元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

個性派アンプ『SOULNOTE』使用開始!(その1)

2007-09-07 06:49:44 | プア・オーディオへの招待
 ステレオのアンプを買い替えてしまった。前に使っていたアンプであるMARANTZのPM8001を購入してから1年3か月ほどしか経っておらず、異例の早期更改だが、どうしてもPM8001に馴染めないのだから仕方がなかったと言える。

 PM8001は店頭試聴の結果は良好だったが、いざ買ってみると中高音ばかりが出しゃばって全体的に薄口の、要するに“スカキン”の音であることが判明した。それでもCDプレーヤーの更改をはじめ電源ケーブル、RCAケーブル、スピーカーケーブルなどの交換、そしてもちろんセッティングなどを煮詰めることによって何とか我慢できるレベルまで持っていったのだが、もともと高域に艶をのせて店頭効果だけを高くするという音造りだったので、1年以上付き合ってくると完全に飽きてしまったというのが本音。



 今回新たに調達したアンプは、SOULNOTEsa1.0という機種である。馴染みのないブランドだが、それもそのはずで昨年(06年)に発足したばかりの国産ニューカマーである。新しいメーカーとはいっても、主宰者はオーディオ業界某大手のエンジニアだった人物。先行して発売された20万円台のアンプやDACの出来は上々で、初めて普及価格帯(とはいっても¥105,000だが ^^;)に打って出たこのsa1.0も屹立した個性と品質を誇っている。

 本製品の一番の特徴は出力が10W×2(8Ω)しかないということ。最近は数万円のミニコンポでも30Wや40Wのパワー表示があるのに、単品アンプでこの低出力は何かの冗談かと皆思ってしまうだろう。しかし、生産側に言わせるとパワーを犠牲にする代わりに部品や回路をブラッシュアップして実用音量での高品質を追求したのだという。なるほど、いくら数百ワットのハイパワーのアンプを使っていようと、一般家庭で聴いている音量はせいぜい数ワットでしかない。ならばその実際的シチュエーションでのクォリティを徹底して上げるというのも、ひとつのやり方である。

 実際に音を出してみる。最初は急激に上下左右の音場が狭くなったようで面食らったが、しばらくすると、それは音像の不必要な肥大が完全に抑え込まれ、適正なサイズになったためそう聴こえただけであることが分かった。反面、奥行き方向の音場はグンと伸びている。ヴォーカルは口が大きく成らずにナチュラルで生々しくなり、低域の分解能と力感が大幅上昇。高域は非常にクリアだが少しもキツいところはない。音の立ち上がりと立ち下がりの速度は特筆もので、聴いていて実に気持ちが良い。少なくとも以前のPM8001とは次元の違うサウンドだ・・・・というより、他の大手メーカーとは全くアプローチの異なる清新なサウンドと言って良いだろう。ウチの嫁御など“最初からこれ買っときゃ良かったじゃないの!”と洩らしていたが、あいにくPM8001を購入した時にはSOULNOTEという銘柄そのものが存在しなかったわけで・・・・(笑)。

 低出力で懸念された音量の方も、普通に使う限りまったく問題がない。ロックを鳴らしてもパワフルに決まる。ただし、これは私の使っているスピーカーの能率(アンプの出力に対して得られるスピーカーの音圧の割合)が89dBと決して低くはないことにも起因している。試聴した際にいろいろなスピーカーと接続したが、能率が85dBを切る製品はまったく鳴らないと言って良い。たとえばB&WのCM1とかONKYOのスピーカーなどの低能率のものには不向きである。そして説明書には“スピーカーのインピーダンス(交流電気抵抗)は8Ω以上限定”とある。低インピーダンスのスピーカーを高音量で駆動することによるアンプの負担を回避するための但し書きだろう。ショップでは6Ωや4Ωのスピーカーも繋げていたが、ここは説明書通りにしておく方が無難かもしれない(私が使っているスピーカーは8Ωなので大丈夫だったけどね ^^;)。



 背面の写真を見ても分かるように、本製品には舶来製の高級スピーカー端子とか金メッキを施した入力端子みたいな豪華な外見とは縁がない。実用一点張りである。しかし、そこが功を奏しているのだと思う。ヘタに見栄えの良いメッキ仕上げを起用するとサウンドが“メッキの音”になる場合もあろう。そしてこのアンプにはリモコンがない。トーンコントロールやバランス調整ツマミもない。前面パネルにあるのは電源スイッチと、ボリュームと入力切り替えだけだ。しかし質感は高く、堅牢なキャビネットが特徴のメイド・イン・ジャパンである。

 さらに見逃せないのが、本製品は奥行き寸法が約24cmと、かなりの“薄型”である点だ。私はかねてより、単品オーディオ製品(ローエンド機を除く)の極端な奥行きのデカさに閉口していた。10畳を超えるリスニングルームを確保でき、しかも機器を壁から1メートル以上離した場所に設置が可能な一部のマニアを除いて、ほとんどの一般ピープルは音響機器を家具と同じく壁際に置いている。当然ながら機器の奥行きが小さい方が生活空間をより多く確保できる。4畳半や6畳間の部屋に奥行きが40cmも50cmもあるアンプやプレーヤーを入れると、狭い部屋がますます狭くなるではないか(爆)。

 たとえばテレビはブラウン管の時代から庶民の住宅事情に合わせて薄型仕様へとシフトしてきた。他の家電品も同様に省スペース指向である。なのに(少なくとも日本では)オーディオ製品だけが完全に蚊帳の外で、今でも平気で重厚長大で恰幅の良い製品ばかりを投入している。今後も“アンプ類はデカくて貫禄たっぷりのルックスが不可欠”と思い込んでいるマニアだけを相手にするのならそれでもいいが、少しでも市場の拡大を望むならば、すぐにでもメーカーは(ハイエンド機は別にしても)省スペース路線に転換すべきではないか。

 さて、アンプを設置するにあたり当然ケーブルも吟味している。それについては「その2」で述べます。
コメント (29)
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