その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

名人トン・コープマンによるモーツァルト・プログラム:N響9月B定期 @サントリーホール 

2023-09-23 07:30:20 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

9月定期の最後を飾るBプログラム。トン・コープマンさんの指揮によるオール・モーツァルト・プログラムです。コープマンさんを聴くのは私は初めてですが、古楽の大家として知られる方のようです。

前夜が結構な深酒かつ寝不足。しかも曲が全てモーツァルトということで、睡眠警報が鳴っていました。睡眠対策で、コンサート前は夕食も軽食もとらず、コーヒー一杯飲んだだけで臨んだのですが、全くの無力。1曲目の交響曲29番は第1楽章でゲームオーバーとなりました。ごめんなさい。

気合を入れなおしての2曲目はフルート協奏曲第2番。ここは、ソロの神田さんの明るく、軽快で、澄んだフルート音色に聞き惚れます。小編成のオケのアンサンブルによる美音が柔らかくサントリーホールに充満します。眠気をかけらも感じることなく、うっとりと音楽に酔いしれました。

休憩後の交響曲39番は、キレと優しさが絶妙にミックスされた演奏でした。体に溜まった沈殿物が毛穴からすーっと抜けて、身体が浄化される感覚になります。3曲続けて、モーツァルトの長調の音楽を聴くって、その心身整え効果なるもの、どんなサウナも敵わないでしょう。

今回はP席ならではのお値打ちもありました。コープマンさんの指揮する表情の楽しそうなこと。心からモーツァルトの音楽を愛し、指揮を楽しみ、創造する喜びが表出されています。あんな顔を向けられたら、どんなしかめっ面の親父でも、顔の筋肉が緩むでしょう。そんな表情が楽員にも伝播して、それが音に現れてくる。そんな気配が感じられました。

名人による、幸せ気分一杯の暖かい充実の演奏会でありました。

 

定期公演 2023-2024シーズンBプログラム
第1991回 定期公演 Bプログラム
2023年9月21日(木) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]

サントリーホール

指揮:トン・コープマン
フルート:神田寛明(N響首席フルート奏者)

モーツァルト/交響曲 第29番 イ長調 K. 201
モーツァルト/フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K. 314
モーツァルト/交響曲 第39番 変ホ長調 K. 543

[アンコール曲]
9/21:モーツァルト /歌劇「魔笛」―「恋人か女房が」
(フルート:神田寛明)

 

Subscription Concerts 2023-2024Program B
No. 1991 Subscription (Program B)
Thursday, September 21, 2023 7:00pm [ Doors Open 6:20pm ]

Suntory Hall

Mozart / Symphony No. 29 A Major K. 201
Mozart / Flute Concerto No. 2 D Major K. 314
Mozart / Symphony No. 39 E-flat Major K. 543

[Encore]
Sept. 21: Mozart (arranger: unknown) / Die Zauberflöte, opera (The Magic Flute) - Ein Mädchen oder Weibchen wünscht Papageno sich! (A Girl or a Little Wife)
Hiroaki Kanda, flute

Conductor: Ton Koopman
Flute: Hiroaki Kanda (Principal Flute, NHKSO)

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