元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「7月24日通りのクリスマス」

2006-11-29 07:08:29 | 映画の感想(英数)

 快作「電車男」のスタッフを再集結させた新作というので観てみたが、これはダメだ。そもそも“冴えない主人公がハードルの高そうな相手をゲットする”という設定の「電車男」の“柳の下の二匹目のドジョウ”を狙おうとする意図からして見苦しい。

 前回のヒロイン役の中谷美紀を主役に据えた時点で大失敗。「電車男」の主人公役の山田孝之は、いくら外見を取り繕おうとも中身は不器用なオタク野郎そのものであることを上手く表現していたが、本作の中谷は最初はブスっぽくても、ちょっとオシャレすればたちまち垢抜けてしまう。これのどこが“冴えないキャラクター”なのか。そんな彼女がいくら“モテないわぁ”と悩もうとも、絵空事にしか思えない。

 さらに「電車男」の勝因がああいうネタ元であるにもかかわらず映像ギミックを最小限に抑えて、なるべく話をウソ臭くしないように腐心した点にあったにもかかわらず、この映画は何でもない場面でも煩わしいCG使用のオンパレードで、それだけウソっぽさが増幅されている。

 ストーリー展開については何もコメントしたくないほど低レベルだ。テレビドラマでもこれよりマシなものが出来るだろう。一番“頭が悪そう”だと思ったところは、大沢たかお扮するお相手が照明デザイナーなのに、それを活かすべきシーンが悲しいほど寒々しいこと。それだけではなく本作の映像は、ド下手なライティングのせいもあり、奥行きがゼロで平板極まりない。所詮これがテレビ屋中心のスタッフの限界か。

 なお、舞台は長崎になっているが、同じく大沢が過去に主演した「解夏(げげ)」と同じく、あの街の魅力がほとんど出ていない。さらにこの映画では、長崎をヒロインが憧れるリスボンの“代用品”にしている。これは幼少時代を長崎で過ごし、思い入れの深い私からすれば、許されない暴挙だ。その点でも観る価値はないと言ってよい。
コメント
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