まさかハイティンク翁の指揮でロンドン交響楽団の演奏を東京で聴けるとは思ってもみなかった。価格的にとても手が出ない海外メジャーオケのコンサート。ただ、今回はN響定期会員には先行受付制度を使って最安席をゲット。昔の恋人に会うかのようにドキドキしながらホールに入った。
顔なじみのメンバーが殆ど変っていないのが嬉しかった。長身の体を大きく揺らして演奏するヴァイオリン首席君をはじめ、各パートいつも見ていたメンバーだ。唯一、ファンだったチェロのミアナ嬢が居なかっただけはがっかりだった。
ハイティンク翁は今年で86歳という。ロンドン在住時に、コンセルトへボウ、ロンドン響、シカゴ響を振ったのを計5回聞いたけど、いつも飾り気ない中に、丁寧で優しく包み込むような音楽を聴かせてくれた。一時、足腰が弱ったのか、ロンドンのバービカンホールでは、カーテンコールで舞台袖に消えることなく途中で戻ってくることもあって、今回は大きなNHKホールのステージで大丈夫なのだろうか?と心配したりしたのだけど、足元はしっかりしていて元気そうで何よりだった。
冒頭にパーセル(スタッキー編曲)のメアリー女王のための葬送音楽が入っていたのは良かった。ベートーヴェンのピアノ協奏曲とブラームスの交響曲で終ってもよさそうなプログラムだけど、イギリスの作曲家の作品で、日本では普段あまり取り上げられない曲を演ってくれるなんて嬉しい限り。
この日はハイティンクとLSOというだけで舞い上がっていたのだが、実はピアノにマレー・ペライアさんが入っているというこれまた豪華布陣。ペライアさんはロンドンでも良く出ていたのだが、私はご縁がなくて今回が初めて。初めて聴くパライアさんのピアノはこれ以上にないほど優しく甘美なものだった。オケは引き立て役に徹したかの如くの包み込み方で、その中で響くピアノの音にはうっとり。第2楽章で、補聴器の音のようなハウリング音が響き続けていたのは、何とも恨めしい限りだったけど、ハイティンクさんともぴったり息のあったピアノ演奏にはため息が出っぱなし。
休憩後のブラームスの交響曲第1番は骨太の横綱演奏。音響では悪名高いNHKホール(まあ、LSOの本拠地バービカンホールも音響は良いとは思えないのだが)だけど、音圧というか、厚みというか、音の質がN響とは全然違った。太くて、強い。特に金管の力のこもった響きは違いを見せつけられた。数年前はこんな音をいつも聴いていたのかあと思うと、過去がフラッシュバックする。
ただ、アンサンブルという意味では、残念ながらこの日は必ずしもLSOらしさが出ていなかった気がする。ど迫力の音の塊の中に、アンサンブルの精緻さを同時に感じるのがLSOだったはずだが、この日はちょっとバラバラ感あり。なんか統一された集中力を今一つ欠いてしまったように聞こえた。NHKホールが合わなかったのだろうか?
まあ、私にとっては、音楽そのものよりもハイティンク翁とLSOのコンサートに行けただけで大満足。NHK音楽祭大感謝である。ハイティンクさんはいつまでもお元気で。LSOは次期主席指揮者のサイモン・ラトルと来日したら、さらに値段が跳ね上がって、なかなか行けない可能性が高いが、またNHK音楽祭に是非呼んでほしい。
ベルナルト・ハイティンク 指揮
マレー・ペライア(ピアノ)
ロンドン交響楽団
パーセル(スタッキー編曲)/メアリー女王のための葬送音楽
ベートーベン/ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68
London Symphony Orchestra
Bernard Haitink, Conductor
Murray Perahia, Piano
PURCELL arr STEVEN STUCKY / Funeral Music for Queen Mary
BEETHOVEN / Piano Concerto No.4 in G major, Op.58
BRAHMS / Symphony No.1 in C minor, Op.68
顔なじみのメンバーが殆ど変っていないのが嬉しかった。長身の体を大きく揺らして演奏するヴァイオリン首席君をはじめ、各パートいつも見ていたメンバーだ。唯一、ファンだったチェロのミ
ハイティンク翁は今年で86歳という。ロンドン在住時に、コンセルトへボウ、ロンドン響、シカゴ響を振ったのを計5回聞いたけど、いつも飾り気ない中に、丁寧で優しく包み込むような音楽を聴かせてくれた。一時、足腰が弱ったのか、ロンドンのバービカンホールでは、カーテンコールで舞台袖に消えることなく途中で戻ってくることもあって、今回は大きなNHKホールのステージで大丈夫なのだろうか?と心配したりしたのだけど、足元はしっかりしていて元気そうで何よりだった。
冒頭にパーセル(スタッキー編曲)のメアリー女王のための葬送音楽が入っていたのは良かった。ベートーヴェンのピアノ協奏曲とブラームスの交響曲で終ってもよさそうなプログラムだけど、イギリスの作曲家の作品で、日本では普段あまり取り上げられない曲を演ってくれるなんて嬉しい限り。
この日はハイティンクとLSOというだけで舞い上がっていたのだが、実はピアノにマレー・ペライアさんが入っているというこれまた豪華布陣。ペライアさんはロンドンでも良く出ていたのだが、私はご縁がなくて今回が初めて。初めて聴くパライアさんのピアノはこれ以上にないほど優しく甘美なものだった。オケは引き立て役に徹したかの如くの包み込み方で、その中で響くピアノの音にはうっとり。第2楽章で、補聴器の音のようなハウリング音が響き続けていたのは、何とも恨めしい限りだったけど、ハイティンクさんともぴったり息のあったピアノ演奏にはため息が出っぱなし。
休憩後のブラームスの交響曲第1番は骨太の横綱演奏。音響では悪名高いNHKホール(まあ、LSOの本拠地バービカンホールも音響は良いとは思えないのだが)だけど、音圧というか、厚みというか、音の質がN響とは全然違った。太くて、強い。特に金管の力のこもった響きは違いを見せつけられた。数年前はこんな音をいつも聴いていたのかあと思うと、過去がフラッシュバックする。
ただ、アンサンブルという意味では、残念ながらこの日は必ずしもLSOらしさが出ていなかった気がする。ど迫力の音の塊の中に、アンサンブルの精緻さを同時に感じるのがLSOだったはずだが、この日はちょっとバラバラ感あり。なんか統一された集中力を今一つ欠いてしまったように聞こえた。NHKホールが合わなかったのだろうか?
まあ、私にとっては、音楽そのものよりもハイティンク翁とLSOのコンサートに行けただけで大満足。NHK音楽祭大感謝である。ハイティンクさんはいつまでもお元気で。LSOは次期主席指揮者のサイモン・ラトルと来日したら、さらに値段が跳ね上がって、なかなか行けない可能性が高いが、またNHK音楽祭に是非呼んでほしい。
ベルナルト・ハイティンク 指揮
マレー・ペライア(ピアノ)
ロンドン交響楽団
パーセル(スタッキー編曲)/メアリー女王のための葬送音楽
ベートーベン/ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68
London Symphony Orchestra
Bernard Haitink, Conductor
Murray Perahia, Piano
PURCELL arr STEVEN STUCKY / Funeral Music for Queen Mary
BEETHOVEN / Piano Concerto No.4 in G major, Op.58
BRAHMS / Symphony No.1 in C minor, Op.68