元・副会長のCinema Days

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「ペギー・スーの結婚」

2023-10-15 06:59:26 | 映画の感想(は行)
 (原題:Peggy Sue Got Married )86年作品。70年代はまさに無双だったフランシス・フォード・コッポラ監督だが、80年代に入るとネタが出尽くしたかのごとく大人しくなり、並の演出家へとシフトダウンした。本作もその流れによる一本で、全盛時の彼からは考えられないほどのお手軽なシャシンだ。しかしながら、今日も少なくない数が撮られている“(個的な)タイムスリップもの”を先取りしているという意味では、存在価値はあるかもしれない。

 アメリカ西部の地方都市(ロケ地はカリフォルニア州北部のサンタローザ)に住む中年女性ペギー・スーは、電気店を営むチャーリーと結婚して2児をもうけたが、最近ダンナが別に女を作ったため離婚を考えている。そんな中、高校の同窓会が開かれることになった。会場には懐かしい面々がいっぱいで、気分はもう高校生。しかも、彼女はパーティでその夜のクイーンに選ばれ、興奮のあまり卒倒してしまう。ところが目が覚めたら25年前のハイスクール時代にタイムスリップしていた。この際だから失われた青春をやり直そうと思った彼女は、当時は同級生だったチャーリーを遠ざけて文学好きのインテリ男子マイケルに接近する。



 主演を務めたキャスリーン・ターナーは、本作での演技が認められアカデミー主演女優賞にノミネートされており、なるほど達者なパフォーマンスだとは思うが、当時すでに30歳をとうに過ぎていた彼女が若い頃まで演じるというのは無理がある。しかも、高校時代に戻った彼女の周りの者たちも、一様に老け顔で苦笑するしかない。この点、前年に封切られた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に後れを取っている。

 主人公が遭遇するエピソードも、大して面白味が無い。元の時代に戻ろうとして祖父たちの時間旅行の儀式を参考にするものの、インパクトは弱い。それでも、60年代初頭の古き良きアメリカの風俗描写は楽しませてはくれる。やっぱりこの時代は、誰が取り上げてもサマになる。ただし、コッポラの演出は可も無く不可も無し。

 ニコラス・ケイジにジョアン・アレン、ジム・キャリー、バーバラ・ハリス、ドン・マレー、モーリン・オサリヴァン、ヘレン・ハント、ジョン・キャラダインなど、共演陣はけっこう豪華。ヒロインの妹にソフィア・コッポラが扮しているのは珍しく、唯一実年齢が役柄とマッチしているケースである(笑)。音楽はジョン・バリーで、さすがのスコアを提供している。

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