元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アメイジング・スパイダーマン2」

2014-05-15 06:26:28 | 映画の感想(あ行)

 (原題:The Amazing Spider-Man 2)前作に引き続き演出を担当した、マーク・ウェブの持ち味が発揮されている一作。物語の主眼は敵怪人との死闘ではなく、主人公ピーター・パーカーとガールフレンドのグウェンとのアバンチュールだ。これが2時間半の上映時間のかなりの部分を占める。その意味では“間延びしている”とも言えるのだが、“そういうものだ”と納得してみれば、なかなか面白い。

 ピーターとグウェンとの仲は順調だったはずだが、それぞれの進路が食い違い、次第に黄信号が灯ってくる。ある日、大企業オズコープ社の電気技師で孤独な生活を送るマックスは、事故により高圧電流を浴びて瀕死の状態になる。しかし事切れる寸前に、彼は電気を操る怪人エレクトロに変身。スパイダーマンに決闘を挑む。

 一方、ピーターの幼馴染みでオズコープ社の御曹司のハリーがニューヨークに戻ってくる。彼は父親から不治の遺伝病を受け継いでおり、余命はあとわずかだ。ハリーは自分が完治するためにはスパイダーマンからの輸血が必要だと思い込み、スパイダーマンの知り合いだと思われているピーターにそのことを依頼する。だが当然のことながら、効果が保証出来ない措置を施すわけにはいかず、ピーターは拒否。逆上したハリーはオズコープ社の地下に保管してあった得体の知れない液体を自らに注射し、怪人グリーン・ゴブリンとなってスパイダーマンに襲いかかる。

 ウェブ監督は出世作の「(500)日のサマー」でも些細なことで一喜一憂する恋愛模様(特に男の側)を微笑ましく描いていたが、ここでも優柔不断な恋愛当事者の心の揺れを丁寧に救い上げる。何やかやと自分勝手に理由をつけては恋の行く末を決めつけたり、拗ねたり、必要以上に前に出たり、まあ何と惚れたハレたの行程は一筋縄ではいかないものだと笑いながらも納得してしまう。ヒーロー物とは不似合だと思われる“緩い”展開だが、それでも大きな橋にクモの糸で愛を語る場面にはグッときてしまった。

 本作にはピーターの両親が彼を置いて去って行った事情にも触れているが、正直あまり印象に残らない。それよりも、不遇な人間関係に身を置いた挙句、単なる逆恨みで反社会的な行動を取ってしまうエレクトロやグリーン・ゴブリンと、上手くいかないリアルな恋愛事情に悩むもののそれによって成長もしてしまう主人公との対比が鮮やかだ。

 活劇場面はかなりの迫力。一本調子ですぐに飽きが来てしまったサム・ライミ監督版とは違い、仕掛けや段取りにあらゆるアイデアが詰め込まれている。アンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンの主役カップルは今回も好調。表情の豊かさも身のこなしも万全で、作品を盛り上げてくれる。

 悪役側ではエレクトロ役のジェイミー・フォックスも良いが、ハリーに扮したデイン・デハーンはその愁いを帯びたマスクで世の女性ファンを惹きつけることだろう(笑)。伯母さん役のサリー・フィールドの演技の手堅さは言うまでもない。次回はヒロイン役が交代することになるが、これも期待したいものだ。
コメント
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