今回のお気に入りは、原色日本蝶類図鑑54年版です。
当ブログで、博物図譜を鑑賞していることをしつこく書いてきましたが、
このところその派生効果で意外な分野に興味を持つようになりました。
ドイツの古い植物図鑑を読むために「フラクトゥール」という特殊な
文字書体に行き当たり判読トレーニングをしてみたり、串田孫一という
詩人・エッセイストを知り、その文章に魅了されたり、画文集という
ジャンルに興味を持ったことから日本国憲法の作成に携わった法制官僚の
大物、佐藤達夫の文章を読むことになったり・・・。
「風が吹けば桶屋が儲かる」風に思いも寄らないところに行き着くもの
です。
そして今回行き当たったのが、原色日本蝶類図鑑という本。
この本は、博物画ではなく写真の図鑑ですから、本来は興味の範囲外
なのですが、書評に興味深い一行を見掛け、読むことを決意しました。
その原因となった一行をご紹介します。
(理化学研究所の倉谷さんという方のHPからの引用です。)
「保育社原色日本蝶類図鑑54年版は、文学の味わい深い博物学書」
・・・文学の味わい深い博物学書・・・、いい響きです。
「科学と芸術が融合した博物画」に魅了されている私にとって、
読まずにいられない分野が出現してしまいました。
このHPには、さらに次のような魅力的な記述があります。
「ボロボロになり、表紙も背も分裂し、頁すらばらけてしまっているのに
買い換えようともせず、氏は焦茶に変色した厚紙製の箱ごとその古書を
使い続けている。残骸のようになっても毎日のように開いて眺め、
用が済むと元通りゴムバンドでしばって大事そうに標本箱の横に戻す
のである。」
私はまだそれほどまでに愛しい本にめぐり合っていない、何と羨ましい
ことか!
そして私に止めを刺した、この図鑑の解説文例を引用します。
「じゃこうあげは -やまじょろう-」
その名のように雄は芳香を放ち、雌の翅色は灰褐色、後翅の半月紋は
雌雄共に赤・橙の2種の系統があって、見るからに南国情緒豊かな蝶
である。長い尾状突起を振りながら、そよかぜにのって緩慢に、樹間や
路傍の花上を舞う姿は「山女郎」の名のごとく、絵のような美しさ
である。(中略)蛹は「お菊虫」と呼ばれ、後手に縛された姿にも似て
「口紅」に似た赤い斑点さえもひとしお可憐である。
うーん、これはたまりません。
確かに文学の香りがプンプンとしています。
残念ながら1976年発行の「全改訂新版」からはこのように文学的な
記述はなくなったとも書かれています。
「文学の味わい深い博物学書」
深みにハマリそうな予感がたっぷりの魅力的なフレーズ。
たまたま1954年版がアマゾンで販売されていましたので早速注文
しました。
手元に届くのが本当に待ち遠しいです。
そしてこのような素敵な物語りがある本をじっくりと味わいたいと
思います。
当ブログで、博物図譜を鑑賞していることをしつこく書いてきましたが、
このところその派生効果で意外な分野に興味を持つようになりました。
ドイツの古い植物図鑑を読むために「フラクトゥール」という特殊な
文字書体に行き当たり判読トレーニングをしてみたり、串田孫一という
詩人・エッセイストを知り、その文章に魅了されたり、画文集という
ジャンルに興味を持ったことから日本国憲法の作成に携わった法制官僚の
大物、佐藤達夫の文章を読むことになったり・・・。
「風が吹けば桶屋が儲かる」風に思いも寄らないところに行き着くもの
です。
そして今回行き当たったのが、原色日本蝶類図鑑という本。
この本は、博物画ではなく写真の図鑑ですから、本来は興味の範囲外
なのですが、書評に興味深い一行を見掛け、読むことを決意しました。
その原因となった一行をご紹介します。
(理化学研究所の倉谷さんという方のHPからの引用です。)
「保育社原色日本蝶類図鑑54年版は、文学の味わい深い博物学書」
・・・文学の味わい深い博物学書・・・、いい響きです。
「科学と芸術が融合した博物画」に魅了されている私にとって、
読まずにいられない分野が出現してしまいました。
このHPには、さらに次のような魅力的な記述があります。
「ボロボロになり、表紙も背も分裂し、頁すらばらけてしまっているのに
買い換えようともせず、氏は焦茶に変色した厚紙製の箱ごとその古書を
使い続けている。残骸のようになっても毎日のように開いて眺め、
用が済むと元通りゴムバンドでしばって大事そうに標本箱の横に戻す
のである。」
私はまだそれほどまでに愛しい本にめぐり合っていない、何と羨ましい
ことか!
そして私に止めを刺した、この図鑑の解説文例を引用します。
「じゃこうあげは -やまじょろう-」
その名のように雄は芳香を放ち、雌の翅色は灰褐色、後翅の半月紋は
雌雄共に赤・橙の2種の系統があって、見るからに南国情緒豊かな蝶
である。長い尾状突起を振りながら、そよかぜにのって緩慢に、樹間や
路傍の花上を舞う姿は「山女郎」の名のごとく、絵のような美しさ
である。(中略)蛹は「お菊虫」と呼ばれ、後手に縛された姿にも似て
「口紅」に似た赤い斑点さえもひとしお可憐である。
うーん、これはたまりません。
確かに文学の香りがプンプンとしています。
残念ながら1976年発行の「全改訂新版」からはこのように文学的な
記述はなくなったとも書かれています。
「文学の味わい深い博物学書」
深みにハマリそうな予感がたっぷりの魅力的なフレーズ。
たまたま1954年版がアマゾンで販売されていましたので早速注文
しました。
手元に届くのが本当に待ち遠しいです。
そしてこのような素敵な物語りがある本をじっくりと味わいたいと
思います。
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