元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「バニラ・スカイ」

2006-11-08 06:42:31 | 映画の感想(は行)

 (原題:Vanilla Sky)2001年作品。スペイン映画の怪作「オープン・ユア・アイズ」も“あまり難しいことを考えるのは苦手なトム君”の手にかかれば、こんなに平板で芸のない再映画化になってしまう。

 ストーリー・ラインが元ネタと同じであることをはじめ、監督にキャメロン・クロウというヒネリのまったくない職人監督を持ってきていることからもわかる通り、トム君には“この題材をもっとアレンジして観客を引きずり回してやるぞ”という野心などあるわけがなく、単に目先の変わったキャラクター設定(事故で顔に大怪我を負う)に興味を示したに過ぎないのだろう。

 もし私がプロデューサーだったら、監督にはデイヴィッド・リンチかデイヴィッド・クローネンバーグあたりを起用して、鬼畜系の挑発的なシャシン(当然、主人公の顔もエレファント・マン並みにして)にしたいところだが、トム君がそういう考えを持ち合わせているわけがない。“ライト感覚の大スター、トム・クルーズ”の範疇から一歩も出るはずもないのだ。トム君のファン以外は無視していい映画だろう。

 ただし、クロウ監督の音楽センスだけは相変わらずよろしい。冒頭から流れるレディオヘッドをはじめ、ケミカル・ブラザーズやREM、ポール・マッカートニーなどの楽曲の使い方も堂に入ったものだ。サントラ盤だけはオススメである。
コメント
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