & Kiwi
3月6日、レギュラーシーズンを2位で終えたCentral Coast Mariners は4位だった Gold Coast Mariners を ホームBlue Tong Stadium で行われたPreliminary Final でAdam Kwasnik のゴールで降し3シーズン振りの Grand Final 進出を決めた。これで今年のGrand Final のカードは Brisbane Roar と Central Coast Mariners, レギュラーシーズンの上位2チームの対戦となった。

6シーズン目の A-League 。今シーズンは序盤から Brisbane Roar が快調に突っ走り、開幕戦こそアウェーで Gold Coast United に 0-0 のドロー発進だったが次節前シーズン王者の Sydney FC をホーム Suncorp Stadium で Matt McKay のゴールで1-0 で降すと第4節の Newcastle Jets 戦で敗れた後は1度も敗れる事は無く18勝11分1敗、勝点65、2位 Central Coast に8勝点差をつける圧倒的な強さでレギュラーシーズンの1位と来年のACL 出場権を手に入れた。 
対照的だったのが昨シーズン覇者の Sydney FC 。開幕戦、昨シーズンの Grand Final と同じ顔合わせとなった Melbourne Victory 戦では2点を先制するも3連続失点で逆蓮され 85分に Shanon Cole のゴールで追い付き何とかドローのスタートを切ったが最初の10試合で何と4分6敗の勝星を挙げられず11戦で Perth Glory をアウェーで 3-0で快勝しようやくシーズン初勝利を上げその後の6試合を3勝2分1敗と何とか上昇気流に乗るかと思われたが第18戦、アウェーでの Central Coast Mariners 戦で 0-4 の大敗を喫するとその試合を含めて1ゴールも上げられず5連敗。最後の 8試合は4勝4分けと頑張ったが11チーム中位に上がるのがやっとだった。重鎮だった Steve Corica は引退をし、ベテランAloisi そして GK Bolton の抜けた穴が最後まで埋まらなかったか….
今シーズンから新加盟となった Melbourne Hearts は開幕5戦目の North Queensland Fury 戦でようやく初勝利を収めその後も第9戦の Victory との Melbourne Derby では 25,897 人の観衆の前で勝利を収める等シーズン序盤は健闘を見せたが第15戦から引分け1つ挟んで6連敗を喫する等調子を落とす時期もあり最終的には8位に終わった。一時は Mark Viduka の入団の噂もあったのだけど…..監督はかつてキングカズと共に Genova でプレーした元オランダ代表の John van’t Schip 。来シーズンも指揮を執る事が決まっておりその巻き返しが注目されている。
そして最下位に甘んじた2年目の North Queensland Fury はシーズン終了後、財政的な問題から来シーズンの A-League 参加を FFA の方から断られ、来シーズンは10チームでのリーグ戦となる事となった……



毎シーズンだが熾烈なのが上位6チームに与えられる Final Series への出場権。 
私がシーズン注目するのはニュージーランドから唯一参戦している Wellington Phoenix 。万年最下位から昨シーズンは脱却しPreliminary Final まで進出を果たした。今シーズンもRicki Herbert 監督を含め New Zealand 代表選手を多く含むチームでワールドカップの好成績から期待はしていたがなかなか波に乗れず7位以下に低迷していいたが第25戦、1月30日に行われた Newcastle Jets とのホームゲームで 1-0 で勝利を収め、7位以下に3勝点差以上を着け残り4試合を2勝2敗で乗り切り6位に滑り込み2シーズン連続での Final Series 進出を決めた。
ニュージーランドのチームが避けて通れないのは遠征時の移動距離と過密日程。 例えば1月23日から30日までの8日間で3試合日程が組まれその間 Wellington と Brisbane を往復せねばならなかった。 Wellington-Brisbane 間は確か Qantas も Air New Zealand も直行便が無かったのではないか….そして更に最後の4試合は13日間で行われしかもオーストラリア大陸間を2往復もせねばならなかった。 
“オーストラリアのチームの日程をみると病気になりそうだ。彼らがどれだけ移動して週末以外の試合が何試合ある?我々がいちばん割を食っている….” これは Brisbane を襲った洪水で試合が組みなおされた事にも寄与しているが…..

そして2月10日 Adelaide Oval で Adelaide United は Melbourne Victory をPaul Reid, Travis Dodd のゴールで 2-1 で降しシーズン3位の座を決めた。 昨シーズン終了時迄で Adelaide United は Melbourne Victory 戦9連敗中。今シーズンも10月29日のアウェー戦で 2-0 で敗れついに10連敗となったが1月9日のアウェー戦では 4-1 とこれまでのうっ憤を晴らす様な快勝。そしてシーズン3戦目のホームゲームも勝利を収め3シーズン振りに対 Victory 戦のシーズン勝ち越しを決めた。しかし Victory のErnie Merrick 監督は昨シーズンの Grand Final での負傷で今シーズンは8試合しか出場出来なかったエースThompson が Gold Coast United との Elimination Final に先発起用出来る目処がついた事を喜んだ。しかしもう1人の中心選手 Carlos Hernandez の怪我の回復具合がまだ思わしくなかったらしい….

