Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Dramatic !! サッカーはどこにでもある 2010-11 A-League Grand Final

2011-03-21 | Aussie & Kiwi
3月11日。商用で豪州滞在中の私は東北関東大震災の報を聞いた。家族の安全が確認されたのは翌日早朝午前2時だった。地震、津波の最も被害のあった地区ではなかったが安全の確認が取れるまで心配は募るばかりであった。
安全が確認された翌日、楽しみにしていた Grand Final の観戦に出かけた。こんな時にスポーツ観戦なんて罰が当たりそうな気がしたけど…
試合はまさに劇的だった。内容も結末も。たかがオーストラリアの国内リーグと云う輩もいるかもしれない。この試合を気に掛ける日本のスポーツジャーナリストは皆無だろう。元々殆どのジャーナリストは欧州シーンを“追い掛ける”だけのジャーナリズムに欠ける人間ばかりなのは云うまでも無いけど….. UEFA Champions League だろうが EURO だろうがアジアの片隅のリーグ戦だろうが…
サッカーは世界中にあるのだ。 私のこの試合を通じての収穫はこの当たり前のことを再確認出来た事だった……..

3月13日午前。10年来の取引先の方に連絡を入れた。何とか仕事を昼までに片付けたいから….先方も忙しいらしくなかなか良い時間が見つからない、ひょっとして…なんとなく訊ねてみたら…”今日は家族でサッカーを観に行くのですよ….”これを聞いて安心した。実は私も…. Grand Final でしょ…. 。顧客の驚いた声が帰って来た。どうして知っているんですか??
このお客様は日本人で奥さまはオージー女性。息子さんが2人おられ上の御子さんは地元チームでサッカーをしているとの事は知っていた。地元 Brisbane Roar のレギュラーシーズン1位そして Grand Final 進出にこの試合の家族観戦を前から楽しみにしておらたれそうだ。 だったら話は早い。試合が終わって飯でも食いながらゆっくり話しましょう。 試合開始までにそちらの用事も済ませて下さい…….

今年初め、大変な洪水に見舞われ多くの人が被害にあった Brisbane 。良く知る地域が水没していたシーンをテレビで何度も視た。 Grand Final の舞台である Suncorp Stadium もそうだった。 そしてまさにここでオーストラリア国内サッカーでの最高峰の試合が行われた。 
心配だったのはこの日の天気。数日前からこの地域の予報は“ Shower ” 昼過ぎではまだ晴天だったけど…。いつもはホテルから競技場まで歩いて行くのだけどこの日はシャトルバスが街の最大の列車、バスターミナルのある Roma Street 前から出ていた。さすがは Grand Final 。この日はブルーの日本代表の NAKAMURA のレプリカを着ていいたので車中では日本人とわかる私に色々地震の様子を訊ねて来る地元の方々が…日本を発つ前はこちらの知人達が洪水に巻き込まれなかったかとどう訊ねたらいいか…と思案していたのだが反対の気を遣わせる立場になってしまった。

Stadium に到着すると多くの人達が入口に。予約していたチケットを pick up するがキックオフ30分前のこの時点でもまだ当日券は有った様だった。しかしこの試合のプログラムは既に売り切れいていた。あぁもっと早く来ればよかったなぁ…..
着席する前にアウェーの Central Coast Mariners のサポーターシートに向かった。2年前、等々力で行われたフロンターレとの ACL の試合で写真を一緒に写した人達を探す為だった…. リーダーらしき人に写真を見せると周りに10人くらいの人達が集まって来て写真に写っている人達を呼んでくれた。そして写真を手渡すとみな大変驚いた様子だがもちろん大喜び。たちまち何十人の Mariners サポーター達に囲まれ何十枚も写真を撮られた。そして握手の嵐だった。ここでも地震の事を皆に訊ねられた。
みな Mariners の勝利を当然信じて疑っていない。新聞に Arnold 監督の“27試合は実現したが28試合目は難しい。”と云ったコメントを伝えると、“勿論そうだ !! “ と親指を立てるサポーター達が多かった.。みな私が Mariners を応援しにここに来たとも思っているらしかった…..でも本当に来て良かった….と思い、自分の席を探した。



