その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

これぞワールドクラス! 鈴木雅明指揮/バッハ・コレギウム・ジャパン/J. S. バッハ「マタイ受難曲」

2018-04-02 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 2014年にミューザ川崎で聴いて以来のBCJのマタイ受難曲。今回は所沢に遠征です。所沢ではミューズと名のついた大ホール、パイプオルガンもある、とっても立派なホールでびっくりしました。


《西武線の航空公園下車。駅前に国産初のYS11機が展示してあります》

 今回もBCJのマタイは万全でした。イエスの受難の歴史絵巻が展開されます。クリスチャンでは無い私でも胸がいっぱいになります。こんな素晴らしい演奏が日本で聴けるなんて、奇跡と言っても良いのではないでしょうか。

 独唱陣では、エヴァンゲリスト役の櫻田さんのテノールが柔らかく深みがあり、ダントツで光ってました。全編を通して軸になってました。レイチェル・ニコルズさんのソプラノも、清く透明感あふれるもので、まさに天から降ってくるような歌声。櫻田さん以外の日本人歌手の皆さんも、堅実な歌唱でした。唯一、ちょっと後半疲れを感じたのは、イエス役のシュテファン・フォックさん。声の押し、パワフルさがもう一歩な気がしました。

 合唱もBCJならでは。安定しているだけでなく、心洗われる神々しさを伴ってホールに響きます。安心して、音楽に身を委ねる感じです。

 2014年に川崎で聴いた時は、字幕がついていたのですが、今回は無し。1600円(!)のプログラムを買うべきか買わないべきか、とっても迷いましたが買って正解。言葉が分からないまま聴いていても伝わらないところはあるし、鈴木氏の注までついた訳はイエスの受難を理解するうえでも大事なものばかり。これは一生の、マタイ受難曲のバイブルとして使えます。
 
 惜しむらくは最後の聴衆の拍手は待って欲しかった。拍手したい気持ちは十二分に分かったのですが、鈴木さんの腕はまだあがったままで、降りてくるのには当分の間があったはず。もう少し待ってもらえれば、余韻も全然違ったんではと思うと残念です。
 
 それはさておいても、素晴らしい演奏会であったことは間違いありません。クリスチャンでもない自分も、この劇的な物語性や神聖な音楽には、毎度毎度、教徒になっても良いのかと思わせるほど。ある意味、音楽の怖さを味わせてくれます。


《プログラム》

J. S. バッハ マタイ受難曲
2018年 3.31(土)16:00~
所沢市民文化センター ミューズ アークホール

J. S. バッハ
《マタイ受難曲》BWV 244 全曲

指揮:鈴木雅明
ソプラノ: レイチェル・ニコルズ、澤江衣里
アルト: クリント・ファン・デア・リンデ、藤木大地
エヴァンゲリスト/テノール: 櫻田亮
テノール: 中嶋克彦
イエス/バス: シュテファン・フォック
バス:加耒 徹
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


J. S. Bach: St. Matthew’s Passion
2018 . Mar. 31(Sat)4pm~
Tokorozawa Civic Cultural Centre MUSE

J. S. Bach: St. Matthew’s Passion BWV 244

Conductor: Masaaki Suzuki
Soprano: Rachel Nicholls, Eri Sawae
Alto: Clint van der Linde, Daichi Fujiki
EVANGELISTA: Makoto Sakurada
Tenor: Katsuhiko Nakashima
Jesus / Bass : Stefan Vock
Bass : Toru Kaku
Chorus& Orchestra: Bach Collegium Japan

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