Mr.コンティのRising JAPAN

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Cash Cow の国で跳ねられるか Socceroos その2

2011-01-10 | 夏季五輪

Australia 1 Paraguay 0 Sydney 9.OCT.2010

ワールドカップが終わって約3カ月。地元オーストラリア大陸でようやく新生 Osieck Socceroos が Sydney でお披露目となった。
対戦相手はワールドカップで日本をPK戦の末に沈めたパラグアイ。9月4日にも横浜で日本と対戦しているが1カ月後のオーストラリア戦では日本戦でスタメン出場した GK J. Villa ( Real Valladolid ) や Santa Cruz ( Manchester City ) Oscar Cardozo (Benfica Lisbon ) , Lucas Barrios ( Borussia Dortmund ) らは来豪せずワールドカップメンバーでは第2GK だった Diego Baretto ( Carro Porteno : Paraguay )ら7人、うちレギュラーだったのは Nelson Valdez ( Hercules ) ら5人だけだった。
一方地元 Soccreoos はKewell ( Galatasaray ) と Kennedy ( 名古屋グランパス 8 )らがワールドカップ後初めて合流し Cahill と共にスタメン起用された。
そしてサプライズだったのは A-League Sydney FC 所属の27歳FW 選手、 Alex Brosque がこの試合に選ばれた事。 Brosque の選出に就いて Osieck 監督は
“ 浦和レッズ監督時代に ACL で Sydney FC と対戦した時の好印象が今でも残っているから。“との事であった。
試合はホームゲームとあってかこれまでの3試合と異なりオーストラリアが地元サポーター達の前で主導権を握る時間が長く, 後半に入りパラグアイも調子は出て来たが53分 かつて Sydney FC でプレーし ACL では浦和レッズとも戦ったDavid Carney のゴールで勝利を収めた。
“自信を持ったチームに蘇った事が大きい。 我々は多くのチャンスを特にセットプレーから創る事が出来た。ただ我々は不運だった。今日は相手GKの日でもあったが我々はこの試合結果を肯定的に捉えている。” Kewell は試合後この様に語った。

この試合は Lukas Neil が所属先 Galatasaray との兼ね合いでこの試合には合流せず( Kewell は来たんだけどなぁ…) 守備が心配されたが無失点で終える事が出来た。そして注目の Brosque は終了直前に Garcia に替って投入された。地元 Sydney FC のサポーターに気を使ったのかな…
この試合では Kennedy, Garcia, Cahill, Kewell と云う攻撃の選手が4人スタメン起用されたがこれは Verbeek 政権下では見られなかった陣用であった。   

Australia: Mark Schwarzer (c), Luke Wilkshire, Jon McKain, Jade North, David Carney, Richard Garcia (Alex Brosque 91), Mile Jedinak, Jason Culina,
Harry Kewell (Dario Vidosic 88), Tim Cahill (Matt McKay 76), Josh Kennedy (Scott McDonald 61).

Paraguay: Diego Barreto, Carlos Bonet, Paulo Da Silva (c), Dario Veron, Claudio Rodriguez (Cesar Benitez 81), Hernan Perez, Derelis Orue, Cristian Riveros, Victor Caceres, Newstor Camacho, Nelson Valdez Federico Santander 76)

Referee: Yuichi Nishimura (Japan) 

    

Egypt 3 Australia 0 Cairo 17.NOV 2010

Asian Cup メンバーを決める前の最後のAマッチはアウェーでのエジプト戦だった。ワールドカップ予選はアルジェリアとプレーオフまでもつれ込んだ文字通り死闘の末本大会進出を逃した。しかしワールドカップ前に行われた Africa Cup of Nations では見事に優勝を果たした。 FIFA ランクはアフリカ諸国では最高の11位。しかしワールドカップに出場したのは過去1990年イタリア大会のみ。実力の割には何故か実績が伴わない国の一つだと思う。 2003年地元開催の FIFA U-20 1次リーグで日本はエジプトと対戦し圧倒的に押されながら平山相太のゴールで勝利を収めたのを思い出すなぁ…
過去オーストラリアはエジプトとは1度だけ対戦していた。それは1987年韓国での大統領杯で、PK戦の末 4-3 でオーストラリアが勝利を収めたとの事。
このエジプト遠征には Kewell, Kennedy は怪我の為に合流を見送り、Neil, Emerton, Cahill, Holman, Schwarzer ら常連選手に並んで Michael Thwantie ( Gold Coast United ), Matt McKay ( Brisbane Roar ) ら A-League 勢に並んで ACL タイトルを勝ち取った K-League の城南一和所属の Sasa Ognenovski が選ばれた。
ワールドカップ以降 Socceroos は Craig Moore の後継者となる Lucas Neil と組むCB の発掘が急務で195cm の Ognenovski にもチャンスが巡って来た。2008年 ACL で当時在籍していた Adelaide United が鹿島アントラーズと対戦した時にマルキーニョスのマークに着いた Ognenovski が印象出来だった。