Adelaide United 1-0 Wellington Phoenix 18.Feb. Hindmarsh Adelaide
11,500枚以上の前売り券が売れ 10,285人の観衆が Hindmarsh Stadium に集い、この地域では珍しい大雨と強風の中で行われた Elimination Final は地元 Adelaide United がエース Travis Dodd のゴールで Wellington Phoenix の挑戦を退け Minor Semi-Final 進出を決めた。
この日のスタメンは13日前に当地で行われた同カードのスタメンから両チームとも2人ずつ選手を替えて臨んだが Phoenix は All Whites の Ben Sigmund がスタメンに加わっていた。
天候はまさに Wellington からのビジター Phoenix が慣れたコンディション。Best-suited to ducks と表現される水浸しのコンディション



最初の30分は Phoenix が一方的に押す展開になった。Dylan Macallister, Manny Muscat, Tim Brown らが連続してシュートを放つ。
32分に Marcos Flores が Sigmund を股抜きでかわして放ったショットは僅かにクロスバーを越え、このプレーから Adelaide が主導権を握る様になった。 34分には Dodd のFKを受けた Flores が上げたクロスに van Dijk がヘッドを放つがこれも僅かにクロスバーを越え、その数分後にも Flores が巧みなフェイントで Phoenix DF を切り裂き Cassio に絶妙のパスを出すも Cassio の強烈なショットは GK Vukovic がストップ。
それでも前半を終わってCKは Adelaide 1に対して Phoenix は6、枠内シュートは Phoenix 8に対して Adelaide は3だった。
Adelaide Galekovic , Phoenix Vukovic 共に好GKが揃った試合は内容も引き締まり好ゲームとなったが70分またも Flores がテクニックを見せて van Dijk にボールを送ると最後はオフサイドトラップを破ってDodd に送られ、Dodd が放ったシュートが Phoenix ゴールに突き刺さりこれが決勝ゴールとなった。
その6分後 Phoenix は Andrew Durante がFKからヘッドで合わせたがクロスバーを叩き、終了直前のロスタイムに入っても連続CKのチャンスがあったが最後までゴールを割れなかった。 
Phoenix はこれまでアウェー51試合で10勝しかしておらず、今シーズンもホームゲームは10勝3分2敗と大いに勝ち越すもアウェーゲームは2勝2分11敗に終わっていた。しかしその2勝目、アウェー通算11勝目が13日前のここ Hindmarsh での勝利だった。そしてアウェーゲームで7ゴールしか上げられなかったその1ゴールもその試合で Chris Greenacre が決めていた。 しかしこの Elimination Final ではゴールが上げられなかった、そしてアルゼンチン人MF Marcos Flores の華麗な個人技に何度も翻弄された….
レギュラーシーズン3位で終えた Adelaide はこれで翌日行われるもう一つの Elimination Final の勝者、 Gold Coast United か Melbourne Victory とここ Hindmarsh で対戦する事となった。
この試合で決勝ゴールを決めたチームの中心選手 Travis Dodd は結局、噂されていた通り翌シーズン Perth Glory に移籍する事が決まった…



Central Coast Mariners 0-2 Brisbane Roar 19th Feb., Bluetong Stadium Gosford
1位、2位対決の Semi-Final. しかしシーズンでの直接対決では Roar の2勝1分。11月28日の第19戦ではアウェーに乗込み Mariners を 5-1 で粉砕している。しかし1月12日の第27戦では同じ Bluetong でゴールの応酬の末78分 Roar は交替選手 James Myer の同点ゴールで何とか 3-3 で引き分けた。両チーム頭にあるのは11月の試合か1月の死闘か..
シーズン2位で終わった Central Coast Mariners の目標は3シーズン振りの Grand Final 進出。その為には何とかホームゲームでの初戦で Roar に25試合ぶりに土をつけ翌週アウェーの Suncorp Stadium で行われる第二戦に臨みたいところ。
しかし前半こそ 0-0 で折り返したが後半52分に Kosta Barbarouses そして73分には Asian Cup 決勝トーナメントからBrett Emerton からポジションを手に入れた Matt McKay の連続ゴールでビジターの Roar が快勝を収め、初の Grand Final 進出に大きく一歩前進を果たした。



