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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「リアル・スティール」

2012-01-20 06:27:02 | 映画の感想(ら行)

 (原題:REAL STEEL)設定に不自然な部分がかなりあって序盤はドラマに入り込めなかったが、父と子の絆を描く古典的なプロットを愚直なまでに遵守していることが分かってからは、それほど違和感なく観ることが出来た。見せ場もそこそこあって、最後まであまり退屈することなく付き合える。

 2020年、リングの上で戦うのは生身の人間ではなく格闘専用のロボット達であった。そうなった理由が、観客がより暴力的なものを求めるようになったからだ・・・・と主人公のチャーリーは説明するが、それはウソっぽい。百歩譲ってロボット格闘技が市民権を得るような世の中になったとしても、チャーリーのような従来のボクサーがすべて“失業”してしまう事態は考えられない。鍛え上げられた人間の技を堪能するという名目の興行は、ちゃんと平行して存在し続けるはずだ。

 また、ロボット格闘技がマイナーな場やアンダーグラウンドの舞台にも広がっているのは良いとして、それらの出場者が最高のステージである正式機関“WRC”主催の試合にどうやってエントリーできるのか、その説明もない。在野の強い奴をランダムに拾っていくだけならば、システムとしての権威も成立しないはずだ。ここはもっと突っ込んだ背景描写が必要だった。

 さらに、チャーリーと10年ぶりの再会を果たす11歳の息子マックスが廃棄処理場で見つけたロボットのATOMを格闘用としてブラッシュアップしてゆく過程が映画のかなりの部分を占めるが、そもそもいくらゴミ捨て場にあったロボットとはいえ、処理場に不法侵入して勝手に“盗んで”きたことには間違いない。そのあたりエクスキューズも挿入して欲しかった。

 チャーリーの凡夫ぶりも気になるところで、後先考えずに行動し結果として貧乏くじを引いてしまうパターンの繰り返しでは、感情移入するにも無理が出てくる。ところが、これらの不満点も“ダメな中年男と利発な子供”という昔ながらの鉄壁の設定を用意し、彼らが理解し合って頑張り、大舞台で活躍するという黄金律みたいな筋書きを貫いた結果、さほど気にならなくなる。映画というのは、これだから面白い。

 ロボット同士のファイトは文字通りメカニカルで素早く、動きが追えない部分もあるが(笑)、某「トランスフォーマー」みたいに何が何だか分からないような無茶な画面構築はしていない。見慣れればかなり盛り上がる。各ロボットには“個性”がちゃんと付与されており、得意技等の設定も妥当だ。

 主演のヒュー・ジャックマンは肉体改造の成果が上がっており、ボクサー役がサマになっている。そして子役のダコタ・ゴヨが上手い。これからの出演作も期待できる逸材だ。ショーン・レヴィの演出は才気走ったところはないものの、ダレることなく的確にドラマを進めていて好感が持てる。ダニー・エルフマンの音楽も良いが、印象的だったのはマウロ・フィオーレのカメラによる奥深い映像。濃いめで暖色系のシッカリとした絵作りで、作品に重量感を与えていた。
コメント
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