Mr.コンティのRising JAPAN

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All Whites の挑戦 FIFA Confederations Cup 2009 その1

2009-07-10 | 夏季五輪
New Zealand 0-0 Iraq 20. June Johannesburg

イングランド人の Howard Webb 主審のホイッスルが鳴り響くや否や New Zealand ベンチの Rickie Herbert 監督は誰かれなく抱きつき喜びを爆発させた。そしてGK Glen Moss が両手を突き上げゴール裏の観客に大きく手を振った。 
Kiwi 達が大挙してここに駆け付けていた訳では無かった。この試合もしイラクが勝つと地元南アフリカは準決勝に進めなくなくなる可能性があった。従って 23,295 人の観衆のうち8割以上が New Zealand All Whites に声援を送っていた。その彼らの声援に向けて感謝の辞を述べたかったのかもしれない。 大会2連敗で既に1次リーグ敗退が決まっている New Zealand の最終戦の相手はこの試合に勝てば準決勝進出への視界が大きく開けて来るアジア王者のイラク。 
試合前の New Zealand での観点は何人かの選手の入れ替えで特にGK Glen Moss をこのイラク戦でも起用するのかどうか? Melbourne Victory のGK Moss はオセアニア地区予選の Fiji 戦で退場になり今年10月、11月に行われるアジア地区第5位(サウジアラビア or バーレーン ) とのプレーオフはおろかワールドカップ出場が決まっても最初の2試合は出場できないという4試合出場停止を受けている為、地元のマスコミの中にはプレーオフに向けて第二GKである Wellington Phoenix の Mark Paston を起用すべきとの声も上がっていた。 Herbert 監督はこの大会での勝点を目指すのか?プレーオフを見据えるのか…
スタメンは3日前の南アフリカ戦から3人のスタメンを入れ替えたが GK に起用されたのは Moss だった。 Herbert 監督はまずこの大会での“実績”を選んだのかもしれない。
対する前節スペインに0-1 で惜敗したイラクはこの試合には Emad Mohammed, Younnis Mahmoud そして Mahdi Kareem と言ったワールドカップ3次予選でオーストラリアDF陣を苦しめた攻撃的な選手をスタメンで起用。最終戦は攻撃的な布陣で勝利と準決勝進出を目指す名匠 Bora Milutinovic 監督の方策だ。

11分 Emad Mohammed からボールを受けた Younnis Mohamoud が放ったショットをGK Moss がナイスセーブで防ぐと しばらく All Whites が攻勢に出る。 15分、 Chris Killen がHussein Rehema をかわしてシュートを放つが惜しくも外れる。17分には 左から Leo Bertos が入れたクロスにフリーの Shane Smeltz がフリーで放つが外してしまう。3試合目ともなると国際大会の雰囲気に慣れたか1対1でもフィジカルの強さを全面に出し対等にボールを奪い合う。 同じ南半球で行われているので気温13度と言う気象条件も味方をしたか?



しかし後半に入って最高のパフォーマンスを見せたのはGK の Moss。このままスコアレスドローかと思われた87分に Younnis Mohamoud からボールを受けた Karrar Jasim が Dave Milligan をかわして中央から決定的なシュートをファインセーブで防ぐ。ロスタイムに入った92分には交替出場の Salih Sadir のミドルシュートを弾き出す。どうしても Moss の牙城を崩せないイラクは93分 Salam Shakar のシュートが Moss をついに破るがカバーに入った DF Tony Lochhead がゴールライン手前で蹴り出す。そして更に2分あったロスタイムにも両チーム得点は生まれずタイムアップの笛が鳴った。
“今夜は我が国にとって milestone となるだろう。 数人の懐疑者が間違いであった事を証明でした。 チームにとっては偉大な夜だ。 我々はこれまでFIFA 主催の大会で挙げられなかった勝点を挙げる事が出来、握ることの出来なかった主導権を握る事が出来た。ハーフタイムまでに2,3度あったチャンスを生かせなかった事は残念であった。ワールドカッププレーオフにむけて希望を持たせられるまずまずのパフォーマンスであった。 この日の様なある程度の相手に0-0 で引き分けて大会を後にすることは重要なメッセージを送った事となる。” これまで New Zealand は FIFA 開催のフル代表レベルの大会には1982年ワールドカップスペイン大会を筆頭に FIFA Confederations Cup は1999年と2003年、合わせて3度出場していた。しかし共に3連敗で大会を去っており大会の連敗を11でストップするとともに初勝点をもたらした。

“私が指揮した期間では最高のパフォーマンスであった。”と Herbert 監督は喜びを隠さない。
大会が選ぶ Man of the Match には Gold Coast United 所属のFW Shane Smeltz が選ばれたが、私から見た感想は GK のGlen Moss も勝るとも劣らない活躍だった。 大会終了後の FIFA ランクでは New Zealand は100位。イラクは94位。プレーオフで対戦する可能性のあるサウジアラビアは61位。そしてバーレーンは66位。 しかしアジア王者のイラクを相手にここまで戦ったのをみた両国は脅威を感じ始めたかもしれない。それが Herbert 監督の最大の狙いだったか?
地元では丁度フランス、イタリアのラグビー代表チームが All Blacks とのテストマッチの為に相次いで訪れておりあまり話題にはならなかった。しかし11月14日、ウェリントンで何かが起こるかもしれない………

