Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

All Whites の挑戦 FIFA Confederations Cup 2009 その2

2009-07-12 | 夏季五輪
New Zealand 0-5 Spain 14. June Rustenburg

All Whites の初戦は欧州王者のスペインが相手であった。All Whites の Herbert 監督が現役時代に出場したワールドカップはスペイン大会。何かの因縁を感じたか?日本では“無敵艦隊”と比喩されているスペイン代表。高校の歴史の授業で1588年当時“無敵艦隊”と言われていたスペインの艦隊が英国の艦隊に打ち破られこれがスペインの凋落、英国の台頭の始まりのそれぞれ象徴と言われていると習った。
当時、サッカー人気は低くこの歴史的事象とスペイン代表チームとを結びつける人はいなかった。それでも私はスペイン代表を思い浮かべ数年後のワールドカップでは地元スペインが優勝できないやろなぁ... と考えていた。
後に“受験勉強”で世界史を勉強している時に無敵艦隊は別に無敵で無いという事が解った。そして無敵艦隊と言う単語自体が存在するのは日本だけだという事も受験勉強の過程で解かった。

「無敵艦隊」はスペイン語Armada Invencibleの訳。ただしこの名称は、この艦隊を壊滅させたイングランド人が、皮肉をこめて考案した通称でスペインにおいては、「最高の祝福を受けた大いなる艦隊(Grande y Felicísima Armada)」と呼ばれていた。中立な視点からは、英語の文脈ではSpanish Armada、the Armadaなどと呼ぶ、

とは Wikipedia からの引用。

高校の時に歴史の先生がスペイン艦隊は穏やかな地中海での海戦が主な戦場で荒波での海戦の経験もある英国艦隊がプリスマ沖やグレイブライン海戦で勝利を収めるのは当然と話していた。従って日本でしか存在しない“無敵艦隊”と言う単語をスペイン代表と結びつけることが何と“日本らしい”と言う事だろうか?
だが今のスペイン代表はまさに“無敵艦隊”。この強豪を相手に選手を含めた関係者達は4日前 Pretoria で世界王者のイタリアに“調整試合”とはいえ“善戦”を果たした事実を糧に、イタリア戦と同じスタメンでこの試合に臨んだ。
しかし、イタリア戦が調整試合に過ぎなかった事をすぐに思い知らされる立ち上がり。開始6分左サイドから Fernand Torres にボールが渡ると DF Andrew Boyens はあっさりとかわされて先制ゴールを許す。そして14分 左サイドをSergio Ramos から David Villa にスルーパスが渡り中の Torres に渡ると CB の Tim Brown と Tony Lochhead の間から撃たれたショットがゴールネットに突き刺さる。更に3分後またも右サイド(スペイン側からは左サイド)で RamosからJoan Capdevilla にボールが渡り中の Torresにクロスがあがるとマークに入る Lochhead に競り勝ち3ゴール目となるヘッドが決まる。立ち上がり17分で立て続けに同じ右サイドを崩され3失点の All Whites 。GK の Moss もなす術なしと言う表情。更に24分にまたまた右サイドを Ramos に Villa へスルーパスを通され今度は Cesc Fabregas にボールが渡り4失点目を喫す。ここは完全に Fabregas をフリーにしてしまっていた。 All Whites ベンチはたまらず27分に Jeremy Brockie を下げて Jeremy Christie を投入し散々破られた右サイドを再構築にかかる。立ち上がりの連続失点に選手達は完全に浮足立っており、バイタルエリアでのマークが全くルーズになっている。確かにスペインの選手達はシーズンを終えたばかり。 A-League 勢が中心の All Whites 達は3か月も前にシーズンを終え新シーズンを1ヵ月半後に控えた完全にオフシーズンの状態。こう言う時こそ経験豊富な Nelsen が居れば…と誰もが思うところだろう。
ようやく43分にスペインゴール前に迫り FK を貰うと David Mulligan がFKを直接狙い惜しくも GK Iker Casillas に阻まれた。27年前のワールドカップ初戦の Scotland 戦でも立ち上がり3失点後すぐに連続ゴールで2点を返した実績がある。何とか早い時間に1点を返せば….と思うも後半開始早々の48分、スローインを受けた Toress が左サイドをドリブルで突破し入れたセンタリングをクリアーしようとした Boyens が何と空振りしそのまま右サイドのVilla の前に転がり、 簡単に決められ遂に5点差がついた。残り40分以上、あと何点取られるか?と心配になる最悪の展開。57分には Torres がフリーで放ったシュートはゴール枠を外れ、58分には Albert Riera のヘッドもポストの左に外れて行く。70分 All Whites の Simon Elliott が意地のミドルを放つがGK正面。76分には Fabregas が放ったシュートはポストの上に。 All Whites ベンチは76分に Chris James, 83分に Kris Bright と言ったFWの選手を入れるがスペインゴールをこじ開ける事は出来ず、これ以上の失点は防いだが完封を喫し、初戦を“ようやく “ を終えた。この試合の結果スペイン代表の連勝は13となり連続無敗試合記録は33となった。昨年の欧州選手権を含めて33試合中30勝と言う圧倒的な強さが再確認された。
ニュージーランドの地元紙も “ All Whites get Spanish lesson : All Whites 達はスペイン(語)の授業を受ける”と言う見出しで、監督の Ricky Herbert の挑戦は今やもう一度選手の見直しをすることだ、何故ならまだ大会は終わっていない、そしてなすべき事は早くこの結果を忘れる事だ、しかしこの試合を見た者の多くは簡単には忘れられないだろうが…….と言うとても楽観的な事など書けないと言った内容か……

