その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書。SINCE 2008

尾高忠明/読響 ブラームス交響曲第1番ほか(第5回パルテノン名曲シリーズ)

2017-05-29 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

《駅からホールに延びるペデストリアン》

 友人からチケットを譲り受け、久しぶりに読響の演奏会に足を運びました。会場は、新宿から京王線で40分近く行く(小田急でも行けます)多摩センターにあるパルテノン多摩。初めて訪れるホールです。1階席のみですが1414席もあり、両サイドが石造りで堅牢な雰囲気を醸し出しています。いつものN響定期では3階席から遠くステージを眺めてますが、今回はステージから18列目と言う超良席。大感謝です。

 プログラムの中では、2曲目のロドリーゴ〈アランフェス協奏曲〉(ハープ版)が最も印象的でした。今年1月にN響でギター版を聴いていますが、ハーブ版はまた違った味があります。ギター版と比較すると、赤焼けた乾いた土地をイメージするようなスペインぽさは薄まりますが、メストレのハープの柔らかい音が優しくホールに響きます。男性ハープ奏者を聴くのは初めてで、当たり前ですが、男性も女性もないですね。アンコールで〈アルハンブラの思い出〉をやってくれたのも嬉しかった。

 あと、有名な第2楽章では、イングリッシュホルンの北村貴子さんのソロも秀逸でした。哀愁たっぷりで耳をそばだてて聴きました。

 後半のメインはブラームス交響曲第一番。尾高さんは暗譜で、堂々たる指揮ぶり。骨太の王道を行く1番を聴かせてくれました。近年まれな良席のおかげもあって、音が「良く」聴こえます。やっぱり音って、距離に応じて、届くのに時間がかかることを身を持って体験。すぐに聴こえます。読響も尾高さんの情熱的な棒に応える熱い演奏でした。地方の消化公演だったらどうしようと来る前にちょっと心配した自分が恥ずかしい。

 この日の会場は満員。平均年齢はN響定演並みに高めだったようにお見受けしましたが、聴衆も熱かったです。N響定演では珍しくない居眠りシニアがいない!私の周囲の皆さんは、前のめりで聴いてました。客席の集中がステージにも伝わっているような気配を感じるくらいです。こういう演奏会は気持ちがいいですね(拍手はフライングがあったのが残念でしたが)。演奏会場まで都心の混雑に巻き込まれることもなく、リラックスでき、しかも上質の音楽を聴けて、とっても満足な日曜の午後でした。


《メストレさんのアンコール曲》



読響第5回パルテノン名曲シリーズ

2017年5月28日(日) 15:00開演
会場:パルテノン多摩大ホール
指揮=尾高 忠明
ハープ=グザヴィエ・ドゥ・メストレ

芥川也寸志:弦楽のための三楽章「トリプティーク」
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲(ハープ版)
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68

Parthenon Popular Series No. 5
Sunday, 28 May 2017, 15:00
Venue:Parthenon Tama
Conductor=Tadaaki Otaka
Harp=Xavier de Maistre

Akutagawa: "Triptyque" for String Orchestra
Rodrigo: Concierto de Aranjuez (ver. Harp)
Brahms: Symphony No. 1 in C minor, op. 68

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