地元エジプトの立ち上がりは非常に慎重に Socceroos の出方を見ていた。その間 Wilkshire の右からのクロス等でオーストラリアはチャンスを掴みむが、25分 Wilkshire のクロスを受けた Cahill がシュートミスをするなど先制ゴールには至らなかった。
20分を過ぎるとホームのエジプトが徐々に主導権を握りだし Ahmed Abdul Zaher ( ENPI ) , Mohamed Nagy ( Al Ahly ) そして Mohamed Zidan の攻撃陣がオーストラリアゴールを襲いついに29分 Abdul Zaher が放ったシュートがブロックに入った代表デビュー戦となった Ognenovski に当たり大きく弾みそのままオーストラリアゴールに吸い込まれてエジプトの先制ゴールとなった。 Ognenovski にとっては不運なデビュー戦となった。
先制ゴールを許したオーストラリアは更に Emerton を負傷退場で失い更に劣勢に立たされ、後半に入ると完全にエジプトに試合を支配されてしまった。交替出場の Gedo が Mohamed Zidan からナイスパスを受け、5mの至近距離からのショットが決まり、終了直前には Neil が Gedo をエリア内で倒したのがファールに取られPKを献上。 そのPKを交替出場の Zidan が決めて 2008 年にアルゼンチンに敗れて以来のホームでの無敗記録を15に伸ばした。
オーストラリアは敗れたと言うよりも GK Schwarzer, CB Lucan Neil が揃いながら3失点した事に不安を抱かせた。代表デビューとなった Ognenovski に就いて Osieck 監督は  “誰でも最初の試合はとても難しいものだ。新しい環境でだれも何をどう始めれば良いか解らない。彼はACLの決勝戦を戦い日本から直行して来た事を忘れてな割らない。彼はこの経験を忘れるべきではない。彼はこういう環境でも卓越した選手でありディフェンダーであると言う事を見せてくれた。”
これで代表20試合出場となったMcDonald はこの試合も無得点に終わった。この時点では Cahill の Asian Cup 派遣が所属先の Everton からの承諾が取れるかまだ解らなかったので得点力の懸念が大いに残った。 

  

Asian Cup メンバー23人発表  28. DEC. 2010
Holger Osieck 監督は Asian Cup メンバーを発表した。メンバーの中には Kewell, Cahill, Emerton, Holman, Schwarzer らワールドカップメンバーが12人含まれていた。そしてA-League からJason Culina ( Gold Coast United ) Matt McKay ( Brisbane Roar ) Jade North ( Wellington Phoenix ) そして Melbourne Victory の FW Robbie Kruse らが選ばれたが特に Kruse の選出は第3 GK のNathan Coe ( Sonderjysk Elitesport : Denmark ) と共に初選出のサプライズだった。
それでも Kruse はU-17, U-20 ではオーストラリア代表に選ばれておりロンドン五輪候補メンバー。今後の Socceroos を担うFW選手となるだろう。

    

GK ではワールドカップ開幕直前に家族の病気を理由に出場を辞退をした Liverpool FC の Brad Jones が選出され、Leeds United の MF Neil Kilkenny も2008年3月昆明でのワールドカップ予選中国戦以来の選出となり、エジプト戦で31歳にして代表デビューを飾った Sasa Ognenovski もメンバー入りした。
その一方で名古屋グランパスの Josh Kennedy JEF 千葉の Mark Milligan は怪我の為にメンバー選考から漏れ、J-League からは浦和レッズの Matthew Spiranovic だけの選抜となった。そしてこれまで常連だった Vincenzo Grella, Scott Chipperfield そして Michale Beachamp らの名前はなかった。
またワールドカップ後エジプト戦を除く4試合で途中出場を果たしていたDario Vidosic も怪我の為かメンバーに入れなかった。

1月2日、オーストラリア協会は FW Ricard Garcia が12月初旬のCrystal Palace 戦で痛めた膝の怪我の回復が思わしくないので替りに Utrecht 所属の 19歳の Tommy Oar の召集を発表した。
Oar は Young Socceroos こと U-20 では29試合の出場経験があり2ゴールを決めており、これまで Soccoeroos のユニフォームを3度着た実績があった。そして Europe League の Liverpool 戦で好パファーマンスを見せた事が今回の召集に繋がったと言われている。 Rukavytsya じゃなかったなぁ.....