   

5月7日 Confederations Cup に臨む All Whites 23名発表 6月14日から開幕する FIFA Confederations Cup に臨む New Zealand All Whites のメンバー23名が下記の通りに発表された。 (Club – caps/goals)
Goalkeepers:
James BANNATYNE (Petone/Team Wellington – 5/0) Glen MOSS (Melbourne Victory – 10/0) Mark PASTON (Wellington Phoenix – 19/0)

Defenders:
Andrew BOYENS (New York Red Bulls – 8/0) Tony LOCHHEAD (Wellington Phoenix – 20/0) David MULLIGAN (Wellington Phoenix – 23/3) Ryan NELSEN (Captain / Blackburn Rovers – 38/10) Steven OLD (Kilmarnock – 19/1) Aaron SCOTT (Melville United/Waitakere United – 2/0) Ben SIGMUND (Wellington Phoenix – 8/1)

Midfielders:
Andy BARRON (Petone/Team Wellington – 8/1) Leo BERTOS (Wellington Phoenix – 22/0) Tim BROWN (Vice-captain / Wellington Phoenix – 19/0) Jeremy CHRISTIE (Wellington Phoenix – 17/1) Simon ELLIOTT (San Jose Earthquakes – 58/8) Chris JAMES (Tampere United – 12/1) Duncan OUGHTON (Columbus Crew – 25/2)

Forwards:
Kris BRIGHT (Panserraikas FC – 2/1) Jeremy BROCKIE (North Queensland Fury – 11/0) Chris KILLEN (Celtic FC – 28/15) Shane SMELTZ (Gold Coast United – 23/13) Jarrod SMITH (Seattle Sounders FC – 14/0) Chris WOOD (West Bromwich Albion – 0/0)

Hyndai A-League をはじめアメリカMLS でプレーする選手が中心。Rikiy Hebert 代表監督が兼任する A-Leauge の Wellington Phoenix 所属の選手が7人も含まれている。選手として出場して以来28年振りのワールドカップ出場に情熱を燃やし続ける Herbert 監督の熱意が伝わる。 解散した A-League の New Zealand Knights の最後を引き継ぎそのまま新たに誕生した Wellington Phoenix の監督に就任して以来 All Whites の監督にも就任。このワールドカップ予選に並々ならぬ思いが込められているだろう。
欧州でプレーする選手もいるが FW の Chris Killen は所属先の Glasgow Celtic ではScot McDonald, Jan Vennegoor of Hesselink とのレギュラーポジション争いに勝てずにベンチスタートの日々が続き3シーズンで21試合1ゴールの実績しか残せず昨シーズンは途中なから Championship の Norwich にローン契約となっていた。そんな中でチームの絶対的重鎮であったのが Blackburn Rovers 所属の Ryan Nelsen 。過去2度の FIFA Confederations Cup に出場した現役 No.1 の実績を持つ選手。しかし Nelsen は5月16日 Chelsea 戦で脚を痛め5月21日、出場辞退を余儀なくされる。
“私は本当にこの大会を楽しみにしていた。 Confederations Cup はプレーオフに向けての重大な準備となる。本当に今残念でならない。それは大変なフラストレーションだ。今シーズンは国際試合を含めて50試合程度こなしてきた。体調は非常に良かった。しかしそれがオーバーワークであったのかもしれない。休養が必要だという神の思し召しかもしれない。” 
失意なのは Nelsen だけではない。 “自信、経験そして競争力。それらは Nelsen が選手としてもつ学識だ。我々がこれからやろうとしている事は今や失った事だ。彼の離脱は重大な損失だ。今はこれが10月(プレーオフの初戦)に起こらない事を祈るばかりだ。”

  

そして Nelsen の替りには過去2度の Confederations Cup に出場した Auckland City FC のベテランMF  Ivan Vicelich が招集される事となった。 Nelsen, Vicelich, Duncan Oughton, Chris Killen の4人は2003年大会の日本戦に出場した選手で GK Mark Paston そして Dave Mulligan, Shane Smeltz ら3選手はベンチ入りするも出場はしなかった。

   

New Zealand 3-4 Italy 10th June Pretoria
5月27日 Auckland を出発した選手団一行は6月3日にタンザニア ( 1-2 ) 6月6日にボツワナ ( 0-0 ) とアウェーで2連戦を行った後に南アフリカ入りし世界王者のイタリアとの“調整試合”に臨んだ。
雨で重く濡れたピッチで行われた試合は開始10分に Leo Bertos のFKにShane Smeltz が飛び込んでヘッドで決めた All Whites が先制する波乱の幕開け。  33分に Rossi, Quagliarella と繋いで最後はGilardino のヘッドで同点としたアズーリだが、42分にはまたも Bertos のCK から Chris Killen がヘッドを叩き込み All Whites がリード。 48分には Dossena のクロスから再び Gilardino のヘッドでイタリアが追い付いた8分後に Killen がゴール前に入り込むと GK Marco Amelia が Killen を倒してPKを献上。 Killenは自らそのPKを決め三度 All Whites が突き離す展開。
しかしここから Lippi 監督は Pirlo, Camoranesi, Iaquinta そして Toni と言った攻撃陣を次々と投入。自力に勝るアズーリが68分、72分と Iaquinta の連続ゴールで逆転勝を収めた。この試合結果にもっとも安堵しているのは試合後“今夜は調整試合だ。”とコメントしたMarcello LIPPI 監督であっただろう。今思えばイタリアの大会での不調の前触れだったのかもしれない。