Category 1 の自分の席は最前列から2列目の選手達の迫力がまさに伝わるピッチレベルの特等席。でもフォーメーションを確認するにはちょっと低すぎる場所だったなぁ…周りは殆ど地元 Brisbane Roar のサポーター達。そして数人来年の A-League 参戦を断られた North Queensland Fury のサポーターも数人….彼らみたいな人達の為にもクラブ経営に関わる人は責任があるんだ…と思わざるを得ない…..
やがて両チームのスタメンが発表される。 先に発表されるのはアウェーのMariners 。注目の FW はMatt Simon がワントップに起用され2列目左に Adam Kwansik が起用され、右に Michael McGlinchey。 Daniel McBreen はベンチスタート。そして怪我で離脱したアルゼンチン人 Patricio Perez に替って Gold Coast 戦に続いて Mustafa Amini がトップ下に入った。2月26日のBrisbane 戦で退場になった Pedj Bojic もこの試合は右SBのポジションに戻ってきた。 Graham Arnold 監督が映し出されるとひときわ大きな歓声が上がった。



一方のホーム Brisbane Roar は前の Major Semi Final 、Mariners 戦とまったく同じスタメンだった。 MF Matt McKay と Postecoglou監督が映し出されると大歓声が沸き上がった。





そして更なる大歓声に包まれて両チームの選手達が入場しピッチ上に整列すると場内アナウンスがあり2日前の日本での大地震と津波の被害に遭われた方々の為に黙とうが捧げられた。 思わぬ Silence Ceremony に日本人の私は涙が出そうになった。
帰国後スペインや欧州のサッカーシーンでこういうシーンがあった事が報道されたがここオーストラリアでも同じ様なセレモニーが催された。 そして周囲の方々からも声を掛けられた…….被災しなかったとは言え本当に有難かった。



地元 Roar のキックオフで始まった Grand Final は開始40秒 Bojic のロングシュートで始まった今シーズン27試合連続無敗試合を続ける Roar が攻め続ける展開。オレンジ色のユニフォームの選手達が相手ゴールに迫る度に大歓声が彼らを後押しした。
その中心だったのは Asian Cup でも存在感を示した Matt McKay 。Asian Cup では2列目左サイドだったが、この試合ではキックオフ直後の位置は2列目のトップ下だったが左右に動いて効果的なパスを前線に配給していた。12分にはかつて Borussia Mönchengladbach, 1FC Köln でもプレーしたドイツ人MF Thomas Broich が McKay からのパスを受け Bojic, Wilkinson をかわして切れ込み McKay に戻し Rostyn Griffith をかわしてシュートを放つがかつて大分トリニータでプレーした CB Zwaanswijk が必死のクリアー。19分には McKay から Broich を経由して前線に上がったボランチの Kosta Barbarouse に渡りシュートに持ち込むが18歳のGK Mathew Ryan の正面に。21分、今度は右サイドから Mckay が上げたクロスに 193cm で2003年 FIFA U-17 にオーストラリア代表で出場したCB Erik Paartalu が飛び込むが僅かに合わなかった。 Brisbane はボランチの Barbarouses, Mitch Nichols ( 地元QLD州 Southport 出身、2009年FIFA U-20 出場 ) の2人の押し上げが早くクリアーボールを拾ってすぐに攻撃に結び付けるので Mariners はなかなか前線にボールが繋がらない。 188cm長身ワントップ Simon ( 北京五輪メンバー ) がポジションを下げボールを受けにくるがそこから先にはボールが出ない。


 
しかし25分頃から Adam Kwansik がトップに上がり Simon と2トップを組み、ボランチの Oliver Bozanic が左サイドを抉る様になると Mariners の攻撃が目立つようになった。29分にはGKの位置を見て Kwansik がロングシュートを放ち弾道はクロスバーを僅かに越えるが Mariners サポーター達の威勢が大いに上がった。 そしてその後に Kwasik がワントップに入り Simon が2列目左に入った。34分に Simon がドリブルで左サイドを突破し DF ラインの裏に走り込んだ Kwansik にスルーパスを送る。ちょっとオフサイド気味だったけどわずかに Kwansik に合わずゴールラインを割ってしまった。オフサイドの判定を下さなかったラインズマンに Roar サポーター達から大ブーイングが沸き上がった。 36分にはCKのチャンスを得てMcGlinchey が上げたCKを Kwansik が折り返し Simon がシュートを放つが惜しくも外れて行った。
しかしこれが Mariners 前半最後のチャンスだった。以降は Roar が主導権を奪い返し 37分には CK から Ivan Franjic が放ったシュートはクロスバーを叩きそのリバウンドを拾って Barnarouses がシュートを放つが相手 DF に当たってゴールには至らなかった。41分にはまたも McKay からナイスパスが Broich に渡ったが GK 正面を突き、1分あったロスタイムにもゴールは生まれず両者スコアーレスのまま前半が終わった。 レギュラーシーズン1,2位の対戦にしてはちょっと一方的だなぁ…という前半。そしてさすが McKay と云う前半だった。そして前半終了間際から降り出した雨がハーフタイムに入ると雨脚が一気に強くなってしまっていた…



