素敵なパパ

あれは　雲南の大理から昆明に向かう列車の中のこと。

わたしたち以外は、みんな中国人だった。
試験を受けに行く学生と、そのママ。
姉妹と思える大学生くらいの女の子たち。
そして、パパ　ママ　それに二歳くらいの男の子の一家。

わたしの注目は、斜め前に座った　その若い家族に注がれていた。
パパは、とっても優しい人。
わたしたちが食事をすると見るが早いか　テーブルに近い自分の席をすうっと譲ってくれたり・・
かわいい息子とよく遊んであげて、単調な長旅を飽きないようにしていたり・・
なにより　わたしを暖かくさせてくれたのは、パパのあの眼差しだった。

六時間の列車の旅は、結構疲れる。
ママがうとうと眠りだした。
パパの肩にもたれた寝姿は、幸せそうな感じに満ちていたし、
男の子もパパに抱かれて　ぐっすり眠っている。
そして、一人だけ起きているパパ・・
時々息子の顔を覗いては　微笑んでいる。
・・・　その　眼差し。

　　　　　　　　

旅は　いろいろなものに出会えるものだ。
風景の美しさに　感動。
土地土地の美味しいものに　舌鼓を打つのも楽しみだし、
歴史や文化に圧倒されるほど　心を揺すぶられることもある。

そして　この日のように　そこで生きている人たちに
心温められることも　ある。

雨だれ

 

　雨だれを　みていた

屋根をつたい
足早に流れ降（くだ）る
束の雨


物干し竿の雨だれは
水晶のように膨らんで
綺麗に滴り

ちょっと優雅でもある


その一滴たち　....
譜面に踊る　音符みたい

 

 

 

 

百花繚乱

 

ちいさな　空の中で

単色花火が

　音もなく

 

 ぱーっと　開いてる

 

いくつも

いくつも 

 

 

  百花楼蘭