久しぶりに「イドラ」という単語を聞いた。
どこかで聞いたような?としばらく悩んでいたら、フランシス・ベーコンが提唱した論説に、イドラという言葉が使われていることを思い出した。
とはいえ、カタカナでグーグル検索をしたら、とあるゲームのタイトルが飛び出してきたりはするので、スペースを空けて意味とでも一緒に書いて検索した方がよろしかろう。
実を言うと、その「イドラ」だけで検索した時に我が家のブラウザですぐに飛び出してきたというゲームがきっかけだったりはする。
ついでなので、その話も少ししよう。
『イドラ ファンタシースターサーガ』というのが正式名称で、通称「イドラ」(以下イドラ)という、セガのスマホ向けのゲームである。
冒頭のこんがり焼かない方のベーコンのことはすっかり忘れていたので、「イドラって蛇の化け物かな?」と、ごちゃ混ぜの想像をしていたものである。ヒドラと言いたいらしい。
ファンタシースターと名前にあるが、それはセガのRPGシリーズのことで、その一環となる。昔のシリーズと直接の繋がりがあるわけではなく、こちらも配信中のオンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』(以下PSO2)との繋がりがある。PSO2側と繋がりがあることを具体的には謳ってはいないようだが、話を読み進めると、どういう繋がりかはまだ不明だが、明らかに示唆している設定があったりする。その辺り(PSO2側との繋がりなど)は詳しくは聞いていないので、勘違いかもしれないため、ここで書いていることを信じ込まないように。ただ、繋がりがあるようなシナリオの上の示唆は確認している。
そこはただのついでの紹介ではあるので、読み流してもらうとして、何故フランシス・ベーコンを思い出したのかに続く。
しかし、もう少し設定について説明しなくてはならない。
イドラの舞台は、とある架空の惑星上にある、イメージとしては中世ヨーロッパ風のファンタジー世界となっている。
トールキンの『指輪物語』のような、具体的に言えば耳がとがっているエルフだとか、獣が二足歩行しているようなのとか、機械の体の種族だとかが混在している世界である。
種族間の軋轢もあるが、さらにもう一つ、それらを大きく二つに分かつ陣営とでもいうものがある。
ロウとカオスといって、思考様式や価値観のの違いで反発しあう状態にある。
この二つの内容は説明するまでもない(ほぼ名前の通りといえる)が、お互い水と油のように反目しあっている世界なのである。
プレイヤーの分身たる主人公は、そのとちらでもないニュートラルという立場で、上記の二つの立場を超えて集まった仲間達と共に、かつて世界を滅ぼしたという存在に立ち向かっていくという流れである。
かつて世界を滅ぼした存在、というのは、ファンタシースターシリーズだと決まった名前の大ボスが大体いる。
「ダークファルス」という、いわば邪神とでもいうべき存在である。シリーズによっては必ずしも最後に倒すボスではなかったりはするが、大体ラスボスである。
恐らくは「ダークファルス」という呼び方以外は昔はなかったと思うが、(イドラからすれば)本家ともいうべきPSO2の影響なのかなんなのか、イドラのダークファルスにも個別の名前がついていた。
ダークファルスなんたらと、PSO2の方でも何体(邪神なら柱か?)かいるそれぞれに名前がついていたが、イドラに出てきているのは、ダークファルス テアトルと名乗っていた。
マリナーズ?そりゃシアトルだ、というダジャレは却下して、英語で読めばシアター、つまりは劇場である。
邪神だが、人と話すことも出来(出来ないと文字通りお話にならんからとして)、こんな風なことを言っていた。
「ロウとカオスが争い続けている理由を考えた人間はいない。親や国家だとかの権威にそうだと最初から教え込まれていて、誰も疑ったことなどないからだ」と。
ようするに、その「テアトル」という名前と、尚且つ上記の内容のセリフを聞いたから思い出した、というだけではある。
では、ゲームでない方のイドラの話に進む。
