その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 5月定期Aプロ/ 指揮:ユッカ・ペッカ・サラステ/ シベリウス交響曲 第2番 ほか

2015-05-10 21:20:56 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 5月の爽やかな日差しが降り注ぐ日曜日。ほぼ同時刻に味の素スタジアムで行われるFC東京対鹿島アントラーズの観戦に後ろ髪を引かれながら、NHKホールへ。シベリウス2曲を含むプログラムの指揮は、フィンランド人のユッカ・ペッカ・サラステさん。私は初めてですが、1956年生まれのフィンランド人で、サロネンさんらと同様にシベリウス音楽院で指揮を学んでいます。

 冒頭の「クオレマ」からの3曲はどれも耳に馴染みやすい美しい曲です。N響の整ったアンサンブルが冴えて、うっとりとした気分に浸れました。

 続いては、うって変わった激しいバルトークのヴァイオリン協奏曲 第2番。ヴァイオリン独奏はハンガリー出身のクリストフ・バラーティさん。最近、女性ヴァイオリニストが続いたせいか、久しぶりの男性独奏ヴァイオリンはとって力強く響きました。しかも安定しており、骨太。楽曲は慣れないこともあり、のめり込むまでには至りませんでしたが、ヴァイオリンの音色にはぐっと曳き込まれました。

 圧巻はアンコールのエルンスト《シューベルト「魔王」による奇想曲》。ヴァイオリンを持ったこともない私が言うのもなんですが、その技巧は常人のものではないことを、これでもかと言うほど見せつけてくれました。ステージ上に残ったN響メンバーの視点もバラーティさんの指もとに釘付け。メンバーの「こりゃあ、すごいや」という呟きがステージ上に一杯溢れていました。



 休憩後はシベリウスの交響曲 第2番。丁度去年の4月にヤルヴィ父さん指揮で聞いていますが、今日の演奏にはもっと痺れさせられました。サラステさんの指揮は決して奇をてらっているわけではなく、極めて正攻法に聴こえましたが、曲の空間的広がりや北欧っぽい響きが素晴らしい。N響も目一杯、気の入った演奏で、弦、管ともに思いっきり鳴らしていて、これぞ交響曲の醍醐味。非常にレベルの高い演奏で、シベリウスワールドを満喫しました。

 サラステさんについては、プログラムには今回が特に初共演とは書いてありませんでしたが、過去のN響との顔合わせはあまりなさそう。是非、来年以降も登壇を期待したいです。

 終演後、FC東京が鹿島に負けたことを知り、ますます今日の選択は正しかったことを確認したわけです。


第1808回 定期公演 Aプログラム
2015年5月10日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

シベリウス/「クオレマ」―「鶴のいる情景」「カンツォネッタ」「悲しいワルツ」
バルトーク/ヴァイオリン協奏曲 第2番
シベリウス/交響曲 第2番 ニ長調 作品43


指揮:ユッカ・ペッカ・サラステ
ヴァイオリン:クリストフ・バラーティ

No.1808 Subscription (Program A)

Sunday, May 10, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Sibelius / “Kuolema”, incidental music - ‘Scene with cranes’, ‘Canzonetta’, ‘Valse triste’
Bart�・k / Violin Concerto No.2
Sibelius / Symphony No.2 D major op.43

Jukka-Pekka Saraste, conductor
Krist�・f Bar�・ti, violin
コメント (2)
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