後半に入っても雨脚は弱まらない。 席に戻ると雨ざらしになるのでゴール裏の雨のしのげる所からしばし観戦する事に。そうするとよくフォーメーションが解った。 前半優勢だった Roar が更に攻め込んでくる。48分 McKay から Barbarouses に渡りかつてコスタリカ U-17, U-20 だったトップの Jean Carlos Solorzano に送られ放たれたショットは GK 正面に。56分にはFranjic のシュートがポストの右に外れ、57分には McKay が撃ったシュートはまたも GK Ryan の正面に。 58分には波状攻撃から連続して Barbarouses がシュートを放つがここも連続して Ryan がファインセーブでストップ。 試合開始から15分間はまさに Roar の攻撃一辺倒。それを GK Ryan が必死に守っているという立ち上がりだった。 



劣勢のMariners ベンチは60分 MF Amini に替えてマルタ代表歴のある A-League 発足時からMariners 一筋選手 John Hutchinson が投入される。 これで3度の Grand Final を経験した事になった。
これで Mariners が少しだが押し返す事が出来る様になった。そして70分近くになると雨脚も弱まり自分の席に戻る事にした。
攻勢にでながらゴールが奪えない Roar は71分 ボランチの Baribarous に替えて Major Semi Final の 2nd Leg で Mariners 相手に同点ゴールを決めた Henrique を投入し Solorzano のワントップのまま、2列目を左から Broich, Nichols , Henrique と並べ McKay はその後ろに入り、Franjic はボランチの位置に下がった。
するとその直後に Mariners ベンチは Simon を下げ FW Daniel McBreen を入れた。シーズン中はこの2人で2トップをよく組んでいたのだけど…
それ以降も Roar が攻めるシーンが続く。目の前を Henrique がドリブルで上がるが、ここで邪魔なのが T.V. Crew 。 Roar の攻撃をフォローする為にタッチライン沿いをカメラマンとアシスタントが2人で目の前を左右に動く為にここぞと言うシーンが遮られる。周りの観客も随分彼らに文句を言っているが一向に聞く気配が無い、と云うよりも聞こえないのではなかったか….ちょっと日本じゃ考えられない。プレーの邪魔にもなると思うんだけどなぁ…..



80分13秒。この試合の観客動員数が50,168人と発表された。そして大歓声が上がる。おそらく A-League 記録ではないかな…



82分 Roar ベンチは2人目の交替選手 Massimo Murdocca が投入された。2003年FIFA U-20にも出場した選手で A-League 創設時から Roar 一筋の選手だ。 ポジションはどうやらDefensive Half というよりワンボランチか…
88分24秒。今度は Mariners が最後の交替選手 Bernie Ibinilsei を Rostyn Griffiths に替えて投入し Kwasnik と2トップを組み McBreen を2列目に下げる。この交替が後に色々なドラマを引き起こすきっかけとなった事はこの時には解らなかった。
90分を過ぎロスタイム4分とアナウンスされるとスタジアムから歓声が沸き、 Roar が最後の力を振り絞る様に総攻撃を掛ける。
92分 McKay からボールを受けた Solorzano がシュートを放つが Ryan がナイスセーブで防ぎその直後も Broichi が放ったシュートは Ryan がストップ。 そして95分を過ぎてMatthew Breeze 主審のホイッスルが鳴り試合は前大会に続いて延長戦に突入する事となった… 延長戦に続く....



最新の画像もっと見る

コメントを投稿