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鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代半ばのオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1826~昆虫図譜

2019-09-06 12:07:04 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、昆虫図譜です。

先日ヤフオフで、1981年にフランスで発行された昆虫図譜を入手しました。
タイトルの「Divertissement sur les insectes」は「昆虫の楽しみ」という意味。
入手した決め手は“18世紀の昆虫画がカラーで多数掲載されている”という商品紹介。
実際にページをめくると美しい昆虫画が予想以上に大量に収録されており、大いに満足のいく図譜でした。
キアゲハ・モンシロチョウ・クジャクチョウ・ヘラクレスオオカブト・ミヤマクワガタなど、フランス語が読めなくても一目でわかる昆虫がたくさん登場します。
また卵から幼虫、さなぎ、成虫まで、昆虫の完全変態を正確に描いています。
蝶の図版では、モンシロチョウを6本脚、タテハを4本脚に、正しく描き分けています。
ミヤマクワガタのサナギはオス・メス両方を描いています。
ヤゴの伸びるアゴの構造やクモの巣を張る順番も。
イトトンボのヤゴが親同様に細いことは本書で初めて知りました。
ほぼ図版だけなのに情報量の多いことに驚かされました。
本書の裏表紙に「芸術的観点と生物学的観点の両方から、今日でも傑作と見なされる」と書かれている通り、現代でも通用する美しくかつ正確な昆虫画です。
日本でいえば江戸時代中期に、これほどハイレベルな昆虫画が描かれていたことに改めて驚かされました。

この図譜を書いたのはさぞ名のある方ではないかと思い、調べてみました。
著者はAugust Johann Rosel von Rosenhof。
google翻訳でアウグスト・ヨハン・ローゼル・ローゼンホフと読むと知り、検索しましたがヒットしません。
粘り強く検索を繰り返してたどりついた正しい読みは、レーゼル・フォン・ローゼンホフ。
やはり著名な方でした。
マリア・ジビーラ・メーリアンの作品に刺激を受けて生物画家に転身した方で、荒俣宏が「カエルの自然誌」という本を自慢の逸品として紹介するくらい本格派の生物画家であることが判明しました。

ローゼンホフの代表作「昆虫の楽しみ」全4巻は1746年から1761年の間に刊行されました。
本書は「昆虫の楽しみ」全4巻に収録された300枚の図版の中から、176枚をピックアップして一冊にまとめたものです。
本書には解説文がほとんどなく、ひたすら昆虫画を楽しみ、昆虫画から学ぶことに特化しています。
まさにタイトルの通り「昆虫の楽しみ」です。
「芸術的観点と生物学的観点の両方から、今日でも傑作と見なされる」この図譜を鑑賞していると、森林浴のようなゆったりした心持ちになります。
18世紀の人々も同じ心持ちで鑑賞したのでしょうか?
市民が立ち上がったフランス革命は1789年でした。
本書刊行年はそれより数十年前ですからまさに貴族の時代。
本書はメーリアンの図譜同様、貴族たちの高尚な楽しみとして受け入れられていたことでしょう。
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