この日3ゴールのTorres の年棒はNZ$5,000万 ( 約27億5,000万円 ) All Whites の大会エントリーメンバー23人全ての年棒を加算しても及ばないのではないか?
それでも選手達からは強気のコメントが紙上に。主将の Tim Brown は
“私はまだまだ我々はこの大会で何かできると考えている。南アフリカとイラク相手にサプライズを起こす機会があると思っている。この試合に就いては忘れる事はしない。まず我々は失敗から学ぶことが出来る。そして後半の出来に就いては肯定的に考えている。それはそこに何かがあると思うからだ。" とのことらしい。
Herbert 監督も同様に Confederations Cup で最初の勝点または勝利を挙げられると考えている。 ”選手達は敗戦をじっと耐えるだろう。我々はスペインのパフォーマンスには驚かなかった。ある意味こう言うチームを相手にする事はファンタスティックな機会であった。しかしその反面我々には常に厳しくなりそうだ。しかし我々はまだ偉大な試合を迎える。南アフリカがイラクと引き分けた事のよりこのグループはわからなくなって来た。何人かの選手のパファーマンスには失望したが明日は新たな日だそして元に戻れるであろう。我々は次のホスト国との対戦に向けてこの失望から早く立ち直らねばならない。“

  

New Zealand 0-2 South Africa 17. June Rustenburg

時差の関係でこの試合の前にワールドカップ予選のプレーオフの相手がサウジアラビアかバーレーンに絞られた。 All Whites の次の相手はホスト国の南アフリカ。
ニュージーランド対南アフリカはラグビーなら屈指の好カード。そして1995年地元開催のラグビーのワールドカップ決勝戦がこのカードであった。試合は延長戦の末に Springboks こと南アフリカが All Blacks を破った。

初戦の(この大会前の)世界ランク1位のスペインに惨敗したAll Whites であったが南アフリカは世界ランク72位。イラクは77位。82位のニュージーランドにとって充分射程距離内の2カ国であった。そして初戦、地元の大歓声を受けながらイラクと引き分けた南アフリカには更なる重圧がかかると予想され、その試合内容に期待がかかった。試合前のニュージーランドの地元紙の予想スタメンでは中盤の右サイドに Jeremy Christie が Brockie の替って、CBに Ben Sigmund が Andrew Boyens に替りそれぞれ起用されそしてスペイン戦ではワントップであったが南アフリカ戦では Shane Smeltz をトップに上げて Chris Killen と2トップを組むと予想された。
しかし、怪我からの回復に心配のある Sigmund はベンチスタートであった。

試合は大歓声を背に南アフリカが主導権を握る展開。10分にThembinkosi Fanteni のシュートがゴールネットを揺らすがこれはオフサイドの判定。しかし21分に Tsepo Masilela が左サイドを David Mulligan をかわして中に入れるとフリーの Bernard Parker に渡りそのままゴールを破られる。 またも右サイドを崩されての失点。そしてペナルティーエリア内でのマークが全く甘い。先制をした南アフリカは重圧から解放されたのか以降何度もニュージーランドゴールを襲撃する。前半は何とか1失点でしのいだが 52分に Masiela が Mulliganを突破して中に入れるとボールを受けた Parker がニュージーランドゴールに蹴り込んんで追加点を決められる。 Parker にボールが入った時に周りにいた Elliot, Vicelich のマークが遅いし甘い。そして先制ゴールと同様右サイドを崩されての失点。先制ゴールと言うよりもスペイン戦を含めて何度右サイドを破られた事だろう…… 
2点目を失ってから Duncan OUGHTON、Chirs Wood, Simon Elliot と言った攻撃陣を次々に投入するもシュートまで持ち込むがゴール枠を捉えられない。ついに連続完封を許し2連敗となり準決勝進出の望みを断たれた。
試合後 Herbert 監督は“大変失望している。多くの選手がバックアップ出来ていない。”とのコメントを発した。守勢に回った時にあっさりと突破を許しゴール前まで一気に持ってこられる展開が目立った。それでも“まだ得ていない勝点を目指す。それが土曜日のイラク戦の照準だ。”と最終戦への意気込みも語っていた。

