元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「フライボーイズ」

2008-01-15 06:50:02 | 映画の感想(は行)

 (原題:Flyboys )最初から終わりまでワクワクしながら観た。第一次世界大戦時、アメリカが中立を守っていた頃にフランス軍に参加したアメリカの若者たちが多数存在したという事実は、この映画を観るまで恥ずかしながら知らなかった。彼ら義勇軍を中心にして結成された戦闘機チームがラファイエット飛行隊で、本作はその活躍を描く。

 出てくるのはもちろん最新のジェット機ではなく(あたりまえだ ^^;)、零戦やスピットファイアみたいな高性能単翼プロペラ機でもない。当時やっと“兵器”として戦場に配備された複葉機や三葉機ばかりである。

 これらの飛行機は速度が遅い。しかしその分動きの一つ一つを丹念にカメラが追えるという利点がある。そしてパイロットたちは戦闘機を時代劇の軍馬のごとく乗りこなし、極度に接近した肉弾戦を展開する。精巧に再現された機体が、何十機も同一画面上で飛び交う姿は、子供の頃に少しでも(軍用機の)プラモデル作りに凝った野郎(私もそう)ならばたまらないだろう。さらに実に奇態な姿をした爆撃機や、空の要塞とも言える飛行船まで出現するのだから嬉しくなる。

 監督のトニー・ビルは何と曲芸パイロット出身らしく、ドッグファイトの場面も堂に入っており、メリハリを付けた活劇場面の処理には思わず見入ってしまった。訓練の場面も手作りのフライト・シミュレーター装置(?)を使うなど、本職ならではのディテールの細かさも要チェックだ。

 ストーリーの方も奇をてらったところがなく真っ向勝負。策を弄さず正面からぶつかる戦術の単純明快さもさることながら、登場人物ほぼ全員が前向きで(まあ、中には一時的に屈折してしまう奴もいるが ^^;)、恋や友情に全力投球である。もちろん戦争の悲惨さと虚しさも描かれるのだが、それより“戦いこそが男のロマンだ!”と言い切っているような勇ましさを前面に出している。リベラル派は眉をひそめるかもしれないが、これも映画の醍醐味であろう。

 主演のジェームズ・フランコは「スパイダーマン」シリーズのヒネた悪役とは打って変わったような好青年ぶり。フランス人司令官に扮するジャン・レノも今回は斜に構えることなく頼りになる上官になりきっている。これがたとえば米軍を題材にしたらスラング連発で下品になるところだが、フランス軍が舞台なので雰囲気がオシャレなところも良い。宿舎なんかシャトーだし(笑)。

 とにかく、独立資本の作品で上映館が少ないところが難点だが、見逃すと絶対損をする、戦争青春アクション編の快作だ。欧州ロケを基調とした美しい映像も見応えがある。
コメント
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