元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「オーバーホール トラック・レーサー」

2023-10-13 06:06:16 | 映画の感想(あ行)
 (英題:OVERHAUL)2023年9月よりNetflixから配信されたブラジル製のアクション編。別に取り立てて面白い映画ではないのだが、それほど退屈せずに最後まで付き合えた。舞台設定と題材はけっこう興味深いし、各キャラクターは“立って”いると思う。また、彼の国の治安の悪さは「シティ・オブ・ゴッド」(2002年)などでも紹介されていたが、本作でもイヤというほど再確認できる。

 リオデジャネイロに住むトラックレーサーのホジェはチームを率いていた父親を事故で亡くし、運営を引き継ぐことになった。しかしチームの財務状況は火の車で、廃業の危機にある。そんな彼に近付いたのが地元のギャング団だ。ホジェにヤバい荷物を運ばせ、その見返りに資金援助するという。彼はやむなく同僚と一緒にその闇仕事を引き受けるが、当初は上手くいき十分な報酬を得られたものの、トラブルで同僚は死亡。その娘でティーンエイジャーのバーバラの面倒も見なければならず、ホジェは足を洗おうとする。だが、ギャングたちは承知しない。悪者どもの一斉摘発を狙う警察の思惑も絡み、ホジェは決断を迫られる。



 まず、主人公たちが参戦しているフォーミュラ・トラックという初めて見る競技が面白い。文字通りトラックでサーキットを疾走するレースだが、重量感があって見応えたっぷりだ。また、主人公のライバルが女子だというのも珍しいだろう。荷物の受け渡しの段取りは凝っているようで、内実は分かりにくい。素人に見えたバーバラが、意外にレースに詳しいというのも唐突だ。公道でのカーチェイスはそれほどでもなく、レース場面と比べると見劣りがする。

 とはいえ、斜面にカラフルな家が密集するように建っているリオの下町の描写は野趣に富んでいるし、少し車を走らせれば無法地帯のような空間に到達するのもインパクトが大きい。クライマックスはサーキット上での激闘と、警官隊とギャング団との銃撃戦をシンクロさせるという手法が繰り出されるが、ベタながら盛り上がる。ラストの扱いも悪くない。トマス・ポルテッラの演出はいささか泥臭いけどパワーがあり、主役のチアゴ・マルティンスも好漢だ。そしてヒロイン役のシェロン・メネーゼスはイイ女である。撮影と音響効果も万全だ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ヒンターラント」 | トップ | 「グランツーリスモ」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(あ行)」カテゴリの最新記事