All Whites の FIFA Confederations Cup の戦績では2003年大会の1次リーグ最終戦でフランスに 0-5 で敗れて以降まだ得点がない。そのゴールを決める事が出来るだろうか…….. 結局イラク戦は 0-0 で引分け4試合連続のノーゴールとなったが悲願の勝点を挙げる事が出来た。しかも消化試合ではなくイラクは勝たねばならない試合であった。大会期間中、私はオーストラリア、ニュージーランドに商用で滞在していたために FIFA Confederations Cup は結構テレビ観戦が出来た。日本ではCSと契約していない限り無理であっただろう。そして All Whites の戦いぶりを見させてもらった。
案の定、日本の専門誌を含めたマスコミはどこも  All Whites の事を触れていない。と言うよりも何の知識もない上に“準備”をしていなかったに違いない。 
一部にはアジアの第五位となるサウジアラビアかバーレーンのどちらかがほぼワールドカップ出場を決めるという観測もある。しかしそう思うのは…

でも思わせとけばいいだろう。どこも真剣に報道などしないし、出来ないのだから。 しかしニュージーランドの地元報道も積極的にこの大会の報道をしていたとは言い難い。それは6月13日にフランス、20日にイタリアと All Blacks がテストマッチを行ったからだ。 All Blacks の試合ともなれば1週間も前から連日報道がなされるのだけど All Whites は…??
ただ大会後にニュージーランドがオーストラリアの様にアジア連盟に加入すれば….というコラムが掲載されていた。単純比較だが最新FIFAランキングだと 16位のオーストラリアを筆頭に40位日本、48位韓国、58位イランと続き96位のシリアまで12カ国が100位のニュージーランドを上回る、そして中国が108位だ。
既に我が日本代表は予選突破を決めているので他国の予選状況をこんなに見ていられるのだろうと思う。 プレーオフ、NHKの衛星でやってくれないかなぁ…

6月末にニュージーランドは世界ランク7位のアルゼンチンから対戦のオファーを受けたが断ったらしい。そして中国との対戦を計画しているとのことだがそれはこの時期に対戦するにはアルゼンチンはまだ早すぎる...と言う事らしい。
もし対戦が実現すれば歴代ワールドカップ優勝国全てと対戦したことになったらしい。
しかし彼らの目標は10月10日と11月14日に行われるプレーオフだ。当然の選択と思う。そして中東対策として9月5日にイラク、8日にヨルダンとそれぞれアウェーで試合を行うとのことであった。

        

FIFA Confederations Cup 2009 の All Whites 戦の選手起用は下記の通り。

Sunday 14 June
Royal Bafokeng Stadium, Rustenburg 
New Zealand 0 Spain 5 (Fernando TORRES 6, 14, 17; Cesc FABREGAS 24, David VILLA 48)

New Zealand: 12-Glen MOSS (GK), 3-Tony LOCHHEAD, 6-Ivan VICELICH, 7-Simon ELLIOTT, 8-Tim BROWN (Captain), 9-Shane SMELTZ (16-Chris JAMES 76), 10-Chris KILLEN (21-Kris BRIGHT 83), 11-Leo BERTOS, 15-Jeremy BROCKIE (14-Jeremy CHRISTIE 27), 17-David MULLIGAN, 18-Andrew BOYENS,

Substitutes not used: 1-Mark PASTON (RGK), 2-Aaron SCOTT, 4-Duncan OUGHTON, 5-Ben SIGMUND, 13-Andy BARRON, 19-Steven OLD, 20-Chris WOOD, 22-Jarrod SMITH, 23-James BANNATYNE (RGK).      Coach: Ricki HERBERT

Spain: 1-Iker CASILLAS (GK/Captain), 2-Raul ALBIOL, 5-Carlos PUYOL, 7-David VILLA, 8-XAVI (20-Santi CAZORLA 54), 9-Fernando TORRES (21-DAVID SILVA 70), 22, 10-Cesc FABREGAS,
11-Juan CAPDEVILA, 14-XABI ALONSO, 15-SERGIO RAMOS (19-Alvaro ARBELOA, 18-Albert RIERA.

