その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響5月定期Cプロ/ 指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ/チャイコフスキー交響曲 第4番 ほか

2017-05-21 07:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 緑の色が日増しに濃くなるNHKホール前。先週はタイ・フェスティバルでしたが、今週は沖縄フェスタ。先週ほどの人出はありませんが、賑わってました。

 今回は、フェドセーエフさんのロシアものプログラム。否が応でも期待値は上がります。完売とまでは行かなかったようですが、自由席は売切れで、会場内は大相撲なら十分、満員御礼レベルです。

 演奏はその期待と熱気に十分答えてくれるものでした。前半の2曲は私は初めて聴く曲したが、ロシアの民族音楽を取り入れたもので、耳にも馴染みやすい音楽。一曲目「カマリンスカヤ」(「この曲の主題に引用されている2つのロシア民謡を指している」とのこと:プログラムより)は当初は「婚礼歌と舞踏歌」だったということもあってか、聴いていて、地域こそ違えど、ピーテル・ブリューゲルの「婚礼の踊り」の絵が生き生きと動いているような感覚に襲われます。


ピーテル・ブリューゲル《婚礼の踊り》

 後半は、チャイコフスキーの交響曲4番。実演で聞くのは5年ぶりでしたが、N響の弦と管のバランスが取れた演奏を堪能しました。冒頭の「運命のファンファーレ」から金管陣がストレス抜ける演奏。第2楽章の緩徐楽章は、オーボエ、フルート、ファゴット、クラリネットらの木管陣の音色が何とも美しい。第3楽章では、弦楽器のピチカートがとても抑えたものだったのが驚きでした。耳をそばだてて聴きます。そして、それが第4楽章での爆発につながっていきます。フェド翁の計算された強弱と全体の統制で、ロシア・ロシアした音楽というよりも、美しく洗練された音楽を聴かせてもらったという印象です。

 終演後は大きく暖かい拍手に包まれました。フェド翁もとっても満足なご様子。1932年生まれということで、85歳になるかならないかというお年頃ですが、指揮台には飛び乗るし(これは見ている方は冷や冷やモノですが・・・)、全く年齢を感じさせませんね。N響定演の魅力は、N響の演奏もさることながら、毎回、こうした個性的で実力ある指揮者の方が、登場することにもあることを実感しました。

(終演後、大きな拍手の中で、そそくさと出ていく人も目立ったのは、どうも川崎ミューザでノット/東響のブルックナーや、池袋芸劇でサロネン/フィルハーモニア管との梯子をされているかたのようでした。私の近くにも、「終わったらすぐ、川崎行かなきゃ」と仰っている方が居ましたが、皆さん精力的です)



第1861回 定期公演 Cプログラム 
2017年5月20日(土) 開場 2:00pm  開演 3:00pm
NHKホール 
 
グリンカ/幻想曲「カマリンスカヤ」
ボロディン/交響曲 第2番 ロ短調
チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調 作品36

指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ

No.1861 Subscription (Program C)
Saturday, May 20, 2017  3:00p.m.  (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Glinka / “Kamarinskaya”, scherzo/fantasia on two Russian Themes
Borodin / Symphony No.2 b minor
Tchaikovsky / Symphony No.4 f minor op.36

Vladimir Fedoseyev, conductor
 
 

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