敗れた All Whites の Herbert 監督は金星を逃した事を悔やむ一方で、 “これまで見てきた中で Best Performance。我々は今日3ゴールを挙げる為だけににここに来たわけではなく、世界王者相手に良いパファーマンスを見せに来た。ファンタスティックなパファオーマンスでもっとやれたとも思う。” と試合後感想を述べていた。

4日後、昨年EURO王者の戴冠を受けたスペインを相手に少しばかりの自信を持って大会初戦に臨めるはずであったのだけど………  続く  

  

イタリア、ボツワナそしてタンザニア戦の出場メンバーは下記の通り。

New Zealand 3 (Shane Smeltz 10, Chris Killen 42, 56-pen) Italy 4 (Alberto Gilardino 33, 48, Vicenza Iaquinta 68, 72) New Zealand: 12-Glen MOSS (GK), 17-David MULLIGAN, 18-Andrew BOYENS, 6-Ivan VICELICH, 3-Tony LOCHHEAD, 15-Jeremy BROCKIE (13-Andy BARRON 75), 7-Simon ELLIOTT, 8-Tim BROWN (Captain), 11-Leo BERTOS, 9-Shane SMELTZ, 10-Chris KILLEN (20-Chris WOOD 80).

Substitutes not used:1-Mark PASTON (RGK), 2-Aaron SCOTT, 4-Duncan OUGHTON, 5-Ben SIGMUND, 14-Jeremy CHRISTIE, 16-Chris JAMES, 19-Steven OLD, 21-Kris BRIGHT, 22-Jarrod SMITH, 23-James BANNATYNE (RGK).
Coach: Ricki HERBERT

Italy: 14-Marco AMELIA (GK), 2-Davide SANTON, 13-Alessandro GAMBERINI, 6-Nicola LEGROTTAGLIE, 22-Andrea DOSSENA, 8-Gennaro GATTUSO (Captain/20-Riccardo MONTOLIVO 58), 18-Angelo PALOMBO, 7-Simone PEPE (16-Mauro CAMORANESI 58), 17-Giuseppe ROSSI ( 21-Andrea PIRLO 56), 23-Fabio QUAGLIARELLA (15-Vincenzo IAQUINTA 58), 11-Alberto GILARDINO (9-Luca TONI 58),

Substitutes not used: 1-Gianluigi BUFFON (RGK), 3-Fabio GROSSO, 4-Giorgio CHIELLINI, 5-Fabio CANNAVARO, 10-Daniele DE ROSSI, 12-Morgan DE SANCTIS (GK), 19-Gianluca ZAMBROTTA, , Coach; Marcello LIPPI


New Zealand 1 (Shane Smeltz 10-pen) Tanzania 2
Wednesday 3 June

New Zealand: 1-Mark PASTON (GK), 3-Tony LOCHHEAD, 6-Ivan VICELICH, 8-Tim BROWN (Captain), 9-Shane SMELTZ (16-Chris JAMES 75), 11-Leo BERTOS, 14-Jeremy CHRISTIE (7-Simon ELLIOTT 55), 15-Jeremy BROCKIE (13-Andy BARRON 75), 17-David MULLIGAN, 19-Steven OLD, 20-Chris WOOD (10-Chris KILLEN 55). Substitutes not used: 2-Aaron SCOTT, 4-Duncan OUGHTON, 5-Ben SIGMUND, 12-Glen MOSS (RGK), 18-Andrew BOYENS, 21-Kris BRIGHT, 22-Jarrod SMITH, 23-James BANNATYNE (RGK).

New Zealand 0 Botswana 0
University of Botswana Football Stadium Gaborone, Botswana
Saturday 6 June (June 7 NZT)

New Zealand: 12-Glen MOSS (GK), 2-Aaron SCOTT (3-Tony LOCHHEAD 79), 4-Duncan OUGHTON, 6-Ivan VICELICH, 7-Simon ELLIOTT (Captain), 10-Chris KILLEN (21-Kris BRIGHT 82), 13-Andy BARRON, 16-Chris JAMES, 17-David MULLIGAN, 18-Andrew BOYENS, 22-Jarrod SMITH (15-Jeremy BROCKIE 55). Substitutes not used: 1-Mark PASTON (RGK), 5-Ben SIGMUND, 8-Tim BROWN, 9-Shane SMELTZ, 11-Leo BERTOS, 14-Jeremy CHRISTIE, 19-Steven OLD, 20-Chris WOOD, 23-James BANNATYNE (RGK)