元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「プレッジ」

2007-03-27 06:36:53 | 映画の感想(は行)
 (原題:The Pledge)2001年作品。ショーン・ペンの監督としての前作「クロッシング・ガード」はあまり感心しない出来だったが、引き続きジャック・ニコルソンを主役に招いた本作は人物描写に力強さがあり、観賞後の満足感はかなり高い。

 定年退職の日に少女暴行殺人事件に遭遇した刑事が、犠牲者の母親に犯人逮捕を誓ったことにより、偏執的な追跡者に変貌してゆく様子を冷徹に綴る過程で、実はこの主人公は事件が起きる前から“壊れて”いたことが明らかにされてゆく。凡百のハリウッド映画なら、うだつの上がらぬ主人公に最後に一花咲かせてやるところだが、“そんなのは偽善だ!”と言わんばかりに救いようのない真相に徹底して向き合う作者の覚悟が頼もしい。シビアな幕切れも見事だ。

 キャスティングが実に豪華だ。サム・シェパード、ベニチオ・デル・トロ、ハリー・ディーン・スタントン、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ミッキー・ローク、ヘレン・ミレンetc.ちょっとした脇役にも贅沢に有名俳優を投入できるペン監督の人脈の広さには圧倒される。もっとも、ニコルソンの相手役を務めるのは監督のパートナーでもあるロビン・ライト・ペンなのだが、今回は作品のレベルにふさわしい熱演で感心した。クリス・メンゲスのカメラによる身を切られるように冷たいネヴァダ州の冬の点描、ハンス・ジマーの音楽も良好だ。

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