Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

サワディ~カップ 国王の誕生日

2006-12-09 | Weblog
最近,アジアの空港の充実振りを見ると成田空港がかすんで見える。シンガポールのチャンギ空港は言うまでも無くクアラルンプールの KLIA 。ジャカルタの空港も大変な大きさだ。しかしクアラルンプールから私の搭乗した航空会社は Air Asia 。発着空港は KLIA ではなく、 LCCT 。それは Low Cost Carrier Terminal という名の文字通り安いキャリアーのターミナル。空港内は見送りと出迎えの人も含めて大変な人だった。チェックインをする時に“当機の1人当たりの機内預け重量は 15kg までです”、とエクセスチャージをしっかりと取られた。機中は1杯の水から有料。2時間のフライトを過ぎて到着したのはこれまでのドンアン空港と異なり新しくなったバンコック国際空港。この日も相変わらず大変な人だ。しかしその規模の大きさはそんな訪問客の多さなど気にならない。そして両替所を含めた全ての施設が超近代的の見える。パスポートコントロールもスムースに抜けて外に出るとわんさと人が。しかも着ている物は殆ど黄色だ。12月4日はプミポン=アドンヤッデ国王の79回目の誕生日。そして即位60周年。国民は王家の色である黄色の衣料を身に纏い国王の誕生日と今後の健康を祈願しているのだ。国民から絶大なる支持を受け続けている国王。先の軍事クーデターも国王の“退任勧告”を無視したタクシン前首相を追い出す為と言われており、その銃口は一般市民には一切向けられなかった。その絶対的な支持は近隣諸国が欧州列強の植民地にされながら、タイだけは植民地にされることは無く、それは国王のおかげと信じられている。しかし“この地域はフランス領とイギリス領との緩衝地帯になっており、両国列強は手が出しづらかった事もある”と言う歴史家もいる。 
12月1日よりカタールの首都ドーハで開幕した第15回アジア大会。丁度1週間を過ぎたメダル争いは相変わらず中国が87個とダントツでトップを快走しており、日本の23、韓国17、カザフスタン10、更に北朝鮮そしてインドに続いてタイが6番目にいるが、タイの金メダルは4個。アジア大会とは言え上位3カ国とは競技力の差が歴然だ。 それでも大会3日目の女子重量挙げ 63 kg 級では Pawina Thogsuk がジャークで 142kg の世界記録を樹立し金メダル。しかもこのクラスには世界王者の中国のオウヤン=シャオファンがおり、彼女を破り、これまで6階級の女子重量挙げ金メダルを独占し続けた中国勢に待ったをかけた。そしてこのミャンマーの Faw Thaw Yae が3位に入った。アジアの選手で世界に通用する選手は多くは無いが、ここタイにもそういう選手がいるのだ。マレーシアの New Straights Times は Thongsuk の世界記録は “国王への完璧なプレゼント”と紹介している。女子 50m ライフル団体でも金メダルを獲得。女子の射撃競技では中国とカザフスタンが抜きん出た実力国とされているが、その両国の間にタイ女性達が割って入った。同種目の個人競技で銀メダルを獲得した16歳の Thanyalak Chotpaibunsin が“この金メダルを私は国王に送る。これより良いプレゼントは贈れない。”とコメント。もし日本の選手が“このメダルを天皇陛下に…” などと公式の場で言おうものなら左翼連中は何と言うだろう?タイでは誰も彼女に非難の声を浴びせない。 そして大会六日目のタイ国民のハイライトはサッカーの1次リーグ最終戦のクウェート戦だろう。いつもは青か赤のユニフォームを着るタイ代表だがこの日のユニフォームはもちろん黄色。前半37分に Teeratep Winothai のPKで先制するも、後はクウェートの攻撃に押される苦しい展開。しかも55分にはベテランFW Nutchum Suchaoを怪我で失う。1次リーグのこれまでの相手、パレスティナ、キルギスタンとは明らかに実力差が異なる相手。しかしそれはクウェートも同じ事。イエローカードが6枚出されたタフな試合はそのままタイが逃げ切り準々決勝進出を決めた。試合終了後スタンドの応援団の前に平伏し感謝の意を表わすタイイレブン。来年開催される ASIA CUP の開催国の中でただ1ヵ国ベスト8進出を決めた。 タイのサッカーはアジア大会では無類の強さを見せこれまで2大会連続してベスト4に進出している。12月8日の準々決勝戦は開催国カタールが相手だ。しかし上述した Suchao のみならず Sutee Suksomkit , Hadtaporn Suwan, Thana Chanabut が怪我で出場が危ぶまれる。Charnavit Phalajivin 監督もカタール戦に向けて特に Suchao の代役探しに苦悩しそうだ。この準々決勝に日本がいないのが寂しい。 
そしてこの地域では盛んな よく空き地で子供達が竹で編んだボールを足でコントロールして遊んでいる東南アジアで盛んな競技、セパタクロー。タイではタクロゥーとクにアクセントがかかりタは小さく発音する。そして“セパ”は言わないらしい。 決勝戦はマレーシア。この両国がこの世界では1,2を争うがこの宿敵を 2-0 ( 21-15, 21-15 ) 2-0 ( 22-20, 21-12 ) で破り金メダルを獲得した。 しかし、いいことばかりは続かない。女子の決勝戦はヴェトナムが 2-1 ( 13-21, 21-14, 15-11 ) 0-2 ( 12-21, 15-21 ) 2-1 ( 12-21, 21-15, 15-11 ) でタイを破り大会3連覇を阻止した。ヴェトナム女子は1998年バンコック大会銅メダル。2002年釜山大会銀メダル、と着実に力をつけ、昨年のバンコックでの世界選手権、マニラでの SEA GAME でもタイに続いて2位になり、遂に今大会タイを破った。 Chucheep Kongmeechon ヘッドコーチは“緊迫した試合だった。ヴェトナムの精神的なアプローチが勝敗を決めた。最後まで集中を切らさなかった。ヴェトナムの選手達は勝つべく資質を兼ね備えていた。我々(タイ)の選手は出だしは良かったが次第にプレッシャーに襲われた。各チームのストライカー達は思い切りを保持できなかった。選手起用に迷いがあった私の責任だ。”とコメントを残した。この競技のおかげで東南アジアのサッカー選手の足元は大変器用だ。欧州勢はどうだろう?しかし、欧州で、もしこの競技がメジャーになれば国際ルールを彼等の都合の良い様に変えられてしまうだろう。このままが良いのかも?最後に、タイテニス界の英雄 Paradorn Srichaphan が団体戦で日本の添田に敗れた。そして痛めていた手首が悪化し、個人戦を含めた以降の試合をパスする事に。4年前、久し振りにバンコックに来たとき、彼はテニスの4大大会でも結構上位に進出していた。 もうピークは過ぎたのだろうか…… 今日も競技は続く。そして暑いバンコックの夜も…..