2001年作品。監督は「ぐるりのこと。」などの橋口亮輔だ。土木研究所勤務のゲイの会社員(田辺誠一)が突然、偶然知り合った人生あきらめたような生活を送っている歯科技工士の女(片岡礼子)から“アンタの子供が欲しい”と言い寄られる。彼のパートナー(高橋和也)をはじめ、周囲は困惑するばかり。
いかにも頭の中だけで考えたような話で、だいたいこの女、子供が欲しいのならマトモに男と付き合って結婚でも何でもすればいいではないか・・・・と片付けられないのがこの映画の非凡なところだ。

この設定がまったく絵空事にならないのは、作者自身が彼等の葛藤や苦悩を本気で共有しているためであろう。ヒロインは“人と上手く付き合うことなんて出来ないと思っていた私だけど、ゲイの二人と一緒にいると楽しくて、誰かと人生を分かち合うことの素晴らしさがわかった。この延長線上に「子供を作ること」があるなら、それはそれでいいのではないか”と言う。
対して主人公の兄嫁(秋野暢子)は“そないな浮わついた気持ちで子供を作ってもろうてはかなわんわ。子供を産むのは痛いんやで。子育ては大変やで。家を守るのは並大抵のことではあらへんで。わかっとんのかいな”と言い放つ。
兄嫁の言うことは正論かもしれないが、根無し草みたいな主人公達にとって、ゲイだろうが何だろうが、家庭を持って足が地に着いた生活に踏み出すことは、苦労はあっても“楽しく、素晴らしい”ことなのだ。少なくとも、それまでの彼等の生活よりよっぽど実り多いはずである。
この“拠り所のない生活→確固とした基盤のある生活”というポジティヴな方向性に準拠した描き方は、主要登場人物3人だけではなく、主人公の同僚(つぐみ)などほとんどすべてのキャラクターをカバーしている。この思い切り方、スタンスの明確化は気分がいい。
2時間を超える上映時間だが、会話の面白さ、軽妙でテンポのある展開でまったく飽きさせない。キャストの演技も万全。橋口亮輔は本当にいい作家になった。音楽を担当しているのがボビー・マクファーリンで、演奏にヨー・ヨー・マが参加しているのも見逃せないところ。必見の秀作である。
いかにも頭の中だけで考えたような話で、だいたいこの女、子供が欲しいのならマトモに男と付き合って結婚でも何でもすればいいではないか・・・・と片付けられないのがこの映画の非凡なところだ。

この設定がまったく絵空事にならないのは、作者自身が彼等の葛藤や苦悩を本気で共有しているためであろう。ヒロインは“人と上手く付き合うことなんて出来ないと思っていた私だけど、ゲイの二人と一緒にいると楽しくて、誰かと人生を分かち合うことの素晴らしさがわかった。この延長線上に「子供を作ること」があるなら、それはそれでいいのではないか”と言う。
対して主人公の兄嫁(秋野暢子)は“そないな浮わついた気持ちで子供を作ってもろうてはかなわんわ。子供を産むのは痛いんやで。子育ては大変やで。家を守るのは並大抵のことではあらへんで。わかっとんのかいな”と言い放つ。
兄嫁の言うことは正論かもしれないが、根無し草みたいな主人公達にとって、ゲイだろうが何だろうが、家庭を持って足が地に着いた生活に踏み出すことは、苦労はあっても“楽しく、素晴らしい”ことなのだ。少なくとも、それまでの彼等の生活よりよっぽど実り多いはずである。
この“拠り所のない生活→確固とした基盤のある生活”というポジティヴな方向性に準拠した描き方は、主要登場人物3人だけではなく、主人公の同僚(つぐみ)などほとんどすべてのキャラクターをカバーしている。この思い切り方、スタンスの明確化は気分がいい。
2時間を超える上映時間だが、会話の面白さ、軽妙でテンポのある展開でまったく飽きさせない。キャストの演技も万全。橋口亮輔は本当にいい作家になった。音楽を担当しているのがボビー・マクファーリンで、演奏にヨー・ヨー・マが参加しているのも見逃せないところ。必見の秀作である。