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正坐について

2012-07-26 | 雑記
そういえばこのところ「正坐せよ」と言わなくなってしまった。


ついに痛くて痺れるので怠けるようになったか!と、妙な期待をしている人はいないだろうが、別に怠けてはいない。


昨夜も、夜勤明けで帰宅してからの仮眠の後、風呂に入り、汗が引いてから真っ暗な部屋のなか(街灯の明かりがあるが、暗くはある)、一時間半ほど燃えるロウソクを燈しては坐し、タバコをふかしていた。


流石に床の上なので、途中で座布団を引っ張ってきたり、体の姿勢が崩れるのでその都度直したり、じっとしていない。


しかし、下腹と脚に力が入った状態で息を深く吸う状態が出てくると、椅子に腰掛け、エアコンと蛍光灯がつきっぱなしの仕事場では味わえないものがある。


脚に力が入る状態を意識し始めたせいもあるのだろう。床の上で坐していても、前ほど痛くなくなっている上に、姿勢を直しているのもあって、硬直しすぎて膝が痛くなる、といった症状もない。



さて、この脚に力が入った状態と、それ以前の状態はなんだったのかを少し振り返ってみる。


以前紹介した、「正しい正坐」の方法。野口整体 気・自然健康保持会のページにあるのだが、直リンク禁止なので、気になる方はお読みいただく。こちらへ



掻い摘んでいうと、坐骨が踵の前に来るように、少し出っ尻にする感じで腰を下ろし、坐骨の辺りにある筋肉を上半身の体重で押さえつけるようにする。

そうすれば、太股と尻に力が入る。これで上虚下実となる。


はずであった。



昔の感覚で、坐るというのはソファーに腰掛けるようにゆったりするものなのだと考え勝ちだったのもあって、脚に力を入れていることが無かった。

当然、尻にも力が入らない。そしてすぐ脚が痛くなる。


試しに正坐を思い思いに行ってもらおう。

膝はくっつけない状態で、拳ひとつかふたつ分ほど開いているとする。

元から「正しい」状態の人の人ならわかるだろうが、脚の力をかなり抜いてみよう。

両膝が内側に向かって近づこうとしないだろうか。くっつかないまでも。


この状態に違いない、と前はそう考えていたのだが、どうも力が入らない。

出っ尻を少し強めに意識し、下腹も意識しなおして坐ってみたところ、勝手に脚と尻に力が入る状態が出来上がった。

その際の膝は、どちらも外へ向いている。別にガチガチに力を入れているわけではないが、力が入っていることが感じられる状態である。


ああ、これだったのかと。ようやく納得したのであった。



西洋人の体つきでは効果があるのかはわからないが、日本に生まれついた方には是非とも正坐を心がけてもらいたいものである。

なに。単に坐るだけである。それで何か変わったと思えるところが出てきたらまずは第一歩。そして基本にしてしまう。


古来、侍が五感を研ぎ澄ますのに正坐を心がけてきたという風な話がある。


いつもの風景が違って見えるかもしれない。それに、本来「同じ風景」は存在しないのである。

毎日昇る太陽。地球の公転や地軸の影響で、日に日に近づいたり離れたり、日の出日の入り時間も変わっている。

あなたの部屋にあるものがそのいつも少しずつ違っている日に照らされる。「変わり映えの無い風景だ」とあなたはお考えになる。


というわけで、その「変わり映えの無い風景」を正坐してご覧戴きたい。結局は変わり映えしてはいないが、変わって見えるかもしれない。

見えなかったらどうするんだ!とかそんなバカな・・・という人はまず、その荒らぶる(片方は荒らぶってない気がするが)魂をお鎮め戴くために正坐をするところから始めるのがお勧めである。では、また。