鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1747~グラバー魚譜200選②

2019-03-04 12:45:13 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、グラバー魚譜200選②です。

かなり前に、グラバー魚譜200選について書きました。
そのときに序文に書かれていた元本・復刻版・本書の3種についての情報を抜き書きしました。

その中で「日本四大魚譜」を選出したのが渋沢敬三であることを知りました。
ちなみにその時は渋沢氏の記述通りに記載しましたが、正式な日本四大魚譜の名称は次の通りです。

  「日本西部及び南部魚類図譜」   倉場富三郎
  「ファウナ・ヤポニカ」      シーボルト
  「日本水産魚譜」         熊田頭四郎
  「栗氏魚譜」           栗本丹州

グラバー図譜の倉場氏は終戦後まもなく自ら命を絶ったそうです。
日英のハーフとして戦時中は苦しい毎日を過ごしたことでしょう。
同じくハーフの奥様と互いに支え合っていたのでしょうが、奥様を亡くされて心が折れたのでしょうか。
ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝の奥様リタは、戦時中にスパイ容疑をかけられるなど、外出もままならない辛い思いをしたそうです。
戦争というのはこのような悲劇を生んだことを改めて知りました。

「グラバー魚譜200選」の前書きに、発行部数についての記述がありました。
元本は1冊、復刻版は300部、そして本書は1000部だそうです。
「日本四大魚譜」のひとつ、倉場氏の漁譜を鑑賞したくても、復刻版や本書でさえ発行部数が少なすぎてチャンスが少ないことが判ります。
北海道主要樹木図譜のように普及版を制作すると喜ぶ方が多いのではないでしょうか。

さて、実際に図版を鑑賞した感想を少々。

「グラバー魚譜200選」は「グラバー図譜」復刻版と同じサイズ、同じ重量感で制作されています。
おそらく意識してそうしたのでしょう。

本書制作にあたり、元本の紙の変色やシミを消去したり、鑑賞しやすく拡大したりして、魚譜の美しさを伝える努力をしたそうです。
そのため100年も前に描かれた図版とは思えないくらい美しく仕上がっています。
その美しさは写真を見ていただければ一目瞭然です。
上が「グラバー図譜」復刻版、下が「グラバー魚譜200選」です。
印刷技術の進歩もあるでしょうが、随分違うものです。
復刻版では再現できなかった細部の模様がはっきり見えます。
当時の絵師たちが心血注いで描いた魚の姿が見事に蘇っています。

ちなみに復刻版の図版には余白に倉場氏の手による種名が書き添えられており、ときどき?マークが付けられています。
解説によると幼魚なども含まれていたため同定に苦労したようです。

画家の手による美しい図鑑を鑑賞したいなら、この「グラバー魚譜200選」はおすすめです。
これまでいろいろな図鑑を鑑賞してきましたがトップクラスの美しさです。
「北海道主要樹木図譜」が樹木図鑑でトップクラスの美しさを誇るのと同様です。
だからこそ一部の蒐集家のためでない普及版を制作して一般の方にも広く鑑賞して欲しいと願います。


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