Substitutes: 3-Gerard PIQUE, 4-Carlos MARCHENA, 6-Pablo HERNANDEZ, 12-Sergi BUSQUETS, 13-Diego LOPEZ (GK), 16-Fernando LLORENTE, 17-Daniel GUIZA, Juan Manuel MATA, 23-Pepe REINA (GK).    Coach: Vicente DEL BOSQUE

Wednesday 17 June
Royal Bafokeng Stadium 
New Zealand 0 South Africa 2 (Bernard PARKER 21, 52)

New Zealand: 12-Glen MOSS (GK), 3-Tony LOCHHEAD, 6-Ivan VICELICH, 7-Simon ELLIOTT, 8-Tim BROWN (Captain/4-Duncan OUGHTON 54)), 9-Shane SMELTZ, 10-Chris KILLEN (20-Chris WOOD 75), 11-Leo BERTOS (16-Chris JAMES 66), 14-Jeremy CHRISTIE, 17-David MULLIGAN, 18-Andrew BOYENS.

Substitutes not used: 1-Mark PASTON (RGK), 2-Aaron SCOTT, , 5-Ben SIGMUND, 13-Andy BARRON, 15-Jeremy BROCKIE, 19-Steven OLD21-Kris BRIGHT, 22-Jarrod SMITH, 23-James BANNATYNE (RGK).    Coach: Ricki HERBERT
Cautions: Jeremy CHRISTIE 53, Andy BOYENS 72, Shane SMELTZ 85, Ivan VICELICH 90+3

South Africa: 16-Itumeleng KHUNE (GK), 2-Siboniso GAXA, 3-Tsepo MASILELA, 4-Aaron MOKOENA (Captain), 6-MacBeth SIBAYA, 10-Steven PIENAAR, 12-Teko MODISE, 13-Kagisho DIKGACOI, 14-Matthew BOOTH, 17-Bernard PARKER (8-Siphiwe TSHABALALA 81), 18-Thembinkosi FANTENI (21-Katlego MASHEGO 62).

Substitutes not used: 1-Rowen FERNANDEZ (RGK), 5-Benson MHLONGO, 7-Lance DAVIDS, 9-Katlego MPHELA, 11-Elrio VAN HEERDEN, 15-Innocent MDLEDLE, 19-Bryce MOON, 20-Bongani KHUMALO, 22-Brian BALOYI (RGK), 23-Morgan   GOULD. Coach: Joel SANTANA


Saturday 20 June
Ellis Park, Johannesburg 
New Zealand 0 Iraq 0

New Zealand: 12-Glen MOSS (GK), 2-Aaron SCOTT (17-David MULLIGAN 83), 3-Tony LOCHHEAD, 5-Ben SIGMUND (18-Andrew BOYENS 72), 6-Ivan VICELICH, 7-Simon ELLIOTT, 8-Tim BROWN (Captain), 9-Shane SMELTZ, 10-Chris KILLEN, 11-Leo BERTOS, 15-Jeremy BROCKIE (14-Jeremy CHRISTIE 68).

Substitutes not used: 1-Mark PASTON (RGK), 4-Duncan OUGHTON, 13-Andy BARRON, 16-Chris JAMES, 19-Steven OLD, 20-Chris WOOD, 21-Kris BRIGHT, 22-Jarrod SMITH, 23-James BANNATYNE (RGK).     Coach: Ricki HERBERT
Cautions Tim Brown 36, Jeremy BROCKIE 61

Iraq: 12-MOHAMMED KASSID (GK), 2-MOHAMMED ALI KAREEM, 3-BASEM ABBAS, 5-NASHAT AKRAM, 7-EMAD MOHAMMED (17-ALAA ABDUL ZAHRA 56), 10-YOUNIS MAHMOUD, 11-HAWAR MULLA MOHAMMED (4-FAREED MAJEED 46), 13-KARRAR JASIM, 14-SALAM SHAKER, 15-ALI HUSSEIN REHEMA, 18-MAHDI KAREEM (6-SALIH SADIR 67)

Substitutes not used; 1-NOOR SABRI (RGK), 8-LUAY SALAH, 9-ABDUL WAHHAB ABU AL HAIL, 16-DARA MOHAMMED, 19-ISAM YASEEN, 20-SAMER SAEED, 21-ODAY TALIB (RGK), 22 MUAYAD KHALID, 23 HALKARD MULLA MOHAMMED.   Coach: Bora MILUTINOVIC