鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

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お気に入りその869~ファーブル昆虫記②

2014-02-26 12:29:01 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ファーブル昆虫記」②です。

2巻目を読み終わりました。
思っていたよりもサラサラ読めます。
これは昨年末に読んだ、同じ集英社少年向けシリーズ「ダーウィン先生世界航海記」全5巻と比べての感想。
(訂正 「ダーウィン先生世界航海記」は平凡社発行でした)
「航海記」では博物学者としてビーグル号に乗り込んだダーウィンが南米各地の生物や地質、原住民など博物学全般について書いています。
多方面に渡る科学的記載にはイメージしやすいものとしづらいものがあり、それがランダムに登場することがサラサラ読めない理由でした。
それに比べ「昆虫記」は昆虫一本でとてもシンプル。
また奥本大三郎が荒俣宏よりも一層、子どもたちに語って聞かせるような文体で書いていることもサラサラ読める理由でしょう。

第2巻は「狩りをするハチ」。
へーっという話が次々出てきて面白く読みました。
と書けば簡単ですが、ファーブルが長い長い年月をかけて導き出した研究結果です。
若い頃になかなか観察できなかったあるハチが、20数年も経ってから自宅敷地内の堆肥の中に無数にいることがわかり、研究が一気に進んだというエピソードもありました。

他の面白かったエピソードもいくつかご紹介します。

甲虫を狩るハチには、ゾウムシを狩る種類とタマムシを狩る種類の2種類がいます。
なぜこの2種類の甲虫なのか?
ハチが運べるサイズの甲虫を解剖して比較したところ、ゾウムシとタマムシでなくてはならない理由がわかりました。
昆虫のムネ付近には神経節が3つあります。
その神経節同士が接近していてハチの麻酔針の一撃で麻痺させることができるのがゾウムシとタマムシだけだったのです。

ハチの幼虫がハナムグリの幼虫を食べる順番には厳格な決まりがあります。
ハチの麻酔針で麻痺させられたハナムグリ。母ハチは決まった場所に卵を産み付けます。
ふ化した幼虫は、すぐにかみついて傷口から出る体液を飲みます。
次に内臓の外側の脂肪、皮膚の裏側の筋肉、内臓と順番に食べ進みます。
驚くことにこの時点まで、食べられているハナムグリは生きています!
最後に、神経と呼吸器を食べられてハナムグリは死にます。
最後の最後まで生きているエサを食べ続ける高度な技術。
まさに神のなせる業です。
「環境に適した生物だけが生き残る」というダーウィンの進化論だけで説明できるのか?
ファーブルが進化論に懐疑的だった理由がこれです。

これら驚きの秘密をファーブルは解き明かしました。
しかも子どもにもわかるとてもシンプルな論理の積み上げと簡単な比較実験だけで。
なるほど本書が世界一の「昆虫記」といわれる訳です。
次の巻を読むのが楽しみです。

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