わたしの好きな作家の一人 天童荒太。
彼の作家としての真摯な姿勢 作品にかける情熱が好きだ。
三年半をかけ完結させたという 『家族狩り五部作』 もかなり長い時間をかけて読んだものだ。
深みのある骨太なミステリーといったふう。
彼の作品には、弱者に寄り添う姿勢というものが いつも感じられる。
その天童氏が 「・・・・ 揺らぐものの中で 真実が見えてくるのだと思う。」
こんなことを 何かに書いていた。
それを読んでいて、前にある人から言われた言葉を思い出した。
わたしが以前書き込んでいた掲示板を読んでくれていた人からの言葉。
「 わたしは あなたの 揺れが好きだった。
何故なら、そこには飾りのない本質があったから。 」
言ってくれた本人は もう忘れているかもしれないけれど、
「嫌い」 といわれるよりは、うれしかった。
ただ 「どういうことですか?」 と その意味は聞かずじまい。
最近のことは、“わすれんぼ” なのに、昔の事はよく覚えてたりする。
これまで人に言われた言葉の中で、忘れられない言葉ってあるものだ。
それは、 “忘れられない 嫌だった言葉” というより、
どちらかといえば 善意の忠告・感謝のひとこと だったりする。
学生の頃、同じサークルの友人に言われた言葉 「断るのも誠意だと思うよ。」
興味のままに いろんなことに手を出して、余裕がなくなっていたわたしにかけてくれた言葉。
あの時は、誠意 の意味を自分なりに考えてみた気がする。
また、こんな言葉も・・・
そろそろ卒業という頃、担任に呼び出されて言われた 言葉。
「 仕事をしたら、職場にはいろいろな人がいるんだよ。
嫌いだからといって 話さないわけにもいかないし。
うまくやっていけるかな~。 あなたは人間的に、小さい。 」 って。
イヤな人はイヤだから(あえて) 付き合わない、やりたくないことはやらない・・
そんなわたしに、就職してから人間関係で苦労するだろうと思ってかけてくれた 先生の言葉だった。
人間的に小さい・・・
これは、痛烈にショックで、帰り道 涙がこぼれたのを思い出す。
20年以上も前の事だけど。
今思えば とてもいいことを言ってもらったと思っている。
こんな、何十年たっても忘れられない言葉って
誰にでも あるんじゃないかな。