Wikipediaで調べるだけで十分な内容ではあるが、「イドラ」というのはラテン語で「偶像」や「幻想」を意味する言葉である。そこから転じて、偏見といった意味でも用いていたように思うが、申し訳ない、うろ覚えである。
偶像という意味から想像できるように、「アイドル」の語源でもあるようだ。ただ、日本語の偶像という言葉の原義は、木石で作られた像の事ではある。
イドラ自体は複数形の言葉で、単数形もあるが、そこは特に関係はない。
ベーコンは、人が人のままではどうしようもない理由が、「イドラに囚われているから」ということで、四つのイドラを分類して提示した。
一つ目は自然のイドラ。人の生まれ持った自然と思っている状態から形成されるイドラ。
二つ目は洞窟のイドラ。上記から形成されたイドラでもって培う個人的経験などで形成されるイドラ。
三つ目は市場のイドラ。(上記の状態の)人が集まって、憶測だとかでお互いに吹き込みあったりして形成されるイドラ。噂話なども当てはまる。
四つ目が劇場のイドラ。国家や宗教といった、権威によってもたらされるイドラ。
ベーコンは、人が真理に到達するためには、これらのイドラを克服すべきだということを提唱したとのことである。
タイトルがイドラで、ボスもしくはキーパーソンの名前が「劇場」。そして、「イドラ」に囚われた人々の紛争(ロウとカオスの軋轢)。
ベーコンがいうイドラの話を下敷きにしたのだろうなという所である。
このイドラというものは、目に見える形のものもあれば、見えないものもある。
考えているだけのことなら、行動に現れていなければ見えないことが普通なので、どちらにしても見えないといえるが、ともかく。
アリス・ミラーという心理学者が、ナチスの総統、アドルフ・ヒトラーがどうしてああいう言動に至ったかを、自身の治療体験を基に分析したというのを、かつて何度か紹介したものである。
とはいえ、ヒトラーが幼少のころに虐待家庭で育っていたというのは「俗説」と言われている。絵の勉強で下宿生活をしていたが、カフェでケーキを食べながら本を読んだりしていたとかいうらしく、私見だが、フロイトの精神分析なんかでよく指摘されている難点で、記憶をでっち上げてしまうというのが多いというので、その記憶はヒトラーを独裁者に仕立てるためのいわば洗脳だったのかもしれない。
ヒトラーの実家の村に自分を称える碑を建てられたというので腹を立てて、恨んでいたという父親の墓も諸共その村を潰したというのは、若い頃の呑気ともいえる生活態度からは少し想像しづらい。
それはともかく。
アリス・ミラーの話をおさらいすると、こうである。
幼少のころの虐待経験によって、歳長じた時に、当時晴らせなかった恨みを下(当時の無力だった自分と重ねた対象)にぶつけることで晴らそうとするが、決して晴らすことは出来ない、というものである。
この論は今でも陰に陽に立ち現れる。
その当時も書いたが、父親がアルコール依存症で荒れていた家の娘が結婚した時、その夫に向かって過度にアルコール摂取を止めようとするあまり、アルコール依存症にしてしまう、という流れがあるという。
無論、本人はよかれ(幼少のころに見た父親の姿を重ねているだけなので、余計なお世話だが)と思って行うのだが、結果は無惨となる。
本来は酒を止めるべきは父親だったのだが、その相手は目の前にいない。そして、当事者ではない夫を当事者にしたて、無意識に当時の無念を晴らそうとするがあまりに、過去の因果を蘇らせてしまう。
アリス・ミラーがいうには、こういう心理の背景は、社会的な環境、例えば政変などの不安などもあるし、過去の先祖が被った瑕疵が原因となったりする。
かつての先祖のトラウマなどとなれば、自覚しようがない。普段の意識のままでは理解できない理由でもって突き動かされているからである。
どこかの陰謀論者が過剰に不特定多数の他人、つまるところは一般人を無能だのと罵っていたとよく書いたものだが、その理由は恐らく、そういう虐待を誰か、もしくは何かに受けていたか、その手の知識を仕入れた際に、自分が無能だったと深く傷ついたが故なのだろうと考えられる。
その手の知識を仕入れた際に深く自分を傷つけたというのなら、やはり、原因はもっと過去にある。それもまた、習性であるからだ。でなければ、ミラーの説通りであるとしてだが、そうはなるまい。
つまらない然る個人の話は措くとして、近日、日本とかなり物理的に距離の近い国との間で騒がしくなっていることは、聞き及んでいるかと思われる。
そのことについて、何故か?と思いめぐらせていたところ、思い出したものである。
余談のようだが、一昔前に、その韓国であったという話をする。
現代の韓国人、恐らく北朝鮮もだろうが、その先祖は実は移民だったという。
日本も、太平洋から渡ってきた人達がいたらしいとかなんとかあるので、いわば移民の国だが、縄文以前の話である。
比較的近年に、中央アジアの方面から流れてきた、エベンキ族という人種が無人になった朝鮮半島に移住し、それが李氏朝鮮の先祖だったという。
それ以前の、例えば当時の日本が支援していた百済は滅び、敵対関係だった新羅もその北にあった高句麗に滅ぼされている。西暦二百何十年ぐらいの時代である。詳しくは歴史の教科書でもご覧あれ。
さらに時代が下り、高句麗の後継だった高麗も滅び、朝鮮半島は無人の野となる。そしてエベンキ族が移住し、その後に李氏朝鮮が出来た。
所謂韓国の歴史は、李氏朝鮮時代からであって、それ以前は現代韓国とは関係なかったという。
それで、かつて韓国の作家がそれを調査して出版したところ、ビニール本にされてしまったというのである。
韓国人の作家が朝鮮民族の先祖の話を書いてそんな目にあったのは本当だが、上記の歴史についての記述はいつも通りうろ覚えなので、詳しくはご自身でお調べいただく。
今の今では知らないが、その話は当時、タブーだったのだとか。公然の秘密という奴だったようだが、それなりの知的水準の地位にあれば、尚更言うわけにはいかないのだろうというのは、昨今の事情を何となく見てても察せることかと思われる。
では、どうしてあのようなどうかしたかのように突っかかって来るのだろうかと、その理由を考えた。
民族が移動するとしたら、どういうことかを考えてみよう。
近年でも、独裁政治で紛争状態になり、住んでいたところを追われて難民化するというのがある。
つまりは、環境の悪化により、定住できなくなるが故の、受動的な移動。無理やりどかされたというわけである。
もしくは、コロンブスの如く新天地を目指して行き着いた、というのも考えられる。
先ほども少し触れたが、日本人の先祖が海洋民族だったという説があるようだが、そうだったとしても、理由まではわからない。
地球人全員がコロンブス(彼が実際どう考えていたかは知らないが)なわけがないので、民族が移動する理由は、前者であったろうと考えられる。
現代の朝鮮半島に住む人たちの先祖が移住して来たのも、そうだと思われる。当時の志那の王朝による、同化政策として連れてこられた、というのも考えられるが、そこは分からない。
そういう民族的な不満は、訳も分からず個人を苛んでしまったりする。
これがかつての志那の王朝のせいだったとしても、今の中華人民共和国は関係ないので無意味となる。漢人の王朝は現代を除けば明の時代が一番新しい上に、漢人の王朝は数えるほどである。
そこで、少し前に「やり方を押し付けてきた」日本の出番となる。
大昔の誰のせいかは分からないが、状態は同じだといえる。そして名前が分かったというより決めることが出来たので、それでかつての恨みを一緒くたに日本にぶつけているのだと考えている。
「江戸の敵を長崎で討つ」というのがあるが、そういう状態なのではなかろうかと。
ベーコンはイドラを四種に分類した。恐らく、分類するだけならもっと細かく増やせられたのだろうが、四に意味があるのだろうと思われるとしても、さらに一つ、掛詞的に五つ目を提示する。分類を増やしました、というわけではない。
四種のイドラを克服することによって真理に到達できるとするならば、繰り言だが、イドラは幻想という意味があるので、幻想から離れられるといえる。
なら、その四種のイドラを嵩じればどうなるだろうか?
それは、劇場ならぬ「激情のイドラ」とでもいうべき怪物を生み出すのかもしれない。
上記で紹介したゲームの方のイドラは、「イドラ」と呼ばれる大きなモンスターがいる。その「イドラ」は、ダークファルスの眷属と呼ばれている上に、その世界ではそれに変身する力を有する人もいるという設定である。敵として戦ったり、プレイヤー側もイドラになって戦ったりする。
怒りは自他を滅ぼす。様々な宗派でもほぼ共通して言われるほどである。
ゲームのイドラの設定で、ダークファルスはかつて世界を滅ぼした存在だという。
怒りが自他を滅ぼすのならば、激情のイドラは、またの名をダークファルスというべきかもしれない。
あなたが目に見えていると思っているものだけが世界ではないのだから。
では、よき終末を。
どこかで聞いたような?としばらく悩んでいたら、フランシス・ベーコンが提唱した論説に、イドラという言葉が使われていることを思い出した。
とはいえ、カタカナでグーグル検索をしたら、とあるゲームのタイトルが飛び出してきたりはするので、スペースを空けて意味とでも一緒に書いて検索した方がよろしかろう。
実を言うと、その「イドラ」だけで検索した時に我が家のブラウザですぐに飛び出してきたというゲームがきっかけだったりはする。
ついでなので、その話も少ししよう。
『イドラ ファンタシースターサーガ』というのが正式名称で、通称「イドラ」(以下イドラ)という、セガのスマホ向けのゲームである。
冒頭のこんがり焼かない方のベーコンのことはすっかり忘れていたので、「イドラって蛇の化け物かな?」と、ごちゃ混ぜの想像をしていたものである。ヒドラと言いたいらしい。
ファンタシースターと名前にあるが、それはセガのRPGシリーズのことで、その一環となる。昔のシリーズと直接の繋がりがあるわけではなく、こちらも配信中のオンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』(以下PSO2)との繋がりがある。PSO2側と繋がりがあることを具体的には謳ってはいないようだが、話を読み進めると、どういう繋がりかはまだ不明だが、明らかに示唆している設定があったりする。その辺り(PSO2側との繋がりなど)は詳しくは聞いていないので、勘違いかもしれないため、ここで書いていることを信じ込まないように。ただ、繋がりがあるようなシナリオの上の示唆は確認している。
そこはただのついでの紹介ではあるので、読み流してもらうとして、何故フランシス・ベーコンを思い出したのかに続く。
しかし、もう少し設定について説明しなくてはならない。
イドラの舞台は、とある架空の惑星上にある、イメージとしては中世ヨーロッパ風のファンタジー世界となっている。
トールキンの『指輪物語』のような、具体的に言えば耳がとがっているエルフだとか、獣が二足歩行しているようなのとか、機械の体の種族だとかが混在している世界である。
種族間の軋轢もあるが、さらにもう一つ、それらを大きく二つに分かつ陣営とでもいうものがある。
ロウとカオスといって、思考様式や価値観のの違いで反発しあう状態にある。
この二つの内容は説明するまでもない(ほぼ名前の通りといえる)が、お互い水と油のように反目しあっている世界なのである。
プレイヤーの分身たる主人公は、そのとちらでもないニュートラルという立場で、上記の二つの立場を超えて集まった仲間達と共に、かつて世界を滅ぼしたという存在に立ち向かっていくという流れである。
かつて世界を滅ぼした存在、というのは、ファンタシースターシリーズだと決まった名前の大ボスが大体いる。
「ダークファルス」という、いわば邪神とでもいうべき存在である。シリーズによっては必ずしも最後に倒すボスではなかったりはするが、大体ラスボスである。
恐らくは「ダークファルス」という呼び方以外は昔はなかったと思うが、(イドラからすれば)本家ともいうべきPSO2の影響なのかなんなのか、イドラのダークファルスにも個別の名前がついていた。
ダークファルスなんたらと、PSO2の方でも何体(邪神なら柱か?)かいるそれぞれに名前がついていたが、イドラに出てきているのは、ダークファルス テアトルと名乗っていた。
マリナーズ?そりゃシアトルだ、というダジャレは却下して、英語で読めばシアター、つまりは劇場である。
邪神だが、人と話すことも出来(出来ないと文字通りお話にならんからとして)、こんな風なことを言っていた。
「ロウとカオスが争い続けている理由を考えた人間はいない。親や国家だとかの権威にそうだと最初から教え込まれていて、誰も疑ったことなどないからだ」と。
ようするに、その「テアトル」という名前と、尚且つ上記の内容のセリフを聞いたから思い出した、というだけではある。
では、ゲームでない方のイドラの話に進む。
Wikipediaで調べるだけで十分な内容ではあるが、「イドラ」というのはラテン語で「偶像」や「幻想」を意味する言葉である。そこから転じて、偏見といった意味でも用いていたように思うが、申し訳ない、うろ覚えである。
偶像という意味から想像できるように、「アイドル」の語源でもあるようだ。ただ、日本語の偶像という言葉の原義は、木石で作られた像の事ではある。
イドラ自体は複数形の言葉で、単数形もあるが、そこは特に関係はない。
ベーコンは、人が人のままではどうしようもない理由が、「イドラに囚われているから」ということで、四つのイドラを分類して提示した。
一つ目は自然のイドラ。人の生まれ持った自然と思っている状態から形成されるイドラ。
二つ目は洞窟のイドラ。上記から形成されたイドラでもって培う個人的経験などで形成されるイドラ。
三つ目は市場のイドラ。(上記の状態の)人が集まって、憶測だとかでお互いに吹き込みあったりして形成されるイドラ。噂話なども当てはまる。
四つ目が劇場のイドラ。国家や宗教といった、権威によってもたらされるイドラ。
ベーコンは、人が真理に到達するためには、これらのイドラを克服すべきだということを提唱したとのことである。
タイトルがイドラで、ボスもしくはキーパーソンの名前が「劇場」。そして、「イドラ」に囚われた人々の紛争(ロウとカオスの軋轢)。
ベーコンがいうイドラの話を下敷きにしたのだろうなという所である。
このイドラというものは、目に見える形のものもあれば、見えないものもある。
考えているだけのことなら、行動に現れていなければ見えないことが普通なので、どちらにしても見えないといえるが、ともかく。
アリス・ミラーという心理学者が、ナチスの総統、アドルフ・ヒトラーがどうしてああいう言動に至ったかを、自身の治療体験を基に分析したというのを、かつて何度か紹介したものである。
とはいえ、ヒトラーが幼少のころに虐待家庭で育っていたというのは「俗説」と言われている。絵の勉強で下宿生活をしていたが、カフェでケーキを食べながら本を読んだりしていたとかいうらしく、私見だが、フロイトの精神分析なんかでよく指摘されている難点で、記憶をでっち上げてしまうというのが多いというので、その記憶はヒトラーを独裁者に仕立てるためのいわば洗脳だったのかもしれない。
ヒトラーの実家の村に自分を称える碑を建てられたというので腹を立てて、恨んでいたという父親の墓も諸共その村を潰したというのは、若い頃の呑気ともいえる生活態度からは少し想像しづらい。
それはともかく。
アリス・ミラーの話をおさらいすると、こうである。
幼少のころの虐待経験によって、歳長じた時に、当時晴らせなかった恨みを下(当時の無力だった自分と重ねた対象)にぶつけることで晴らそうとするが、決して晴らすことは出来ない、というものである。
この論は今でも陰に陽に立ち現れる。
その当時も書いたが、父親がアルコール依存症で荒れていた家の娘が結婚した時、その夫に向かって過度にアルコール摂取を止めようとするあまり、アルコール依存症にしてしまう、という流れがあるという。
無論、本人はよかれ(幼少のころに見た父親の姿を重ねているだけなので、余計なお世話だが)と思って行うのだが、結果は無惨となる。
本来は酒を止めるべきは父親だったのだが、その相手は目の前にいない。そして、当事者ではない夫を当事者にしたて、無意識に当時の無念を晴らそうとするがあまりに、過去の因果を蘇らせてしまう。
アリス・ミラーがいうには、こういう心理の背景は、社会的な環境、例えば政変などの不安などもあるし、過去の先祖が被った瑕疵が原因となったりする。
かつての先祖のトラウマなどとなれば、自覚しようがない。普段の意識のままでは理解できない理由でもって突き動かされているからである。
どこかの陰謀論者が過剰に不特定多数の他人、つまるところは一般人を無能だのと罵っていたとよく書いたものだが、その理由は恐らく、そういう虐待を誰か、もしくは何かに受けていたか、その手の知識を仕入れた際に、自分が無能だったと深く傷ついたが故なのだろうと考えられる。
その手の知識を仕入れた際に深く自分を傷つけたというのなら、やはり、原因はもっと過去にある。それもまた、習性であるからだ。でなければ、ミラーの説通りであるとしてだが、そうはなるまい。
つまらない然る個人の話は措くとして、近日、日本とかなり物理的に距離の近い国との間で騒がしくなっていることは、聞き及んでいるかと思われる。
そのことについて、何故か?と思いめぐらせていたところ、思い出したものである。
余談のようだが、一昔前に、その韓国であったという話をする。
現代の韓国人、恐らく北朝鮮もだろうが、その先祖は実は移民だったという。
日本も、太平洋から渡ってきた人達がいたらしいとかなんとかあるので、いわば移民の国だが、縄文以前の話である。
比較的近年に、中央アジアの方面から流れてきた、エベンキ族という人種が無人になった朝鮮半島に移住し、それが李氏朝鮮の先祖だったという。
それ以前の、例えば当時の日本が支援していた百済は滅び、敵対関係だった新羅もその北にあった高句麗に滅ぼされている。西暦二百何十年ぐらいの時代である。詳しくは歴史の教科書でもご覧あれ。
さらに時代が下り、高句麗の後継だった高麗も滅び、朝鮮半島は無人の野となる。そしてエベンキ族が移住し、その後に李氏朝鮮が出来た。
所謂韓国の歴史は、李氏朝鮮時代からであって、それ以前は現代韓国とは関係なかったという。
それで、かつて韓国の作家がそれを調査して出版したところ、ビニール本にされてしまったというのである。
韓国人の作家が朝鮮民族の先祖の話を書いてそんな目にあったのは本当だが、上記の歴史についての記述はいつも通りうろ覚えなので、詳しくはご自身でお調べいただく。
今の今では知らないが、その話は当時、タブーだったのだとか。公然の秘密という奴だったようだが、それなりの知的水準の地位にあれば、尚更言うわけにはいかないのだろうというのは、昨今の事情を何となく見てても察せることかと思われる。
では、どうしてあのようなどうかしたかのように突っかかって来るのだろうかと、その理由を考えた。
民族が移動するとしたら、どういうことかを考えてみよう。
近年でも、独裁政治で紛争状態になり、住んでいたところを追われて難民化するというのがある。
つまりは、環境の悪化により、定住できなくなるが故の、受動的な移動。無理やりどかされたというわけである。
もしくは、コロンブスの如く新天地を目指して行き着いた、というのも考えられる。
先ほども少し触れたが、日本人の先祖が海洋民族だったという説があるようだが、そうだったとしても、理由まではわからない。
地球人全員がコロンブス(彼が実際どう考えていたかは知らないが)なわけがないので、民族が移動する理由は、前者であったろうと考えられる。
現代の朝鮮半島に住む人たちの先祖が移住して来たのも、そうだと思われる。当時の志那の王朝による、同化政策として連れてこられた、というのも考えられるが、そこは分からない。
そういう民族的な不満は、訳も分からず個人を苛んでしまったりする。
これがかつての志那の王朝のせいだったとしても、今の中華人民共和国は関係ないので無意味となる。漢人の王朝は現代を除けば明の時代が一番新しい上に、漢人の王朝は数えるほどである。
そこで、少し前に「やり方を押し付けてきた」日本の出番となる。
大昔の誰のせいかは分からないが、状態は同じだといえる。そして名前が分かったというより決めることが出来たので、それでかつての恨みを一緒くたに日本にぶつけているのだと考えている。
「江戸の敵を長崎で討つ」というのがあるが、そういう状態なのではなかろうかと。
ベーコンはイドラを四種に分類した。恐らく、分類するだけならもっと細かく増やせられたのだろうが、四に意味があるのだろうと思われるとしても、さらに一つ、掛詞的に五つ目を提示する。分類を増やしました、というわけではない。
四種のイドラを克服することによって真理に到達できるとするならば、繰り言だが、イドラは幻想という意味があるので、幻想から離れられるといえる。
なら、その四種のイドラを嵩じればどうなるだろうか?
それは、劇場ならぬ「激情のイドラ」とでもいうべき怪物を生み出すのかもしれない。
上記で紹介したゲームの方のイドラは、「イドラ」と呼ばれる大きなモンスターがいる。その「イドラ」は、ダークファルスの眷属と呼ばれている上に、その世界ではそれに変身する力を有する人もいるという設定である。敵として戦ったり、プレイヤー側もイドラになって戦ったりする。
怒りは自他を滅ぼす。様々な宗派でもほぼ共通して言われるほどである。
ゲームのイドラの設定で、ダークファルスはかつて世界を滅ぼした存在だという。
怒りが自他を滅ぼすのならば、激情のイドラは、またの名をダークファルスというべきかもしれない。
あなたが目に見えていると思っているものだけが世界ではないのだから。
では、よき終末を。