その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新国立オペラ、指揮 大野和士/ドビュッシー〈ぺレアスとメリザンド〉

2022-07-08 07:30:29 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

新国立オペラ〈ペレアスとメリザンド〉を観劇。この演目、10年前の2012年3月にフィリップ・ヨルダン指揮、ロバート・ウイルソン演出、パリ国立オペラで観たことがある。音楽の美しさや演出の洗練さが衝撃的で、今でも鮮明に記憶に残っているオペラだ。そんなこともあって、私的には本公演は新国今シーズンの期待度No1公演である。

そして出色の出来だった。演奏と歌唱の素晴らしさに息を飲みっぱなしの3時間半だった。大野、東フィルの繊細で美しい演奏には心底感嘆した。また、歌手陣も題名役の2人はもちろん脇役陣も充実で隙無く、実にレベル高い。言葉と音楽が一体となったドビュッシーの作品を堪能できるオケと歌手陣だった。

中でも特筆は、メリザンド役のカレン・ヴルシュの肢体を晒しての体当たり演技。この方、2014年のN響、デュトアによる演奏会方式の〈ペアレスとメリザンド〉で聴いている。美しいソプラノに加えて、幻想的、魅惑的でエロチックな演技。正直、このオペラ18禁でないのが不思議ぐらい。恥ずかしながら4階席から、双眼鏡が手放せなかった。

演出は、メリザンドの夢の中の世界という設定だが、正直ピンとこなかった。現代読み替え演出なのだが、読み替えの意味合いも分かりづらい。ただ、舞台装置を縦軸で2段、横軸でも2面の4つに区分して、物語展開を示すのは時間や場面の設定に変化を生んでいて興味深いものだった。演出はもう一度観にくるので、もう一度しっかり観てみたい。

とりあえず、1回目の感想まで。

 

スタッフ・キャスト

【指 揮】大野和士
【演 出】ケイティ・ミッチェル
【美 術】リジー・クラッチャン
【衣 裳】クロエ・ランフォード
【照 明】ジェイムズ・ファーンコム
【振 付】ジョセフ・アルフォード
【演出補】ジル・リコ
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト

【ペレアス】ベルナール・リヒター
【メリザンド】カレン・ヴルシュ
【ゴロー】ロラン・ナウリ
【アルケル】妻屋秀和
【ジュヌヴィエーヴ】浜田理恵
【イニョルド】前川依子
【医師】河野鉄平
【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

 

共同制作:エクサンプロヴァンス音楽祭、ポーランド国立歌劇場
Co-production with the Festival d'Aix-en-Provence, Teatr Wielki - Polish National Opera

 

CREATIVE TEAM & CAST

CREATIVE TEAM
Conductor: ONO Kazushi
Production: Katie MITCHELL
Set Design: Lizzie CLACHAN
Costume Design: Chloe LAMFORD
Lighting Design: James FARNCOMBE
Choreographer: Joseph ALFORD
Revival Director: Gilles RICO

CAST

Pelléas: Bernard RICHTER
Mélisande: Karen VOURC’H
Golaud: Laurent NAOURI
Arkel: TSUMAYA Hidekazu
Yniold: MAEKAWA Yoriko
Un médecin: KONO Teppei
Geneviève: HAMADA Rie

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra


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