その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 10月定期Cプロ/ パーヴォ・ヤルヴィ首席指揮者就任記念/ 五嶋みどりさん登場!

2015-10-24 20:27:40 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
 パーヴォさん首席指揮者就任記念演奏会の最終日。この10月、このコンビは、3つの定演プログラムの他にもNHK音楽祭にも出演し、既に、ハネムーン期間としての新鮮さというよりも、安定したオシドリコンビ的な雰囲気も出始めている気がします。そんなこともあってか、私としては、この演奏会は(失礼ながら)就任記念演奏会というよりも、五嶋みどり(Midori)さんが一番のお目当てでした。

 Midoriさんのコンサートやリサイタルは、ロンドン在住時に、毎年のように足を運びました。厳しいけど暖かく幅の広い人間性が滲み出るような演奏にいつも感動を貰っていました。今日のショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲 第1番 も2009年にロンドン響との共演で聴いています(指揮はなんとパーヴォさんの弟、クリスチャン・ヤルヴィさんでした)。4年ぶりにお見かけしたMidoriさんは、変わらず華奢ながらも、ステージに現れるだけで周りの雰囲気が締まるオーラを放ってます。

 厳かに始まった第一楽章から最終楽章のクライマックスまで、三階席の私は、距離の遠い分、普段の倍以上に耳を研ぎ澄まさせて、前のめりで聴きました。繊細で緊張感を孕む音は変わっていません。ちょっとしたニュアンスも聴き逃さないように集中して聴きました。音は決して大きくないですが、ヴァイオリンの音から聴き取れる精神的な叫び、自分自身に何かを問いかけてくるような音。自然に、目を見開いて、背筋をが伸びます。演奏姿は、まるで修行僧、求道者が更なる悟り、高みを求め続ける姿そのものに見えます。見て聴いて、何故だか、涙が零れてきます。

 パーヴォさんとN響もMidoriさんに最大限の敬意を払って、下支えしているように見えました。引き立て役に徹しているように見えますが、オケの音も独奏者とバランスよく、美しく響いていました。聴衆の一人一人が集中しているのが感じ取れた静寂の観客席でしたが、終演後は割れんばかりの大拍手とブラボー。オケのメンバーも一緒になって、大きな賞賛をMidoriさんに送っていました。

 休憩後の、バルトークの管弦楽のための協奏曲も素晴らしい演奏でした。しかしながら、私は前半でエネルギーを使い果たしていたのと、15分の休憩ではとても気持ちの切り替えができず、集中力不足。自分の体力不足を嘆くばかり。

 冒頭には、パーヴォさん出身のエストニアの作曲家トゥールのアディトゥス(2000╱2002)という現代曲の演奏がありました。


《葉が少しづつ色づいています》


第1819回 定期公演 Cプログラム

2015年10月24日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

~パーヴォ・ヤルヴィ首席指揮者就任記念~

トゥール/アディトゥス(2000╱2002)
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77
バルトーク/管弦楽のための協奏曲

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:五嶋みどり


No.1819 Subscription (Program C)

Saturday, October 24, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Chief Conductor Paavo Järvi Inauguration Concert

Tüür / Aditus (2000 / 2002)
Shostakovich / Violin Concerto No.1 a minor op.77
Bartók / Concerto for Orchestra

Paavo Järvi, conductor
Midori, violin
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする