ウヰスキーのある風景

読む前に呑む

理屈は通らない

2019-04-22 | 雑記
少々腹が立ったので、書いておく。

とはいえ、いつも通り長い導入からである。


先日、休みで家にいた。調子が悪くて寝転がっていたのだが、ようやく立ち直ってきたころには夕方になっていた。

そして、ほどなくして、弟が帰宅した。

弟は言う。「娘に会うなっていわれた」と。

語弊があるので言い直していたが、あまり、元嫁は元夫たる弟に会いたくないらしい。彼女がどう思っているかはこちらも聞きようがないし、どうしようもない。

「先週だかも、日曜に病院に連れて行くから、とか言われていたな。そういえば、日曜に病院ってのも妙よな」

というと、上記の開口一番に言い出したことを訂正したという流れであった。

腹が立つなどと言っておった。まるで、嫁が意地悪で会わせてくれないと言わんばかりである。


さて、長い導入、などと脅かしたが、ここまでである。


現時点からでいうと昨日。

家に帰り、弟の部屋に声を掛けながら入ると、寝ていた。寝入ってはなかったが、ネットの開通工事の業者が来るのを寝て待っていたらしい。

それから、上着を脱いだりしてから、何気なく台所のゴミ箱を見ると、蓋にひびが入っている。蓋の仕組みも壊れて、蓋が乗っているだけの状態になっていた。

「ゴミ箱が壊れているぞ」というと、「昨日部屋で暴れて壊した」という。どこで傷ついたか判らんが、右腕に怪我もした、などとのたまう。怪我、というほどのものではないが、赤く切れたらしい後があった。

暴れる(アパレル)関係の仕事か?と大昔、記憶違いでなければ弟から聞いたダジャレを言うと、ダジャレだと気付かなかったのか、「仕事じゃないけど」と苦笑いをしていたものである。

そのすぐ後ぐらいに、ネットの業者が来て、弟はすぐ外に行き、一階で待機していた管理会社の人を呼び、業者の人も含めて三者面談をマンションの廊下で始めた。

拙は、とりあえず手持無沙汰なので、部屋に戻って、見ようと思っていた某オンラインゲームの生放送を見ていたのだが、疲れて途中で寝てしまった。

その後、工事も許可が出て無事終わり、LANの接続を変えてくれと弟に起こされた。

LANの接続を変えた後、通信速度の計測やら接続の設定を変えればもっと早くなるのではと、色々やってみたが、出来なさそうなので諦め、買ってきていたケーキを食べようと思い、弟を誘うと、「もう食べた」という。声はかけたそうだが、接続の設定を調べていたら、気付かなかったらしい。

ならば茶を飲めと、いれてやった。

そして、改めてゴミ箱を見ると、横もひび割れている。思い切り叩きつけて破壊したらしい。

「何があったかしらんが、よく壊したもんだ」とだけ言っておいた。



弟が「晩飯はどうする」と尋ねてきた。「材料があるから自分で作って食う。何か食いに行きたいのか?」と問い返すと、「作るのが面倒だ」という。

とはいえ、こちらはまだ腹が減っていない。だから食べに行くのは無しだと答え、弟は何か作り始めた。


ゲームも一区切りついたので、飯の準備をしておこうと台所に向かい、流しの上を見ると、プラスチックの笊が同じ場所にあることにはあるのだが、色の違うものになっている。

焼いたとか漂白したとかいう、手間のかかることをしたのではない。これもまた、弟が壊したと言った。壊して買い直したのだろう。

別に大したものではない。百円ショップで売っていたものである。とはいえ、拙が前の家から持ち込んだもので、家財道具を余り持ち込んでこなかった弟にも必要だったかはしらんが、ボールだけでは事足りなかったりするので、時と場合によっては、ないと困っていただろう。

それを、破壊したのである。ゴミ箱に腕だか拳を叩きつけて無残な姿にしたのと同様に。

ゴミ箱も、蓋が機能不全で見た目がひどくなっただけで、用はこなせる。とはいえ、こちらは二人で金を出し、大学の後輩に車を出させて買ってきたもの。

半分壊れたから、弟の債分で壊したと思えばよかろうが、笊は違う。


笊を壊したのがゴミ箱の破壊と同じ理由かは定かではないが、見境を無くした状態では、関係のないことにまでつっかかるものである。

というのも、弟が寝る前に、拙の部屋に声をかけてきた。

「笊とボールを乗せているところに、鍋の蓋を置くな」と。

引っかかって落っことすからだという。それで、以前、落として置いてあったワイングラスを割ったのだと、今更言ってきた。

拙は今まで引っかけて蓋を落とす、などということをしたことがなく、「なんでそうなるんだ?」と問い返すと、「上の網棚が狭いからだ」と答える。

「ああ、わかったわかった」と、半ば不機嫌に返答して、戸を閉めた。


それからふと思ったのだが、どうして笊は弁償したのに、ワイングラスを弁償しないのかと。

粗忽な弟は、引っ張って笊かボールを取ろうとして、鍋の蓋を引きずって落としたのである。

そして、弟はこう思っていたから、わざわざ今更になってそう言ってきた。(というのも、笊が変わっていたのと同時に、鍋の蓋も消えていたので、これも壊したのかと思ったが、それは流しの下に入れたと言っていた)

それは兄のせいだと。それで、笊に八つ当たりしたのだろう。だから、拙の物ではあった笊を破壊した。笊は自分も必要だから弁償して、ワイングラスは100円じゃないのと自分が使うものではないし、兄が悪いから、というところだろう。

笊が先で、その後にゴミ箱かもしれないが、そこまでは聞いていない。聞いたところで、バカバカしいことこの上ない。


話は変わるが、女性というのは、男性と比べて、言語化されていない、いわば雰囲気とでもいうもののを察知する能力が高い、と思われる。

生存だか防衛本能というところか。強すぎるのも困りものだが、まったくないのも困る。

さりとて、日常の言葉で表現できるものでもない(もしくはしづらい)ので、男性と意思の疎通ができないところがあると言える。場合によってはそれで男性を馬鹿にしたりもしているのだろう。


それは言い過ぎとしても、弟の元嫁が、元夫にあまり会おうとしないのは、弟の心根を、何かにつけて人のせいにしたがる態度を見抜いているからが故ではなかろうか。入学式だとか誕生日ぐらいにしか会おうとしないのは、それでも渋々なのかもしれない。


会えなくて当然である。「お前」が悪いのだから。

弟の粗忽具合を勘案せずに、などと言い方が悪いが、拙が出来ることは弟に出来て当然だろうとタカを括っていた、「お前」が悪いのである。


ワイングラスが、笊が、ゴミ箱が壊れたのは、やはり「お前」が悪いということなのである。


鍋の蓋を、ひっくり返して重ねたボールと笊の下に置いた兄が悪いというのは理屈通りだが、実はそんな理屈は通らないのである。


そんな人を敵にする態度で、復縁など出来るはずもなかろう。


「お前」が悪い。人にその言葉を投げかける時、実際は誰に向けているのかを知らぬことには、ゴミ箱や笊がいくつあっても足りないのである。



では、よき終末を。


致神酔い

2019-04-12 | 雑記
二か月以上振りになったが、拙はまだ生きている。

というのも、二月に引っ越しをしてから、ネット開通でごたごたしてしまい、三月の半ばだったか、それくらいまで自宅ではネットに繋げない状態だった。

では、今は繋がっているのかというと、仮である。工事終了までの間、Wi-Fiの機器を貸し出すというのが最近の流行りらしく、それで繋いでいる。

自宅までが無線で、そこからLANケーブルで繋いでいる。速度は引っ越し前より少し遅くなったが、ネットゲーをやっていたらすぐ切断される、といった具合でもなく、おおむね問題なしといったところである。

