元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

ONKYOのスピーカーの上位機を聴いてみた。

2016-12-18 06:52:27 | プア・オーディオへの招待
 去る12月9日から11日に渡って、北九州市のJR小倉駅の近くにあるアジア太平洋インポートマートで開催された、第30回九州オーディオ&ビジュアルフェアに足を運んでみた。・・・・とはいっても当地には別の用事があって行ったのであり、フェア会場には1時間程度しかいなかったので総体的なリポートなど出来るはずもないが、印象に残った点をひとつ挙げてみたい。

 ハイエンド指向であるこのイベント。今回も相変わらず会場には総額1千万円どころか4千万円、5千万円もするシステムがゴロゴロ展示してあり、いったい誰が買うのだろうかと困惑するばかり。主催側のディーラーの社長は“これからは若い世代へ交替していくことが課題だ。ぜひ今後に期待して欲しい”と語ったそうだが、現状を見る限りその気配さえ感じられないのには脱力するしかない。



 そんな中で興味を惹かれたのは、ONKYOが新たにリリースしたスピーカーであるScepter SC-3だ。価格はペア60万円で、決して安いとは言えない製品なのだが、常軌を逸した高価格品ばかりが幅を利かせている会場内にあってはリーズナブルな値段に思えてくるのだから怖い(爆)。なお、駆動していたアンプ類も同社製品である。

 ONKYO製品においてScepterという名称は60年代から使われており、今回は久々の“ブランド復活”とのことでメーカーとしても力の入ったモデルだという。確かに、定格や外観はなかなか“意欲的”だと思った。ウーファーには世界で初めて開発に成功したというセルロースナノファイバーが使われており、ツィーター部は同社がかつて得意としていたホーン型が採用され、新設計の振動板はマグネシウム製である。

 エクステリアは何やらPA用スピーカーを思わせるような無骨で素っ気ないものだが、家庭用としてはギリギリ許せるデザインではある。ただし奥行きは大きいので狭い部屋には不向きだと思われる。特筆すべきはペアになるスピーカースタンドのAS-3で、剛性が優先されるであろうケースが多い他の置き台とは異なり、不要な振動を吸収するための弾性を持つ構造になっている。おそらくは、このスタンド込みのサウンド・デザインになっているのだろう。



 実際に音を聴いてみると、余計なケレンを廃した実に素直なサウンドが出てくる。レンジは広いが、いたずらにハイファイ度を強調したような部分は無く、決してイヤな音を出さない。少なくとも、同じ国産機としては先日試聴したDIATONEの試作機みたいに耳に突き刺さるような不快な音ではなかったのは有り難い。全体的にバランスが良く、かといって一部のモニター用スピーカーのような神経質さも感じられず、聴きやすい展開だと言える。

 音場は若干狭く感じられたが、それはCDプレーヤーに下位モデルを使用していたせいもあったのだろう。また、同社の多くのスピーカーのように繋ぐアンプを選ぶといった傾向も感じられない(まあ、実際に他社のアンプを接続して聴いたわけでは無いので断言は出来ないが ^^;)。

 ONKYOが2014年に発売したD-77NEのようなオールドファン目当ての復古調の製品ではなく、明らかに“攻め”の姿勢で開発されたモデルだと言えよう。同価格帯の他社のスピーカー(特に海外製品)に比べてどれほどの競争力があるのかは未知数だが、オーディオ好きとしては聴いて損はしないほどのクォリティを確保している製品であると思う。

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2 コメント

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オンキョーSP (みかん)
2016-12-19 14:06:35
まだ実物は聴いていないですが、オンキヨー
のセプターと聞いてオッと思ったSPです。
若いころ自作SPにオンキョーの3重ホーン
ツィーターを使ってみて、その素直で爽やかな
音色に聴き惚れたのも、今は昔(^^;

また三菱の例の試作SPは、性能的にはもの
すごいんでしょうけど、確かに聴き疲れする
かなという感じでしたね。
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コメント、ありがとうございます。 (元・副会長)
2016-12-20 07:04:23
Scepterといえぱ、GrandScepter GS-1に代表されるような、ホーン型中高域ユニットを擁したモデルを思い浮かべますけど、よく考えてみたら80年代には他社と同じようにドーム型ユニットが付けられたものにもScepterの名称が付与されていました(Scepter 5001など)。しかし、以前からのオーディオファンにとっては、Scepterイコール、ホーン型との認識があると思いますから、今回の製品もその期待に沿った意欲作と言えるかもしれません。

ぜひとも、同価格帯の他ブランド製品と同一条件で聴き比べてみたいです。

DIATONEの新作はまだプロトタイプなので、拙ブログでは詳しいレビューを載せませんでしたけど、何やら昔の同社の低価格機(DS-251mkIIとか)に通じるような、高域をやたら強調して店頭効果を上げるような展開で、個人的にはとても評価出来ないものでした(音の立ち上がりだけはスゴいですけど)。発売時には少しは改善されていることを望みます。

それでは、今後ともどうかよろしくお願いします。
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