元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「阿修羅のごとく」

2011-01-29 07:20:08 | 映画の感想(あ行)
 2003年作品。向田邦子の原作を森田芳光が映画化。年老いた父に愛人と子供がいるというのことを知って驚く四姉妹の、それぞれの人物群像を追う。
 
 登場人物がモノを食べるシーンがやたら多い。そして言い争って何かをひっくり返す場面も目立つ。取り込み中に電話が掛かってくる展開も頻繁に繰り返される。ただし、これらのシーンはまったく面白くも可笑しくもない。いわば年輩コメディアンの「お約束芸」みたいなもので、単なる場面を繋ぐだけの「記号」でしかない。

 そんな表面的なくすぐりで場を保たせようとしているだけの、きわめて薄っぺらいシャシンだ。演技陣の臭い小芝居(悪ノリ)の連続に辟易し、テレビドラマ以下のベタな展開に大あくび。正面切った情念や葛藤の描写とは無縁の森田演出は、以前の「失楽園」と同様の失敗を再現しているに過ぎない。

 また、場面設定でキャラクターの内面を描くことができず、苦し紛れにセリフで蕩々と主題を語らせているあたり、脚本担当の筒井ともみは相変わらずの無能ぶりを露呈させている。

 長女役の大竹しのぶをはじめ、黒木瞳、深津絵里、八千草薫 、仲代達矢、小林薫といった多彩なキャストを揃えていながら、良いところをほとんど出していないのには、逆の意味で“感心”してしまう。強いてあげれば深田恭子の(この頃の)肥満ぶりに閉口した程度だろうか(笑)。昭和55年前後の風俗だけは上手く再現しているとは思うが、とにかく忘れたい映画である。

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