Barbarouses の先制ゴールは Mariners FW Daniel McBreen のバックパスを McKay がインターセプトしそのまま Barbarouses に送られたパスからから生まれ Mariners DF , Patrick Zwaanswijk と Alex Wilkinson をかわして放ったシュートから、追加点は Baribarouses のクロスからフリーの McKay がヘッドで合わせたものでこの2人の活躍で2得点を上げ試合を決めた。 
Mariners も何度も Roar ゴールに迫り最終的には Roar のシュート数15を大きく上回る26本のシュートを放ったが、枠内シュート数では Roar の4に対して3に留まる等シュートに正確性を欠いた。また前半で1度、後半では2度もシュートがポストに当たるなど幸運にも恵まれなかった。特に61分には McBreen と Matt Simon のシュートが10秒間で連続してポストを叩くなどこの試合を象徴し10,116人集まったホームのサポーター達を喜ばす事は出来なかった。
これで Roar は26試合連続して負け試合が無い事となったが2点差の勝利を得たことで次戦はかなり優位に立つ事が出来た。敗れた Mariners は翌週のアウェー戦では攻撃的な布陣を敷くのではと思われたが試合後、元 Socceroos 監督の Graham Arnold 監督は“後半は何度かチャンスを創った。これは翌週に繋がる。選手達はやや消沈しているが効果はあった。”とコメントを残したが同時にメンバーは大幅には替えない事を示唆するコメントも残した。



Roar は Barbarouses と並んでチーム最多11得点を上げたコスタリカ人FW Jean Carlos Solorzano を怪我でベンチスタートなるスタメンであったがシーズンアシスト王のドイツ人MF Thomas Broich そして Asian Cup 日本戦でも活躍した Matt McKay ら選手層の厚さを見せつけた。レギュラーシーズン中でも Asian Cup で McKay が抜けた期間でも3勝2分けと無敗街道を走り続けた。

Gold Coast United 1-0 Melbourne Victory 20th Feb., Skilled Park Gold Coast
試合はロスタイムに入り、延長戦に突入かと思われた91分、CKのチャンスを得た Gold Coast はドイツ人 FW Peter Perchtold の上げたCK をDino Djublic がヘッドで合わせてゴール左上隅に決勝点を決め Gold Coast United が Final Series 初勝利を収めMelbourne Victory の3シーズン連続Grand Final 出場を阻んだ。
昨シーズンに続き Final Series 進出を果たした Gold Coast United だが今シーズンは開幕3試合で2分1敗のスタート。
だが第4戦、アウェーで Perth Glory を 1-0 で破ると以降その試合を含めて4引分を挟んで7連勝。 その後は2勝4敗2分で勝点を伸ばせない時期もあり最後は2連敗でシーズンを終えたが4位に留まり昨シーズン同様 Final Series に進出した。Shane Smeltz ら中心選手が移籍してしまい(しかし Smelz はまた戻って来たが ) 戦力ダウンが懸念されたが何とか持ち直した。しかし平均観客があまりにも少なく1,000 人足らずの試合もあった。 
一方、Final Series 常連の Melbourne Victory はシーズン開幕9試合で2勝5分2敗と今一勝点が伸ばせなかったが、12月に入り4連勝を飾る。翌月1月は中心選手の Robbie Kruse が Asian Cup に合流した事もあり2分2敗と勝点を伸ばせなかったがその直後から3連勝を上げ最終的に5位で日程を終え何とか Final Series 進出を決めた。



レギュラーシーズンでの直接対決は Victory の2勝1敗。 Skilled Park でも Victory が 1-0 で勝っている。
この Elimination Final では Thompson, Hernandez らはベンチスタートだったが開始から主導権を握ったのはビジターの Victory だった。 Danny Allsopp, そして Asian Cup で我々にも馴染みになった Robbie Kruse がシュートを放つが All Whites GK Glen Moss がファインセーブで防ぐ。そして United も Djite がTahj Minniecon からボールを受けチャンスを創りシュートに持ち込むが惜しくもゴール枠を捉えられない。
29分には 象牙海岸生まれの FW Adama Toraore がVictory DF を切り裂きシュートを放つが惜しくもポストをかすめる。だが後半に入ると再び Victory が主導権を握る。Toraoreも厳しいマークに動きが取れず49分に Joel Porter と替ってベンチに下がるが、55分その Porter が Perchtold からのクロスから強烈なボレーを放つがポストに直撃する。
そしてこの時間帯からホームの United が攻勢に出てくる。78分には Zenon Caravella が放ったシュートを GK Petkovic が弾くのが精一杯でそのこぼれ球が Victory ゴールに向かって転がるが Adrian Leijer が必死に戻ってクリアー。
Victory は53分に Thompson , 68分に Hernandez を投入するがゴールが奪えない。 そして後半もロスタイムを迎えたのだった….
シュート数は Gold Coast 23 に対して Victory 14, 枠内シュートは Gold Coast 11, Victory 5。この数字を見ただけでもこの試合結果は順当だったのかもしれない。だがこの試合の観客数も僅か 3,281人だった…..
そして Melbourne Victory は3月から始まる Asia Champions League に集中できるだろう…..