戸田久美 『アンガーマネジメント』 (日経文庫、2020)
川嵜昌子 『アンガーマネジメント 管理職の教科書』(総合科学出版、2017)
加齢とともに妙に怒りっぽくなっていることを自覚している。年を重ね、「あの人、丸くなったよね」と言われる人もいるが、私はむしろ逆コースを歩んでいるのではとの危機感がある。時々、図書館やお店で怒鳴っている「暴言老人」を見かけるが、まさか私もあんな末路をたどるのではないかとの恐怖感もある。
そんな個人的な怖れに加えて、こんな私に会社の教育担当から新任の管理者向けの研修で「ハラスメント」について話してくれという依頼を受けた(「これって、ブラックジョーク?」と思ったがそうではなかったようだ)ので、世の中的にも定着したコンセプトである「アンガーマネジメント」の本を2冊読んでみた。
構成は違うが、書かれている考え方やノウハウはとっても似通っている。
・「常識」「当たり前」が無い時代。自分のコアバリューになっている「・・・するべき」を知ろう。怒りは「べき」とのGapに発生する。でも、「べき」は人によって異なっている。
・怒りへの対処法としては、「6秒間やりすごす」「心が落ち着く言葉を唱える」「逆算する」「深呼吸する」と言ったテクニックもあるので意識的に活用して、コントロールしよう。
・「怒り」の記録、変えられるものと変えられないもの区別をしよう。
・「事実」と「思い込み」の見極めも大事
・スルーする力など感情・行動のコントロールも大事
・叱り方、怒り方の習得する(「私はこうして欲しい」「私はこう感じている」と「期待」や「信頼」を伝えるなど)。言い方はとっても大事。
などなど、理論的には全くその通りだろうが、実践はなかなか難しいんだよね。
戸田氏の本は網羅的に整理されていて概説書としては最適だし、川嵜氏の本はケーススタディ的にQ&Aが充実していて実践的。頭の整理や自己の行動の見直しに有益だった。
依頼された研修講師のほうは、本の受け売りではつまらないだろうから、私の「長い」会社生活におけるハラスメント「ヒヤリ・ハット」経験を中心にお話し、そこから「アンガーマネジメント」の重要性に触れてみた。自分自身が「言うは易し、行うは難し」であることは、全く言及していない・・・