前回は、弟が内定と上京を取り消そうか悩んで、あわや引っ越し自体がなくなりかねなくなった、というところで更新が中断されていた。

そんな話を気にしている人が何人いるか判らないが、冒頭の話の通り、引っ越しをして、もう二か月近く経つ。

とはいえ、その時弟に言った「現実がお前を作るんじゃない。お前が現実を作るのだ」をどう理解したかは、判らないというより、考えても仕方ないと思っている。

そこで、話のついでに、弟をどう評しているのか、という話をする。

以前も書いたかもしれないが、末の兄弟だから甘えん坊といったところである。

それに纏わる話もかつて書いたが、改めて書いておこうと思う。


子供のころ、弟は、車で出かけると、ちょくちょく気分が悪くなる。車酔いをするのである。今は判らない。

もしなるとして、運転してたら大丈夫なのかもしれないが、そこは知らない。母親は運転していたら酔わないと言っていたもので、そこは同じだろうと思われる。

さて。野口整体の創始者、野口晴哉がこう言っていた。

「まともな人は車酔いはしない。する人はどこか人に助けてもらうのが当たり前のところがある」と、『整体入門』にある。

拙は、車酔いをした覚えがない。もしあったとして、かなり小さい時はしていたかもしれない、というところだが、定かではない。

とはいうものの、野口整体なら、車酔いの抑え方はやる。

何故また思い出すことになったのかというと、別に今日に限った話ではないが、ここ数か月のやり取りで思い当たる節があったからである。


車酔いではない。その態度である。当たり前すぎて気が付かないのだろうが。


何の流れか忘れたが、弟がこう語っていた。

「日本が先進国なんて嘘だ。福祉やらがひどい状態だ」と。

そもそも、先進国という言葉自体が空疎なものなのだが、そういう話をしても仕方ない。

とある気功師の方の言葉を借りて、「ある意味、精神的には先進国なのだ」とは言ったが、これだけでは判らんし、詳しく説明するのも無理だったので、適度になだめておいたものである。

どこが?という人が大多数かと思うので、もう少し語る。

日本人ぐらいである。まったく別の宗派の宗教施設に同時に遊びに行けるのは。

ちっとも新聞にならない旧聞を垂れ流す新聞紙やらニュースでも流しているだろう。「宗派の違いでお互いを殺しあっている国や民族がある」と。

世の中、推しアイドルの違いで喧嘩している人もいるらしいが、あれも宗教であろう。本当にあるのかしらんが、それに似た話は何かにつけて出てくる。


話を戻す。

弟の上記のセリフは、つまり、「政府やら行政は自分を世話して当然だ」という態度なのである。

これも、大多数の人にとっては常識ではないのかと反論されるだろうが、常識もまた、とある民族やら地域の「教義」なのである。または、「神」だとかの、人の上にある何かといえる。

釈迦、もしくは初期仏教の、政府、当時は貴族だがに対する態度は、こうである。

「盗賊は非合法に人の金を盗むが、貴族は合法的に盗んでいく。積極的に応援するような存在ではない」と。

税金は取るのが目的である。搾り取ってその余りで福祉やらなんやらに還元した振りをしているだけである。

所詮はそんなもの。そういう存在が「お世話してあげます」なんぞと言ってくるのは、詐欺に違いないので、適当にあしらうのがよろしい。

たまには役立つ事もするが、カンダタが「仕事」の帰りに蜘蛛をたまたま殺さなかったのと大差ない。

「政府や国家がないと、人々は安寧に暮らすことは出来ない」というのもまた、「教義」である。その安寧は誰の安寧か、どこにも書いていない。


それ故、弟のああいう発言は、人に世話をしてもらうのが当然と考えているからだと、拙は評している。


とはいえ。拙も人のことはいえない。


もう八年経ったが、東北の大震災で、当時の東京もちょくちょく揺れた。

その時に話題になったもので、「地震酔い」というのがあった。余りにも感じる程の揺れが頻繁に来るが故に、三半規管が揺さぶられたのであろう。真っすぐ立っているつもりでも、フラフラしていたものである。

普段、車酔いしない人でも酔ってしまうものである。だが、政府はおろか、隣近所の人も肉親も、酔いを止めてはくれまいて。


その人の価値観だとか世界観というのは、その人の全てにおいて立ち現れる。

だから、「現実があなたを作るのではない。あなたが現実を作るのだ」と、伝えたのである。


車酔いをしない拙ではあるが、地震酔いは良い契機になったのだろうと考えている。

お前は自身に酔っておるのだろう?という月並みな発言は控えて頂く。

これは大地が鳴動することによって、己が神に触れたが故の酩酊である。人によっては車でもなるのである。

地震ではなく地神酔いであり、そしてタイトルの読みもまた「じしんよい」である。本来なら、ぢしん、と書いて変換できなければおかしいのだが、そこは措く。

補足だが、「精神」と書く。神と書くからといって、西洋から侵入してきた概念の「GOD」の訳語を思い浮かべては、足元をすくわれるので、ご注意を。

あれらも言っている。「信じる者はすくわれる」と。


では、よき終末を。