      

最終メンバー23人は下記の通りとなった。

GK
Mark Schwarzer ( Fulham FC ) , Nathan Coe ( Sonderjysk Elitesport ) , Brad Jones ( Liverpool FC )

DF
Luke Wilkshire ( Dinamo Moscow ) , Jade North ( Wellington Phoenix ) , David Carney ( Blackpool FC ) , Jon Mckain ( Al Nassar ) , Lucas Neil ( Galatasaray ) Sasa Ognenovski ( 城南一和 ) Matthew Spiranovic ( 浦和レッズ ) Carl Valeri ( U.S. Sassuolo Calcio )

MF
Jason Culina ( Gold Coast United ) , Harry Kewell ( Galatasaray ) , Matt McKay ( Brisbane Roar ) , Brett Holman ( AZ Alkmaar ), Mile Jedinak ( Gencelerbirligi ), Neil Kilkenny ( Leeds United ) Tommy Oar ( Utrecht ), Brett Emerton ( Blackburn Rovers )

FW
Tim Cahill ( Everton ) , Scott McDonald ( Middlesbrough ) , Nathan Burns ( AEK Athens ) Robbie Kruse ( Melbourne Victory )

赤字はワールドカップメンバー

オーストラリア代表は1月3日、合宿先の UAEに入り5日に UAE 代表と調整試合を行い6日からカタール入りをしたらしい。それにしても日本もそうだけど欧州のクラブチームがよく選手達を放したなぁ…

UAE 0 Australia 0 Sheikh Khalifa 5.JAN 2011 Asian Cup
開幕を3日前、最終調整を兼ねて Australia はUAE と親善試合を行い 0-0 で引分た。試合前、 Osieck 監督は “是非とも全ての選手を見る必要がある。そして全ての選手達はどんあ試合であれ起用されれば戦術に慣れる必要がある。選手達は何を期待されているかを理解し準備せねばならない。起用された選手達は我々が準備した戦術を理解し慣れなければならない。”この様に語っていた。

試合は Cahill, Kewell, Emerton, Culina そしてGK Schwarzer ら主力となるであろう選手達がベンチスタートとなった。 57分に Lucas Neil のシュートが UAE ゴールネットを揺らしたがその前に Ognenovski の位置がオフサイドとされゴールは認められなかった。
UAE もいくつかのチャンスを掴んだが後半から投入された N.Coe がファインセーブを繰り返し、Fares Juna ( Al Ain ) のシュートがポストを叩くなどアラーの神の御加護もいまいちだった。
“この試合ではスタメン選手出ない選手が必要とする時間帯でプレーする事が出来た。これは貴重な機会だった。そして多くの事を学んだ。” Ognenovski はこう語った。
この試合も前線は McDonald が Burns と2トップを組み、Holman が2列目からサポートをした。22分に McDonaldからボールを受けた McKay が放ったシュートがクロスバーを越え、後半も終了間際に McKay が放ったヘッドが僅かに外に外れる等得点は挙げられずエジプト戦に続いて無得点に終わった。

  

しかしながらこの試合フル出場したNeil主将は “もっとやれたかもしれないが、怪我人が出なくて良かったと思う。何試合かを通じて混乱を振り払う事が出来た。最初の30分は良くやれたがおそらく疲れのせいでボールを何度も失ってしまった。もしベストなコンディションなら勝たねばならない試合であったが無失点で終えられて良かった。まだやらねばならない事があるがこれまでの事は肯定的に捉えている。”
この様に語った。

GK B.Jones ( 46' N. Coe ), L.Neil, D.Carney, S.Ognenovski, B.Holman ( 57' T.Oar )
L. Wilkshire ( J. North ) C. Valeri, M. Jedinak ( N. Kilkenny ) M. Mckay, S. McDonald ( R. Kruse ) N.Burns  

なによりも Osieck 監督が就任後の5試合を通じてで選手達と信頼関係を築き上げられた事がもっとも大きな成果であると思われた。
Tim Cahill は“彼 ( Osieck 監督 ) と素晴らしい関係が築けた。かれがここで行った事は非常にオープンで実直であった。不思議なことだけど彼には Guus ( Hiddink ) を思い出させる。そして彼は選手と相互作用させる何かを持っている。 ”と語った。 Guus Hiddink の様な成果を残す事が出来るかと云う質問に就いては “それは難しい質問だ。これは Holgar のチームだからだ。彼はチーム戦術の土台作りに従事している様に思われるが限られた時間内でよくやっていると思う。それは難しい事でトレーニングを積むことにより成就していくと思われる。”
ベテラン選手達と新任監督との信頼関係が大会前短い期間で結べたことが Socceroos にとって一番の成果では無かったか…

オーストラリアは10日にインド戦を向けた後、14日に韓国。18日にバーレーン戦を迎える。