鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1247~北海道主要樹木図譜

2016-09-07 12:45:00 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、北海道主要樹木図譜です。

最近はオールドボトルや図鑑の蒐集が一段落し、絵本読みにハマっています。
そのため支出する金額が落ち、お小遣いの残高が少しずつ増えている状況。

先日、お気に入りの「北海道主要樹木図譜」の画工・須崎忠助の新たな図譜を鑑賞する機会がありました。
それにより北海道主要樹木図譜の熱が復活し、復刻版を購入して図版を部屋に飾ろう、と考えるようになりました。
以前は高価なためあきらめましたが、今なら大丈夫。

ネットで調べると、以前よりは安くなっていますが、それでも2万円ほどします。
買おうか買うまいか、どうしようかな?
迷っているときに「当時物」の文字が目に入りました。

そのときのオークションの商品説明を引用します。
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この北海道主要樹木図譜は、1984年に刊行された『覆刻 北海道主要樹木図譜』や、1986年に刊行された『北海道主要樹木図譜(普及版)』の元となった、1920(大正9)年~1931(昭和6)年にかけて発行された解説及び図版を製本したものです。
当時は、書籍として売られるのではなく、解説及び図版が紙袋に入れられ、おおよそ3図版を1つの輯(集)として売られていました。
読者は購入したものをまとめ、自身で製本したり、出版社に対して製本を依頼していたようです。
内容は第1巻(1-10輯)、第2巻(11-20輯)、第3巻(21-28輯)に分けられ、全部で86種類が図版入りで解説されています。
なお、第1巻は昭和6年に刊行された再版が使用されているようです。
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状態
『普通』です。
経年感・ヤケ・シミ・ヨゴレが見られます。
図版を保護するパラフィン紙の一部にヤブレが見られます。(第36/37/84図版)
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北海道主要樹木図譜の元本だ!
こりゃ、復刻版どころじゃない。
石版画のため300部ほどしか制作されなかったといわれる希少な元本!
当然ながら高額で、20万円弱の値が付いていました。
以前高くて買えなかった復刻版のちょうど10倍!
皮肉な巡りあわせです。
よりにもよって今?

この価格、高いのか安いのかが判りません。
あちこち調べましたが、元本は他では販売されておらず、比較する材料が見当たりませんでした。
あとは自分の価値判断のみ。

多色石版画の名作を1図版あたり2325円で入手できるなら安いかも。
(20万円÷86図版=1図版2325円)
もう二度と巡り合うことがないかも。

いろいろな思いがぐるぐる回り・・・、思い切って購入しました。
(家族には内緒で)
同じ札幌市内からの配送なのですぐ届きました。
久しぶりの高価な買い物。
期待に胸を膨らませ、本を開きました。
すると残念な事実が!

なんと第1巻の第1図版から第31図版までは、石版画ではなくオフセット印刷でした。
ショック!
でも第2巻、第3巻の第32図版から第86図版まではすべて石版画でした。
一安心。

商品説明に「第1巻は昭和6年に刊行された再版」とあったのは、このことでしょう。
改めて本書普及版の解説を読み直すと、そのあたりの経緯が詳しく書かれていたので引用します。
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大正9年から12年に刊行された原著の第1巻全10輯の在庫品とその原版は大正12年の関東大震災で焼失したので、昭和6年全巻完結後、再版が刊行されている。そのため、現在、第1巻については初版・再版の両版が残されている。
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なるほど、原版が失われたので第1巻の再版はオフセット印刷になったのですね。
それでは仕方がありません。
第2巻、第3巻が石版画だったことだけで納得しましょう。

今一度、普及版の解説を引用します。
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図版の印刷レベルは、現在でも(あるいはむしろ現在では)困難なほど優れたものといわれる。石版印刷の常として印刷枚数には限界があり、おそらく多くて300枚を超えまいというから、現存するものはごく少数に限られるわけである。
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いずれにせよ、人と時間と技術を惜しむことなく注ぎ込んではじめて完成することができた本書のような図譜は、もう二度と生まれることはないかもしれない。
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届いた元本は初版ではありませんでしたが、世に300冊ほどと言われる希少な1冊を手に入れ、55枚の美麗・細密な石版画作品を間近に鑑賞できたことはとても幸せです。
また普及版の表紙を飾った「キタコブシ」が、石版画でしっかり比較鑑賞できたこともラッキー。
今は普及版と元本を並べて、現在のオフセット印刷では再現できない細部の表現をじっくり鑑賞しています。
それこそ制作者たちがこだわった、細部まで正確に伝えたいという熱意そのものでしょうから・・・。







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